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好きな小説家や小説の紹介など

僕は「小説をよく読むと国語の点数は上がる」と言われて読むようになりました。
でも点数は上がらなかった。。
おすすめの小説家や小説の紹介をこのページでおこなっています

タイトル 内容
そのときは
彼によろしく
智史が経営する小さなアクアプランツ店「トラッシュ」に有名なモデル兼女優の
森川鈴音が店員として働きたいと訪ねてくる。
しかも行く当てがないので店に住み込みで働きたいという。
怪しく感じながらも奇妙な懐かしさを覚えた智史は彼女を雇い入れるのであった。
智史は結婚紹介所で知り合った美咲と何度かデートをしていた。
デート中彼は美咲に中学生時代に出会ったが引っ越しで音信不通となってしまった
親友の佑司と花梨との思い出を語っていたが、ある時、鈴音は花梨だと気づき、
奇妙な懐かしさの正体を知るのであった。
再会を喜ぶ智史であったが、花梨はもうすぐここを出て行くと言う。
しかも彼女は語らないが何か体に問題を抱えていることに気づくのであった。。

「いま、会いにゆきます」の市川拓司さんによる恋愛小説です。
初めて市川さんの小説を読みましたが、感想としてはすごくインテリ(?)な
文体だと思います。
佑司の眼鏡をエルビス・コステロに喩えるなど、読み手に知識を求める
文体が知的に感じました。ただ、ちょっとイヤミな感じも受けましたが。。
あと、なんとなくどっかで読んだような文体だと思ってたんですが、
その答えが最後の西加奈子さんの解説を読んで分かりました。
翻訳小説みたいなんですね。
最近海外の小説読んでないから気づきませんでした。
ストーリーですが、鈴音の体の問題は文中で智史が想像していたように
僕も何か重い病気にでもなってるのかと思って読み進めていたのですが、
見事に裏切られました。答えは書きませんが、想定外の答えですよ。
知らなかったのですが、映画化もしてるみたいなんで今度見てみようと思います。
'08.6.24

2004年 市川拓司 小学館
残虐記
安倍川健治(ケンジ)という人間からの手紙を受け取った小説家の小海鳴海は
手記を残して失踪してしまう。
残された手記には、自分が25年前、小学生の時に誘拐され
一年間監禁されたという驚くべき内容が書かれてあったのだった。
ケンジは彼女をみっちゃんと名付け、工場の上にある住み込みの部屋に監禁し、
夜になると子供を演じ彼女の友達になろうとするが、昼間の彼は彼女を殴るという
二つの顔を使い分けていた。。
そんな生活を続けていくうちに二人には不思議な関係が築かれていくのであった。

桐野さんが柴田錬三郎賞を受賞した作品です。
面白い構成の小説で、@鳴海の夫から出版社の編集者宛の手紙Aケンジから鳴海への
手紙B鳴海の手記C鳴海の夫から出版社の編集者宛の手紙という形をとっています。
核となっている鳴海の手記は桐野さんらしいものすごく濃いドロドロした内容です。
鳴海とケンジとの友情(?)ともいえる関係はストックホルム症候群に近い感情が
鳴海の中に生まれていたということでしょうか。。
しかし、この事件によって歪められた鳴海の人生、さらに25年後に追い打ちをかける
ようなケンジからの手紙、あいかわらず桐野さんの小説は容赦がないです。
'08.5.7

2007年 桐野夏生 新潮社
半落ち
現職警察官であった梶聡一郎は、アルツハイマー病であった妻に請われ
首を絞めて殺害したと自首してくる。
取り調べで事件の動機や経緯を正直に話した彼は「完落ち」と思われたが、
殺害してから自首するまでの空白の2日間については全く話そうとせず
「半落ち」となる。

大ベストセラーとなり映画化もされた横山秀夫さんのミステリー小説です。
取り調べを行った刑事志木から検事の佐瀬、東洋新聞社の中尾、弁護士の植村と
章ごとに視点を変えながらストーリーが展開する構成は見事でした。
ネタバレになるのであまり書きませんが、僕が読み進めながら想像していた
結末とは全く違っていて驚きました。
そのことに関する知識が少ない僕には到底想像できる結末ではなかったです。。
この結末が直木賞選考時に問題となり落選したのですが、はっきり言って
そんなことは読み手にとって(というか僕にとって)は本作の魅力に
なんら関係ない次元にしか思えませんでした。。 '07.12.27

2002年 横山秀夫 講談社
流星ワゴン
永田一雄の家庭は崩壊していた。息子は中学受験に失敗しひきこもり家庭内暴力を
振るい、妻はテレクラで男と不倫を続ける。一雄は会社からリストラされ、ガンで余命
いくばくもない父の病院を訪れ、小遣いを得ている日々。。
ある夜、駅前で「死んでもいい」と思った彼の前に1台のワゴン車が止まる。
ワゴン車には死者だという橋本さんとその息子健太君が乗っており、
彼を乗せるとワゴン車は彼にとって過去の「大切な場所」へと連れて行くのであった。

