福島の建築

作品 データ
1956 福島県教育会館 MIDO同人 福島県福島市 Docomomo100
阿武隈川沿いに建つ会議室やホールからなる教育文化施設である。
設計者のミド同人とは、前川設計研究所(Mayekawa Institute of Design=MID:ミド)
から来ており、前川國男と思想・哲学を同じくする同人グループの事だそうです。
当時の前川事務所は所員が持ってきた仕事はMIDとして発表していたようです。
建物は波打つシェル構造の屋根と折板の壁による独特な形をしたホールと
ラーメン構造によるエントランス、事務室棟がつながった形態になっています。
一見、全然別物の建物がくっついた感じも受けますが、梁を連続させることによって
一体的なまとまりを持たせています。
しかし、雑誌で見たときのホールがあまりにインパクトが強かったために
現実に見た時、横に事務室棟があるのがとてもアンバランスに見えてしまいました。
あと、ホールの前に倉庫(?)が建ってしまっているのが残念です。 '04.10.27
1961 ヴィラ・イナワシロ 林雅子/林・山田・中原設計同人 福島県猪苗代町
猪苗代湖に近い場所につくられたスキー場のロッジである。
豪雪地帯であるため、雪に埋まっても大丈夫なように地下はRC造になっていて、
上部が木造になっています。
当時では珍しかった水洗トイレや冷暖房を取り入れた設計になっていて
そのため建物の仕上げは簡素なものだったそうです。
現在は大きな新館が増築され、この建物はレストランとして使われている様子でした。
建物自体もかなり手を加えられているみたいですが、現在まで残っていたことが嬉しかったです。
'04.6.12
1977 ワット・ハウス
東孝光建築研究所 福島県いわき市
いわき市の小高い丘の上に建つ4戸の小さな集合住宅である。
設計者は集合住宅ではなく、戸建て住宅の集合体と定義しており、
各戸に玄関、中庭、勝手口を設けています。
単純に敷地を4つに縦割りするような設計ではなく、適度に距離を持たせた
平面プランとしており、奥にある住戸の駐車場を道路側に設けているため、
2階平面は長い廊下を持つ複雑な平面となっていますが、非常に多様性のある
空間となっていました。
白い外壁とレンガ敷きの廊下、そして商業施設といっても通用するような
魅力的な共用スペースが良かったです。 '05.11.27
1986 ケアハウス泉崎 新居千秋都市建築設計 福島県泉崎村
福島県の穏やかな農村地域につくられた老人福祉施設である。
施設は特別養護老人ホームとデイサービスセンターからなっています。
建物は設計者が集落をイメージしたという、それぞれ一つ一つの建物が
中庭を囲むようにつながって出来ています。
個々の建物にはトップライトが配されていて、外気の採り入れに有効な役割を担っています。
特殊な施設であるため遠くからチラッと見るだけでしたが、たまたま子供の日が
近いこともあって鯉のぼりと白い建物が緑の中で美しく浮かび上がっていました。
'03.3.14
1991 三春町立桜中学校
香山壽夫+環境造形研究所 福島県三春町
三春ダムの建設により水没する中学校の代わりにつくられた学校である。
全部で6クラスしかないという小規模学校である。
教化教室型のシステムを採用した設計になっており、ホームルームがない代わりに
ホームベースと名付けられた溜まり場が設けられています。
建物はRCと木造の複雑な組合せによって構成されていて、
最近の香山さんのデザインと比べるとかなりおとなしいものになっていました。 '03.3.4
1992 郡山市立美術館
柳澤孝彦+TAK建築・都市計画研究所 福島県郡山市
ターナーやコンスタブルなどイギリス絵画を多く収蔵する美術館である。
穏やかな自然に囲まれた快適な場所につくられています。
石の広場は柳澤氏の建築で多用される手法である。
そして杉小割肌コンクリート打ち放し(と言うらしい。。)も、真鶴町にある「中川一政美術館」で
見られた柳澤氏の特徴の一つで、面白くて良いデザインだと思います。
そしてエントランスを入ったホールの落ち着いた空間がすごく良かったです。 '02.5.8
1994 いわきニュータウン
センタービル