読んでいるとすぐにバック・トゥ・ザ・フューチャーを思い出しました。
過去に戻るタイムマシンもオデッセイとデロリアンという違いはあるものの、
車だということにはかわりがないので。
ただ、この小説はアメリカ映画のように時代をさかのぼって過去をやり直し
ハッピーエンドというお気楽な展開ではなく、ほとんど過去を変えることができない。。
それでは過去に戻っても何の意味もない気がしましたが、心の変化から
過去ではなく未来を変えていこうという前向きな結末はすごく良かったです。
そして、主人公と父、主人公と息子、橋本さんと健太君という三つの異なった形の
父と息子をテーマにしたストーリーが展開することも面白かったです。 '07.7.31

2002年 重松清 講談社
血と骨
1930年代の大阪。蒲鉾工場で働く金俊平は巨漢と凶暴さで極道にも恐れられていた。
自分の好きなように生きる俊平に振り回される親友の高義信。
飲み屋を営む英姫を無理矢理襲い妻にしてしまうという強引な行き方は、
常に周囲を巻き込んでいた。。

実在の父親をモデルにした小説ということですが、ここまで壮絶な人生を歩んだ
人が本当にいるのかと疑ってしまうほどものすごい物語です。
小説だから多少は誇張している点もあるんだと思いますが。。
そして、巻き込まれた周囲の人間の逃れたくても逃れられない運命に
翻弄される姿が痛々しかったです。
最終的には金と力が無力だということを思い知らされるのですが、
自業自得と思えないほど悲しい結末でした。
人の死も淡々と語られる文体にかなり驚きながら読んでいましたが、
戦前から戦争直後にかけては実際人の死は淡々としたものだった気がして
よりリアリティを感じました。 '07.6.24

2001年 梁石日 幻冬舎
柔らかな頬
幼い頃に北海道の田舎を捨てて東京に出てきたカスミは、
結婚して二人の子どもがいたが、夫の友人である石山と不倫の関係にあった。
カスミと石山は北海道支笏湖近くにある石山の別荘にお互いの家族を
連れて泊まりに行き、密かに夜中に逢い引きをしようとする。
しかし、その別荘で娘が忽然と消えてしまい、カスミは罪悪感にさいなまれる。
カスミは一人で娘を探し続け4年が経過したある日、彼女の元に元刑事の内海が
捜査に協力したいと願い出てくる。彼は末期ガンで余命わずかの宣告を受けていた。。

桐野さんが直木賞を受賞した作品ということで楽しみに読みました。
しかし、どうも消化不良なストーリーでした。
というのも結局誰が?という結論は出ないままだし、カスミも内海も
最終的に救われたという感じじゃなく淡々と時間が流れていっただけのような
展開に不満を覚えたからだと思います。
登場人物がみんなうまくいくストーリーよりも、この小説のような結末が
一番現実的な気はしますが、小説にある意味夢を求めてしまっている僕には
酷な小説でした。。 '07.4.9

2004年 桐野夏生 文藝春秋
幽霊刑事
刑事の神崎達也は、美人のフィアンセ須磨子を残して殺されてしまう。
しかもわけも分からず浜辺で上司に撃たれて。
しばらくして浜辺で気が付いた達也は人からは見えず、声も聞こえず、
触られることも触ることも出来ない幽霊になってしまっていた。。
達也は須磨子や母親、妹の元へ行っても彼女らに彼は見えず途方に暮れていたが、
祖母にイタコを持つ同僚の早川刑事には彼が見えたのだった。
喜ぶ達也は早川と共に、なぜ上司が自分を殺したのかを暴き、
そして彼の裏にいる黒幕を捜し出し、全てを自ら解決しようと捜査を開始する。
そんなある日、達也を撃った上司が取調室で死んでいるのが見つかり、
しかもそれは密室殺人だったため謎は更に深まっていくのであった。。

久々に有栖川小説を読みました。
タイトルのインパクトと、「2001年度本格ミステリー・ベスト10入りの傑作」という
解説に惹きつけられて思わず買ってしまいました。
幽霊になった達也の設定は懐かしの映画「ゴースト ニューヨークの幻」に近いものが
ありますが、空を飛べるというプラス能力があるものの、訓練しても物に触れない
というマイナス能力があり、決してパクリではないという主張が小説中でも
映画ゴーストに触れていることで分かります(笑)
全体の9割方を読んでも謎が分からないので、面白く読んでいったのですが、
どうも種明かしに無理がある気がしたのと、最後は展開が早すぎる気がしました。
ただ、幽霊である彼の結末は初めから分かっていたんですが、
分かっていても涙が出てくる悲しい終わり方でした。
自分が未練を残して死んだとしても、彼のような幽霊にはなりたくないなあ。。
'07.2.13

2000年 有栖川有栖 講談社文庫
町長選挙
伊良部総合病院の院長の息子の神経科医、伊良部先生に訪れる患者の物語。
@オーナー:大日本新聞の会長であり、プロ野球球団「東京グレート・パワーズ」の
オーナーである田辺満雄は、プロ野球を一リーグ制に移行しようとして世間の
反発を買っていた。暗闇などでパニックに陥るようになってきた田辺は、
周囲の勧めで伊良部先生を訪れるのであった。
Aアンポンマン:IT企業を立ち上げ企業買収などで大成長してきたライブファストの
社長、安保貴明はラジオ局の株買い付けで業界から叩かれ始めていた。
そんななか彼は平仮名を思い出せないという症状が発生し、
伊良部先生を訪れるのであった。
Bカリスマ稼業:白木カオルは年齢よりも若く見えるとして主婦層から絶大な人気を
持つ女優であったが、太ることへの恐怖から運動するためには常軌を逸した行動を
とるようになっていた。彼女はマネージャーの勧めで伊良部先生を訪れるのであった。
C町長選挙:東京都職員である宮崎良平は異動で千寿島に赴任していた。
この島は町長支持はきっちり二つに別れ対立していて、
どちらかが町長になると対立候補やその支持職員はひどい扱いを受けていた。
そのため、町長選挙は島を挙げての大決戦となり、選挙のためには賄賂もなんでも
ありの無法状態であった。そんな選挙に巻き込まれた良平は苦しんでいたが、
ある日島に東京から半年の任期で医師が派遣された。それが伊良部であった。

「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に続く伊良部シリーズ第三段です。
今回もマイペースな伊良部先生に笑わせてもらいましたが、@Aのような
現実社会をパクったストーリーにするのはどうかなあ、と思いました。
ホリエモンじゃなくてアンポンマンというのは上手いですけど(笑)。
それからBについてですが、これまでの話は精神的に病んでいる人を
無茶苦茶に見える伊良部先生の治療(?)により、いつの間にか治ってる
という展開だったのですが、この話はそこらへんが曖昧だったのが不満です。
結局カオルは治ったのか?
最後のCは今までとは違う方向性を出した作品で興味深い話でした。
今までと違って良平の精神的な病はあまり中心的な話ではなく
町長選挙と伊良部先生の絡みなどを面白く描いているのが新鮮でよかった。
これまでの水戸黄門的なストーリー展開も良いのですが、
4作目以降を考えるとしたら、こういう話も必要だし面白いと思います。
'06.11.13

2006年 奥田英朗 文藝春秋
灰色の砦
19歳の冬に桜井京介と栗山深春は「輝額荘」と名付けられた古い木造下宿で
運命的な出会いを果たす。
家庭的で暖かな下宿だったはずの輝額荘の裏庭で住人の一人、カツが変死
したことから彼らは事件に巻き込まれていく。
その後、同じく住人であった建築評論家、飯村路易の秘書、萩原紅子の死体が
路上に放置されていた車の中から発見される。
警察に容疑者とされてしまった飯村氏を助けるため、友人の神代教授は京介に
真犯人を見つけてくれるよう頼み、彼は事件の真相を探り始めるのであった。

建築探偵桜井京介シリーズの4作目です。
今回は京介と深春の出会い、そして京介の涙がポイントになっています。
たしかに二人の出会いは興味深かったので面白かったです。
フランクロイド・ライトと飯村氏を関係付けたり、ライトの自伝の真偽や
帝国ホテルの神話について触れていたりして建築を巧みに絡ませていて
面白かったのですが、結局謎解きに疑問が残る内容でした。
最後の飯村氏の手紙でいろんな真相が語られるのかと思いきや、
あの一言だけですし、なぜ妻が死んだ後に息子を置いて海外に行って
しまったのかわからずじまいですしね〜。
愛してたら連れてけよ! '06.5.11

2002年 篠田真由美 講談社文庫
壬生義士伝
これまで僕ははっきり言って時代小説が苦手でした。
というのも学生時代日本史が全くちんぷんかんぷんで、時代背景の基本的な部分が
欠落しているため読んでいてよく分からないことが多かったからです。
それにもかかわらずこの小説を読むことになったのは、浅田さんが書いたものだった
からで、そうでなければ読むことはなかったと思います。

主人公の吉村貫一郎は、南部藩の武士であり、文武ともにすぐれたものを
もっていたが、貧しさゆえに脱藩をし、家族を養うため新撰組に入隊する。

既に過ぎ去った過去を彼に関わった人々が振り返って語るという書き方は、
それぞれの登場人物の話し方で進むため内容が前後したりするのですが、
浅田さんの表現のうまさによって非常に分かり易かったです。
そして、それぞれ立場の違う人がいろんな角度で彼と接しているにもかかわらず
一様に彼の生き方のすばらしさを認めていて、読んでいくたびに彼の魅力みたいな
ものに吸い込まれていくようでした。
うまく表せないですが、彼の生き方に現代人としては納得いかない部分も
ありながら、でも涙が出てしまうほど共感しているという不思議な気分でした。
とにかく一押しの小説ですので読んでみてください。 '05.5.25