北川原温+ILCD 福島県いわき市
いわき市におけるニュータウン開発の中心部につくられた市民センターです。
中央部に設けられた吹き抜けのアトリウムを挟むように、全く異なるデザインの
建物がつながって一つの建物を構成しています。
鋼板の外壁にランダムに設けられた開口部を持つ北側の建物と
熱線反射ガラスによるカーテンウォールにブリーズソレイユという「メトロツアー」にも
使われた手法の南側の建物によるモノトーンな外観となっています。
それに対してアトリウムに入ると真っ赤な階段とブリッジの壁が鮮やかな空間を
つくり出していました。
北川原氏は湖面に浮かぶ船をイメージして設計したそうですが、僕には船というより
左右の建物をキャタピラに見立てた戦車にしか見えませんでした(笑) '05.12.21
1995 棚倉町文化センター
古市徹雄・都市建築研究所 福島県棚倉町 東北建築賞
棚倉町出身の建築家、古市氏設計の文化ホールである。
楕円形をしたホールは、町のシンボルである山に軸船を合わせて設計されたそうです。
水とガラス、そして列柱の立ち並ぶ階段を見るととても美しかったのですが、
少し離れて全体像を見ると、色々やりたいことをごちゃまぜにしてしまって
統一性を欠いた感じを受けました。 '02.8.27
1996 川/フィルター
隈研吾建築都市設計事務所 福島県玉川村
川に面して立つ蕎麦屋である。
主要構造部を地下につくり、前後の壁をガラスと木のルーバーにすることにより
軽やかな外観をつくりだしています。
川への高低差を利用してエントランスを2階に設け、主な食事室を川に近い
1階にしています。天気の良い日はオープンテラスで食事することも可能です。
川まで下りていくことが出来るよう階段も設けてあります。
蕎麦もなかなか良いのでぜひ食べてみてください。
店の人が、建築の学生はスケールを持ってきて計り始めるので困ると言ってました。
それから食事している人がいるのに写真を撮りまくって困るとも言ってました。
建築見学はマナーに注意しましょう。。 '02.10.28
1998 ビッグパレットふくしま
2000年日本建築学会賞
北川原温建築都市研究所 福島県郡山市
福島につくられた東北第二のコンベンションセンターである。
何もないだだっぴろい場所に突如巨大な建物が現れます。
そして駐車場から続くペデストリアンデッキがものすごい螺旋になってます。
屋外展示場などをつくり出しているルーフのデザインも
構造に欠かせない要素だそうですが、凝りまくってていてもはや訳わかんないです(笑)
内部空間は吹抜けのアトリウムなど、アルミによる空間が多用されていますが
レストランやちょっとした休憩室の内装は、そうではなく良かったです。
これを一般の人が見たら、お金の無駄使いに見えるんでしょうね。。 '02.12.9
フォレストパークあだたら トム・ヘネガン+安藤和浩(アーキテクチャー・ファクトリー)
福島県大玉村
安達太良山麓につくられたオートキャンプ場である。
既存のキャンプ場に増設する形で約40haの土地にビジターセンターを中心として
コテージや展望台、トイレ棟などの建物が点在しています。
ビジターセンターはエントランス側から見ると低層の建物が連続していて
裏の森を感じさせない外観となっていましたが、内部の開口部からの眺めや
森側に設けられたデッキでは自然を満喫できる空間となっていました。
コテージは森の木々の間に配置されていて、ダークな色彩と柔らかなアールを
描く屋根が特徴的でした。
うちの県にもこんなキャンプ場が近くにあったら何度も行くのに。。 '06.1.29
北会津村役場庁舎
古市徹雄・都市建築研究所 福島県会津若松市
北会津村(2004年に会津若松市に合併)の役場庁舎である。
平坦な田園風景の中に存在するタワーを持つ大きな建物なので
村のランドマークになっていると思われます。
東北エリアにある他の古市建築に比べて、この建物はスッキリしていて良いです。
内部に入ると、この地域は豪雪地帯にもかかわらず木の細い柱を軽やかに並べています。
また、南面には大きな開口部を持たせ、柱上部にも円形のトップライトを設けています。
高い天井の執務空間は開放的で気持ちが良さそうでした。
この建物のメイン(?)ともいうべき展望塔に上ると遠くまで広がる田が見えるだけなんですが
この地域に住む人々にとっては高いところから見る村の姿が新鮮で喜ばれてるそうです。
'06.12.8
2000 太田綜合病院附属
ファミリーハウス桔梗