2000年 浅田次郎 文春文庫 
蒲生邸事件
予備校受験のために上京し平河町1番ホテルに宿泊していた孝史は、2月26日の夜に
火災に遭うが、焼け死にそうなところを時間旅行の能力を持つ平田に助けられる。
気が付くとそこは昭和11年の2・26事件が起きようとする世界であった。。
平河町1番ホテルの場所に昭和11年には蒲生邸という屋敷が立っており、
そこで平田と孝史は使用人として住み込むこととなる。

宮部さんの作品には特殊な能力を持つ人を登場させることが多いですが、
ほとんどの人が幸せじゃない気がします。
この作品の平田も時間能力を持ったことを辛く感じていたし。。
人は超能力を持ちたいと願ったことが一度はあると思いますが、
宮部さんは、超能力を持つことが必ずしも幸せじゃないことを教えてくれていて
普通であることのありがたさを感じさせてくれているような気がします。

孝史は蒲生邸でふきという女性に恋をするのですが、初めて出会ったときに
「ふきの横顔に、なにかしら懐かしいような面影があることに、
初めて孝史は気が付いた。どこかでことのある人だ−そんな気がする」
と感じているので、てっきり現代で関わりのあった人だったという結末を
想像させたのですが、最後まで読んでもそんなことは全くありませんでした。
これってどういうことなんでしょう?未だによく理解できないです。 '05.1.26

2000年 宮部みゆき 文藝春秋
蛇にピアス
前回紹介した「蹴りたい背中」とともに第130回芥川賞を受賞した作品です。
スプリットタン(舌ピアスを徐々に大きくしていき最後に舌を二つに分かれさせる)を
している「アマ」と出会ったことからピアスや入れ墨を入れようとする「ルイ」の物語
である。
読んでいると痛々しいシーンが多々出てきて読むのがつらいです。
舌にピアスの穴をあけるところや、「シバ」というアマの友人とのSMシーンは
きついです。これに芥川賞をあげようと思った審査員はすごいと思います。
(当然、そういうシーンじゃなくて若者の内面みたいな部分を評価したんだと思います
が。。)
むなしさを感じ、意味なんてないと自ら言いながら自虐的にピアスを入れ、
アマともシバともセックスをするという脱力感でいっぱいなルイに共感することは
ありませんでしたが、こんなのもあるのかなあ、と思わせられたことは確かです。
最後のシバの行動は不可解ですが、僕なりにはシバはアマを愛していたから
あの行動になったんだと思います。 '05.1.23

2003年 金原ひとみ 集英社
蹴りたい背中
第130回芥川賞受賞作である。
タイトルと受賞作だとは知っていたので、たまたま機会があって読むことにしました。
どうも高校生活になじめないハツとファッション雑誌のモデル、オリちゃんを
オタクなほどファンである「にな川」、そしてハツの中学時代からの友人絹代を軸として
話は進みます。
完全に高校になじんでいる絹代との溝を感じつつ、悩んでいる姿はわからないでも
ないですが、オリちゃんオタクのにな川を「蹴りたいほど」愛おしく感じているのは
ちょっとわからない感情でした。
あまりにマイペースなにな川はかなり笑えます。
オリちゃんのラジオをイヤホンで聴いていて、しかもあえて片耳だけで聴くのは
オリちゃんが耳元でささやいている感じがするからって、キモすぎる!
でもこんな描写はなかなか考えられないなあ、と筆者の感性に驚きました。
全部読み終わった感想としては「結局何が言いたいんだろう?」です。
それぞれのシーンは印象的だったんですが、トータルで何を伝えたいのか
わからなかった。筆者は別に何も伝える気はないのかもしれませんが。。
ただ、この作品を芥川賞に選んだ審査員ってすごいなあ、と思います。 '04.11.29

2003年 綿矢りさ 河出書房新社
青の炎
「黒い家」が大ヒットした貴志さんの作品である。
何気なく新幹線の暇な時間つぶしのために買ったのですが、
読んでいてどんどん引き込まれていき、あっという間に京都に着きました。
17歳の少年が家族のために完全犯罪を計画するというすごくシンプルな
ストーリーですが、読み終わったときに何か心にしみるものがありました。
主人公の秀一の考え方には同調できない部分が多々あったのですが、
読み終わって考えると、恋人である紀子の存在がこの物語を面白くしている
ような気がします。
紀子の一途な秀一への想いと、それをわかっていながらも犯罪に走らざるを得ない
秀一の悲しきストーリーが僕の心を捉えて放さなかったのだと思います。
自分のためでなく家族を思っての行動、ここまで考え抜いて行動する高校生が
本当にいるのだろうかと考えさせられてしまう部分はあるのですが
とても良い内容だったと思いました。
結末はこれしかなかったと思うのですが、紀子と秀一はもっと分かり合えるような
終わり方にしてほしかったです。これじゃあ悲しすぎます。。
最近読んだ小説の中では1番じゃないでしょうか。ぜひお薦めします。
ちなみにこの小説は映画化されるそうです。 '02.11.7

2002年 貴志祐介 角川文庫
東京現代建築ほめ殺し
東京の現代建築をほめ殺し(要するに文句をつける)するという面白い企画の本です。
建築に興味のある人はぜひ一読してほしい本です。
僕はかなり笑わせてもらいましたし、勉強にもなりました。
確かに建築家は他の建築家の作品をあまりけなしていないです。
(新建築の先月の批評のコーナーは結構けなしているときもありますが。。)
僕自身もこれまで日本建築学会賞を受賞していると聞いて見に行って
「なんでこの作品が?」というものが結構あったので共感しました。
この本を読んで気付いたのですが、丹下さんは確かに雑居ビルとか設計したという
話を聞いたことがない。やっぱり隠しているのかなあ。。
巨大モニュメント建築以外にもきっとあるはずなのに。個人住宅も知らないなあ。
'02.1.24

2001年 建築三酔人 OH!文庫
錆びる心
「OUT」や「顔に降りかかる雨」などで有名な桐野さんの短編集である。
ふとしたことで現れる人間の内面をある種ブラックな観点で描いた作品である。
小さな面白さみたいなものを一つ一つの短編で感じることが出来て良いのですが
個人的にはやはり長編のほうが好きです。
タイトルの「虫卵の配列」とか「羊歯の庭」などはちょっと気持ち悪い感じがして嫌でした。
(内容は特に気持ち悪くないのですが。。)
「ジェイソン」という酔っ払ったら記憶がなくなる男の話はブラックユーモアとしては
僕のつぼにはまるもので面白かったです。 '01.12.20

2000年 桐野夏生 文春文庫
銀色のフィレンツェ
メディチ家殺人事件

若きヴェネツィアの貴族マルコ・ダンドロは花の都フィレンツェを訪れたが、
かつての共和国は今や大国を後ろ盾とするアレッサンドロ公爵の独裁下にあった。
その専制君主をめぐるメディチ家の陰謀に次第にマルコは巻き込まれていってしまう。
フィレンツェを舞台とした小説は、華やかなルネサンス時代のメディチ家を描くことが
多いのですが、これはその後のやや荒廃した時代を舞台としてます。
主役のマルコが籍を置くヴェネツィアはこの時代に栄華を極めているため
物語の中で何度も二国の対比がみられて興味深かったです。
マルコを主役とした小説は3冊あり、これは第2部である。
1がヴェネツィア、2がフィレンツェ、そして3がローマを舞台にしています。 '01.11.7

1993年 塩野七生 朝日文庫
ガウディの夏
CFプロデューサーの峰井はオーディションで知り合った新人シンガーと共に、
一夜をホテルで過ごした。その数日後、女優の宮森陽子は峰井を誘い出し、
シンガーとの密会が情報機関にファイルされたことを告げた。
そして宮森自身や超大物女優達でさえ、情報ファイルの刻印を打たれた者たちであった。
峰井は陰に、プライベートの情報操作により、人々を不安と絶望に落としいれる謎の
人物、岸矢吾郎の存在を知り、自由を求めて戦い始める。。
人々の暗い部分の情報ばかりを集めて、それを使って人々を操るという
すごく嫌な怖さを感じました。
なぜこの小説を読もうと思ったかは、タイトルに「ガウディ」が入っていたからですが
ガウディを小説と随所に絡ませて話を展開しているわりには、読み終わってからも
この小説でのガウディの役割がよく分からないのが残念でした。 '01.11.2

1991年 五木寛之 角川文庫
海の図
「兎の眼」や「太陽の子」で大ヒットをした灰谷さんの長編です。
僕は前上の二つの作品を読んで大ファンになりました。
瀬戸内海に浮かぶ島で暮らす壮吉は登校を拒否し、亡き父の生前の仕事を調べ
はじめた。なぜ漁師をやめ電力会社の仕事をしていたのか?
彼の得意とする学校教育に対する問題だけでなく、開発と自然破壊の問題を
取り上げた作品です。
このテーマは彼自身が、沖縄という開発による自然破壊があった土地に移り住んで
いることも大きな要因であると思います。
しかし、このテーマに対する思いがかなり強いのかストーリーとしては少し。。という
感じがしてしまいました。
灰谷さんが沖縄を愛し、自然を愛していることはひしひしと伝わってきました。
'01.10.16