渡部和生/惟建築計画 福島県郡山市
長期入院している子どもに付き添う家族が宿泊したり、子どもとふれあうための施設である。
すぐ隣にある保育園も同設計者によるものであり、
太田綜合病院関係の施設はほとんどが渡部さんの設計によるものです。
すごいパトロンと出会えて設計者は恵まれていると思いました。
杉板張りの外壁と乳白色のガラスが柔らかで清潔な雰囲気をつくり出しています。
小さな建物ですが、トップライトなどから降り注ぐ光によって気持ちよい内部空間に
仕上がっていました。 '03.5.29
光の風景
東村保健福祉センター
渡部和生/惟建築計画 福島県東村
自然に囲まれた良い環境につくられた保健センター、デイサービスセンター、
在宅介護支援センターの複合施設である。
緩やかなヴォールトの薄い屋根が全体を覆っていて、渡部さんの特徴である
ガラスを多用した立面となっています。
屋根の所々に設けられた大きな丸い開口にも、渡部さんらしさが見られました。
北側には池があることから、眺望を意識して屋外デッキを設けたり、
吹き抜けの食堂空間の北面を全てガラスとしています。
全体的に「軽さ」を追求したような建物ですが、ちょっと「もろさ」みたいなものも
感じてしまいました。。
しかし、渡部さんって福島県の医療福祉関係の建物以外に作品あるんやろか? '05.12.25
福島県男女共生センター
槇文彦/槇総合計画事務所 福島県二本松市
城下町である二本松市につくられた男女共同参画をめざした施設である。
通称は「女と男の未来館」だそうです(なんかちょっと笑える名称ですが。。)。
ホール、図書室、レストラン、宿泊施設などで構成されています。
敷地は奥に丘が存在するために高低差が12mほどあり、そこにL字型に建物が配置されています。
建物は3層になっていて、1、2階部分がレンガによる堅固な表情、3階がガラスによる透明感、
4階以上が木とアルミのルーバーによる軽快さを感じさせます。
北側に設けられた丘と建物に囲まれた庭は、街の喧噪を全く感じさせない自然を満喫できる
空間になっていて、ウッドデッキによるサンクンテラスも非常に快適でした。
内部は中央にカスケードと名付けられた吹抜けの空間がつくられていて、
そこにつくられた建物を縦に貫く銅板のエレベーターシャフトの赤色が建物全体にアクセントを
与えていて好感が持てました。そういえば槇さんの建物って赤色をアクセントに使うこと多いですね。
僕が行ったときは女性問題に関するシンポジウムみたいなものをやっていて
建物内にいる人がほとんど女性だったのでなぜかドキドキしながら見学してました。 '05.1.15
2001 福島県ハイテクプラザ
会津若松技術支援センター
古市徹雄・都市建築研究所 福島県会津若松市
県内における工業の振興を図るためにつくられた試験研究機関である福島県ハイテクプラザの
一つの施設で会津若松市にあります。
建物と一体型となった太陽光発電システムを取り入れていて、外観を特徴付けています。
また、ダブルの梁と柱の間から規則的に煙突が設けられており、これも外観の大きな特徴と
なっていました。
エントランス部分やルーバーに伝統を感じさせる木造を取り入れていました。
エントランスを入ると会津塗りされた「smart」(自動車)が置いてあって面白かったのですが、
奥に行くとRCによる廊下が寒々しくて、さすが研究施設といった感じになっていました。。
'04.1.4
光の学校
福島県立郡山養護学校
渡部和生/惟建築計画 福島県郡山市
2004年日本建築学会賞
郡山市の中心部から北西に行った場所にある肢体不自由養護学校で、
寄宿舎と小中高校の複合施設である。
敷地の高低差を利用して1階、2階ともに送迎車が入り口まで横付けできるような
設計になっていて、施設のボリュームを抑えることにも成功しています。
教室間や建物周りにウッドデッキによる庭の配置、ハイサイドライトの多様、
軽やかなガルバリウムの屋根などにより、一般的に閉鎖的なイメージを与えがちな施設を
非常に開放的で明るく心地よい空間にしていました。
施設全体の核となっているスパイラルスロープは、教師や子供たちとのワークショップ時に
子供から提案されたそうですが、この空間により建物が引き締められている気がして、
ワークショップの重要性を再認識させられました。
見学に行ってなかなか良いという感想をもった後で学会賞を受賞したので、
なんとなく「俺って建物見る目あるじゃん!」とか思ってしまいました(笑) '05.1.23
2002 光の学校2
太田看護専門学校

渡部和生/惟建築計画 福島県郡山市
郡山市の医療の中枢を担っている太田綜合病院の専門学校である。
渡部さん設計の建物の多くが郡山市にあり、ほぼ全てがこの病院関係の施設です。
建物は病院から続くせせらぎの小径を通ってアプローチ出来るようになっていて
そのまま施設内のスロープに連続するように設計されています。
住宅地に面した建物南側は箱形の連続する立面になっていますが、
スロープのある北側は二つの長い円弧状の屋根が交わる面白い立面になっています。
東側に行くほど下がっているために地面が高い西側の地下に講堂などを設け、
建物の高さを抑えています。
2004年学会賞を受賞した「福島県立郡山養護学校」もそうですが、
非常に美しい建物で学生がうらやましいです。 '04.12.24


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