1998年 灰谷健次郎 角川文庫
胸の香り
「蛍川」「優駿」など数々の名作を生み出している宮本輝さんの短編集です。
わずか30枚という少ない原稿の中に深い深い内容を凝縮したという作品だそうです。
しかし、僕はまだその深い内容を読み取るほど読力がないらしく、その意味が
分からないものが多かったです。
特に「しぐれ屋の歴史」というタイトルの物語は、突然主人公の「私」に
「しぐれ屋の歴史」なる小冊子に対する問い合わせがあり、そして次第に過去の
父母に関係があることだと分かり始めて、そして「これはもしかして・・」と思わせた
ところで終るという、想像にお任せというパターンなので、深い洞察力をもっていれば
「あー、なるほど!」と思うのかもしれないのですが、僕はなにかむずかゆい気持ちが
残ってしまいました。 '01.9.19

1999年 宮本輝 文春文庫
破線のマリス
テレビや映画の脚本などで有名な野沢尚氏が第43回江戸川乱歩賞を受賞した
作品です。
首都テレビ報道局で映像編集を行っている遠藤瑶子は、郵政省のある人物から
内部告発のビデオを渡され、大人気番組「ナイン・トウ・テン」で流して欲しいと
頼まれる。そこにはある市民団体の幹部が自殺した事件との関連が映っていた。
彼女はそれを番組で流すが、映像の中で犯人とされていた郵政省の麻生が抗議
に怒鳴り込んできて、それから瑶子は執拗につきまとわれることになる。
そして内部告発者に連絡をとっても郵政省にはそんな人物はいないということが
分かってくる。。
タイトルの「破線」とは、テレビを構成している走査線で、「マリス」とはでっちあげ・
やらせという意味であり、この作品は映像操作を題材にした小説である。
誰が犯人なのか、自分が映像を流した麻生は犯人ではないのか、という
瑶子の悩みや苦しみ(そして暴走)がうまく描かれていておもしろかったです。
予想もしていなかった結末にはびっくりしました。 '01.8.9

2000年 野沢尚 講談社文庫
機関車先生
柴田錬三郎賞に輝いた作品です。
瀬戸内海の小島、葉名島の小さな学校に病気で口が聞けなくなった先生が
赴任してくる。初めは批判的な声もあるが、数々の事件が起こるなか次第に
子ども達は先生に心を開いていく。。
機関車先生とは大きくて強そうだからと、子どもがつけた呼び名です。
子どもを描いた児童文学に僕はとても弱いです。
僕の好きな作家の1人である灰谷健次郎氏も児童文学作家で、
何度読んで泣いたかしれないぐらいです。
この作品は感動ものの作品を得意とする伊集院氏の児童文学作品で
設定がいささか「泣かせます」というのがまる分かりでちょっと。。と思いましたが
やはり目頭が熱くなってしまいました。 '01.7.29

1997年 伊集院静 講談社文庫
逆光のメディチ
ルネサンスの時代のフィレンツェ、メディチ家が支配する時代を描いた作品である。
当主ロレンツェと弟ジュリアーノが活躍した時代、もっとも物語になっているジュリアーノ
暗殺を少女アンジェラを通して描いている。
ロレンツェの参謀として知恵を出しているアントニーナの知略はとても面白く、ある意味
では三国志の孔明のような役割を果たしている。
実際はどうだったのか分からないが、ボッティチェルリがすごくダメダメな役で登場する
のがかわいそうである。
この小説を読んでいるとなぜか少女漫画な感じがしたのは、この作者によく見られる
特徴なのでしょうか? '01.7.2

1996年 藤本ひとみ 新潮文庫
地下鉄に乗って
「鉄道員」で有名な浅田次郎が吉川英治文学新人賞をとった作品である。
地下鉄の階段を上がると30年前の風景が現れ、真次は当時に自殺した兄に出会う。
その後も何度かのタイムトリップを行い、真次と愛人のみち子をいくつかの時代に
運ぶが、必ず「アムール」と呼ばれる人物と出会うことになる。
タイムトリップするたびにアムールの人生を眺めることになる二人は次第に
アムールとは何者であるのかに気づき始め、そして自分達だけがなぜトリップするのか
を理解する。そして。。
浅田次郎は電車をテーマに書いた作品に縁があるらしく、「鉄道員」で直木賞を
とっていてこの作品も賞を受賞している。
アムールの人生を真次とともに眺め、そしてアムールが誰かが分かったときに
「やられた」と思い、さらに2人の秘密が分かったときには「やっぱり」と思った。
'01.6.19

1999年 浅田次郎 講談社文庫
聖域
関わった者達を破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。
文芸編集者である実藤は偶然その原稿を見つけ、魅力に引き込まれる。
彼はこの小説を完成させようと失踪した女流作家水名川泉を捜し求める。
篠田さんの作品はこれまで結構読みましたが、今回の作品のように
何かに執着し、それを執拗に追いもとめるという作品がかなりあると思いました。
地底湖みつけた何かを追い求める「アクアリウム」、学生時代の恋人が自殺する
瞬間まで弾いていたバッハのカノンの謎を追い求める「カノン」といったものである。
これらのものよりは直木賞を受賞した「女たちのジハード」や「ブルーハネムーン」
といった小説のほうが面白いと思いました。 '01.6.7

1997年 篠田節子 講談社文庫
屍の聲
タイトルは「かばねのこえ」と読みます。
「死国」などで有名なホラー作家、坂東眞砂子のホラー短編集である。
ここに収められた短編はすべて男女や親子の愛憎をテーマにしたものである。
それに彼女が得意とする風土や慣習を絡ませた作品としている。
表題作である「屍の聲」は惚けてしまったおばあちゃんが死にたがっていると
信じた孫がおぼれる祖母を見殺しにする話で、背筋が寒くなる話でした。
これまで彼女の作品は長編しか読んだことがなかったのですが、
この短編集を読んで、短編のほうが怖さは上だなあと思いました。 '01.6.1

1999年 坂東眞砂子 集英社文庫
羅生門・鼻
「王朝物」といわれる平安時代に材料を得た歴史小説を集めた短編集である。
国語の教科書にもなっている「羅生門」は飢え死にか盗人の選択を迫られた男と
老婆のやりとりであるが、これほど短い小説だとは思ってませんでした。
「鼻」や「芋粥」といったほのぼのとした話、「袈裟と盛遠」「好色」の男女の恋愛、
菊池寛に対する対抗意識から書いた「俊寛」などバラエティに富んだ内容である。
芥川が短編を得意としたことがこれらの小説からよく分かるとともに、
新聞に連載されていた「邪宗門」が長編にしようとしてまとまらなくなって
未完に終っているところから、彼は長編が苦手だったことがよく分かった。 '01.5.30

1968年 芥川龍之介 新潮文庫
紫蘭の花嫁
執拗に追いかけてくる男からの逃亡を続ける三田村夏季、連続女性殺人事件を捜査する
刑事部長小田垣のふたりを軸にしたミステリーである。
刑事事件をテーマにした作品を読むと直木賞を受賞した「凍える牙」を思い出してしまう。
人間心理を的確に描写しているのはとても面白いのですが、ハエとうじ虫に関する
描写が何度もでてきてちょっと気持ち悪くなってしまった。。
いくつかの軸がそれぞれストーリーを展開しており、最後までいかないと
つながりがわからないという構成はなかなかよかったです。
ただ、追いかけてくる男が何者かわかったときに、「そんなに必死で逃げる必要ある?」
と思ってしまった。 '01.5.13

2000年 乃南アサ 文春文庫
玩具修理者
なんでも直してくれる謎の人物、玩具修理者に過って死なせてしまった弟を
つれていったという子ども時代の物語を告白調で書いた短編が表題の作品である。
この作品は第二回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した。
なんでも直してくれる玩具修理者はおもちゃでも猫でも人間でもまずばらばらにして
それをごちゃまぜにして組み立てて直すのですが、そのときの描写がかなり
気持ち悪くてあまりうれしいものではなかった。
最後のどんでんにはびっくりしましたが。。
もう一つの「酔歩する男」という作品はタイムトラベラーするようになってしまった男の
話ですが、内容がうまくまとまってないらしく理解はできるのですが難しいものでした。。
'01.5.4

1999年 小林泰三 角川ホラー文庫
潮騒
文明から離れた南の小島を舞台にした若い漁夫と美しい乙女の恋愛小説である。
三島由紀夫の代表作のひとつであり、何度も映画化されている小説である。
歌島の漁師である新治は島に戻ってきた初江と出会い二人は恋に落ちるが、
島の有力者である初江の親は貧乏な新治との交際を反対する。
しかし、素直で実直な彼の姿に最後には結婚を認めるという話である。
これまで「仮面の告白」や「愛の渇き」などを読んでいると、この小説と同じく「愛」が
テーマにはなっているが、すごくドロドロした内容が多いんですが
これはすごく純文学してます。すごくさわやかです。
すばらしい小説だと思いました。ドロドロもいいけどこういう話は感動するなあ。
'01.4.14

1954年 三島由紀夫 新潮文庫
ブラジル蝶の謎
著者の有栖川氏自身(?)がキャラクターとして登場する小説である。
有栖川・火村コンビによる「国名シリーズ」の第三弾である。
「国名シリーズ」とはタイトルに国名(今回はブラジル)がついたもののことである。
この作品はこれまでに発表された短編をあつめたものである。
犯罪心理学者として警察の捜査に協力する火村と、助手の名目で参加している
彼の友人であり小説家の有栖川の推理が冴え渡る推理小説です。
有栖川の語り口調によってナレーションがされている。
どれも短編であるため、トリックはそれほど難解なものではなく
びっくりするものはなかったのですが、「蝶々がはばたく」という話は地震をテーマに
書いており、しかも発表されたタイミングが阪神大震災のじきであったため
著者が書くことをためらったというエピソードには考えさせられるものがあった。
'01.3.27

1999年 有栖川有栖 講談社文庫
千里眼
デビュー作の「催眠」が大ヒットして映画化もされた松岡圭祐の作品で、
「催眠」の続編である。
元自衛官であるカウンセラーの岬美由紀は、横須賀基地でセットされたテロによる
最新鋭のミサイル発射を阻止するため十桁のパスワードを解読することになる。
この事件から彼女は一連の「恒星天球教」と呼ばれるテロ宗教集団と関わることになる。
一方、千葉の南房総では巨大な観音像に魅せられる不審な少女の姿があり、
その少女は美由紀のカウンセリングを受けているのであった。
そして観音像には世界を震撼させる"催眠"の罠が待ちうけていたのであった。。
前作とはうって変わってハードボイルドを思わせるような展開がたくさんあり
新興宗教的なものを登場させるのはなかなか時代を反映しているとも思える。
どうやら前作とは多少世界観を変えているようであり、嵯峨は出てこないが、
次回作では岬との出会いがあるらしい。
個人的には刑事役の蒲生氏のキャラクターがお気に入りです。
しかし、脳みそをアイスピックでぐちゃぐちゃってすげー怖いなあ。。 '01.3.15

2000年 松岡圭祐 小学館文庫
バースデイ
一世を風靡した「リング」「らせん」「ループ」シリーズの番外編です。
三作を結構前に読んだのでかなり内容を忘れかけていました。
三つの話が入っていて、「空に浮かぶ棺」はビルの屋上の排気口で
貞子を産み落として死んでしまう高野舞の話、「レモンハート」は貞子が
劇団に入っていた頃の話、「ハッピー・バースデイ」はループ以降の礼子の
姿を追った話である。
「レモンハート」は映画「リング0」の原作であるらしい。
三作を補った形ともとれるが、無理やり作って儲けようとしたとも思える。
やはりリング熱が冷めてしまってから読んだのが間違いだった。。 '01.3.5

1999年 鈴木光司 角川ホラー文庫
クロスファイア
「燔祭」という短編で登場した念力放火能力を持の持ち主、青木淳子を再び
取り上げた長編小説である。たしか映画化もされたと思います。
彼女は持てる力を行使し、無軌道に殺人を続ける若者たちを処刑する。
連続焼殺事件の背後に不信な部分を感じる石津ちか子・牧原刑事は過去を洗い
淳子に近づいていく。
しかし、「ガーディアン」と名乗る組織も彼女の存在を察知し、彼女を組織に誘う。
宮部みゆき氏お得意の超能力を題材にしたストーリーである。
淳子は自分が正しいと信じ込んでどんどん人を殺害していくところは読んでいて
嫌になったが、彼女が自分の行為に疑いを持ち出してからは面白く読めた。
「押す」という能力を持つ浩一は許せないものがあった。
はじめの頃は石津ちか子は「おっかさん」と呼ばれるという設定だったのに
途中からそんなフレーズは全くなくなってる。。
それとちか子の同僚も途中から全く出なくなってる。。 '01.2.27

1998年 宮部みゆき 光文社カッパノベルズ

谷崎潤一郎は僕が最近よく読んでいる作家の一人です。
夫のある身でいながら園子は技芸学校で知り合った美女・光子を愛におちいり、
光子は園子を愛しながらも、不具の男・綿貫らの愛をもてあそぶ。。
女性の同性愛という特異な題材を、園子が作者に独白しているという文体で
描いた小説である。
いつも谷崎文学を読んでいるとすごく腹が立ってくる。
「痴人の愛」は、夫でありながら完全に若く美しい妻が男遊びを続けても
別れられる怖さから許していくという内容だし、
この小説も夫は終始ないがしろに近い扱いである。
谷崎がその当時かどうか知りませんが、不倫をしていたこともこういった内容に
反映しているのではないでしょうか。
初めから「柿内未亡人」と書いてあるところや、光子が死んでいるという
表現が随所にあるため結末は少し予想していましたが、なかなか驚きました。
ちょっとロミオとジュリエットっぽい場面もあるような。。 '01.2.9

谷崎潤一郎 新潮文庫
震える岩―
霊験お初捕物控
ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」お初。
南町奉行の根岸肥前守に命じられた優男の古沢右京之介と、
深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始める。
謎を追うお初たちの前に百年前に起きた赤穂浪士討ち入りが…。
時代劇小説は基本的に嫌いなのであまり読まないのですが
宮部みゆきは大好きだったので読んでみました。
舞台は昔のことですが、内容は「不思議な能力」「殺人」という
彼女のお得意のジャンルであり、楽しませてもらった。
赤穂浪士の討ち入りの彼女なりの新解釈が盛り込まれているのですが
僕自身が討ち入りのことをほとんど知らなかったので、
ちょっと勉強にもなりました。。 '01.2.4

1993年 宮部みゆき 講談社文庫