白井晟一のページ
Seiichi Shirai Architecture

孤高の建築家、白井晟一。
彼の作品の中で僕が見てきたものを紹介するページです。

作品 データ
1951 秋ノ宮村役場
秋田県雄勝町
秋田県に多くの建築が存在する白井さん設計の建物の一つである。
旧秋ノ宮村の役場として建築されましたが、役割を全うし解体されそうだったところを
移築され保存された建物です。
村の民家に想を得たというT字型平面を持つ2階建ての木造建築で、
列柱が並ぶ正面ファサードと裏側のテラスが特徴的です。
木々の中に佇む赤い建物が非常に美しかったです。
移築されて建物が残ったのは嬉しいですが、何の利用もされていなかったのが残念でした。
窓からのぞくと物置のような使われ方しかしていなかったので、資料館とかにして
活用することを考えてもらいたいなあ、と思いました。 '05.6.7
1956 旧松井田町役場
群馬県松井田町

群馬県ののどかな町につくられた役場である。
その後中央公民館を経て現在は資料館として使用されています。
ファサードが特徴的で、湾曲した庇を持っていて2階ではこの庇がバルコニーとして
利用できるように設計され、建物が高台にあるため展望台も兼ねています。
切妻の大屋根を円柱で支える姿は神殿のように見えるため「畑のパルテノン」とも呼ばれたそうです。
中に入るとすごい形相の顔写真がいきなり置いてありびっくりしたのですが、それが白井さんの
顔写真でした。。 '03.4.5

1958 善照寺本堂
東京都台東区
浅草につくられた本願寺派の寺院である。
大きな庇が特徴的な切妻屋根の住宅のような形態で、屋根の厚さが建物全体に
重たさを感じさせてしまいそうですが、キャンチレバーによる回廊を周囲に
巡らせることによって浮遊感のある軽やかな建物としています。
内部は屋根の形態がそのまま表れていて、湾曲した天蓋の下部にだけ畳が敷かれています。
そして、畳以外の部分に教会のような長椅子が並べてあります。
建物四隅や内部の六角形の柱、サッシュの黒とRCの白の対比が美しいかったです。
'05.9.1
1960 湯沢酒造会館 四同舎
秋田県湯沢市
湯沢市のまちなかにつくられた酒造会館である。
おそらく湯沢市の酒蔵が共同で建てた会館だと思います。
黒い柱が力強い2階建ての建物で、屋根が曲面になっているところが雪国らしいデザインです。
1階ホールには「旧松井田町役場」などでも見られた美しい螺旋階段があります。
裏側にまわると二階部分にはバルコニーも設けられていますが、
隣家があって見晴らしはよくなさそうです。
窓の下部やバルコニーなどに見られる円の造形をたくさん並べると「横手興生病院」に
なるんだなあ、とか思いながら見学してました。 '05.10.16
1963 親和銀行東京支店
東京都中央区
銀座の晴海通りに面して立つ銀行である。
白井さんによる一連の親和銀行建築の第一作目です。
下層部の彫刻のような石の塊が上部の直方体を持ち上げています。
二つの中間に設けられた円を連続して並べたデザインは、他の白井建築で多用されています。
ほとんど開口部はなく、細くスリット状に設けられた窓だけというのが白井建築らしく
内部の閉鎖性が想像できます。
普通にこの建物見たら誰も銀行だとは思わないのでは。。
残念なのは建物上部に「辛子めんたい」の看板が乗っていて雰囲気を台無しにしてます。。
ずっと前から親和銀行ではなくなっていて、その後百貨店の事務所として使われていた
みたいですが、ネットで見た個人ページには近々解体されるという事が書いてありました。
かなりびっくりしてるんですが、詳細をご存じの方教えてください。お願いします。 '06.4.20
(追記)実際に確認したのではないですが、解体されてしまっているみたいです。。 '07.2.4
親和銀行大波止支店
長崎県長崎市
白井氏が多くの建物を手がけた親和銀行の支店である。
長崎駅にも近い大通り沿いに面して建っているこぢんまりとした低層の建物で、
通りの喧噪を遮るような重厚で閉ざされた空間となっています。
3階部分は1973年に増築されたそうで、竣工当時はもっと低層だったみたいです。
曲面を持つ建物本体周りを回廊状にして、本体との間に水面をつくっています。
これまでいくつかの白井建築を見てきて、そのほとんどが周りに対して閉ざした
空間づくりをしていたと思っていたのですが、この建物は回廊と水面という
公共的な空間を設けていたことに少し驚きを感じました。
これぐらいの規模の作品を見ているとなんとなく気持ちが落ち着きます。 '05.5.22
1971 昨雪軒 秋田県横手市
数多くの白井建築が存在する秋田県につくられた住宅である。
横手市は白井晟一が横手興生病院も設計している都市です。
道路からは塀と門屋しか見えないのですが、門屋をくぐると前面に広々とした石庭を持つ
純和風の住宅が現れてきます。
大屋根の被さった1階の上にちょこんとのった小さな2階部分がかわいいです。
竣工当初は白井氏の住宅によく見られるむくりのついた屋根だったのですが、
現在は葺き替えられてしまっています。 '07.12.8
1974 サンタ・キアラ館 茨城県日立市
茨城キリスト教大学キャンパス内につくられた礼拝堂である。
所々に凸を設けた赤レンガ貼りの外壁が特徴的ですが、
低層であることもあってか非常におとなしめな印象を受けます。
レンガ貼りの曲面による外観は、同時期に竣工した「ノアビル」の低層部を思い出させました。
ちなみに建物端部の曲面が艶めかしく見えるのは僕だけでしょうか(笑)
残念ながら内部を見ることは出来なかったのですが、
木と石による荒々しい半地下の礼拝堂に次回は入ってみたいです。 '06.11.5
ノアビル
東京都港区
東京タワーにも近い麻布の交差点に立つ事務所ビルである。
レンガによる基壇の上に黒光りした円筒形が載るという特異な外観はものすごいインパクトです。
交差点側から見ると上部は完全な楕円形平面に見えるのですが、
実際は裏側にエレベータなどを収めたコア部分が張り付いています。
テナントビルにもかかわらずあまりに開口部が少ないのは、白井さんらしいのですが、
入居する企業があるのかどうか非常に心配になってしまいます。 '07.3.31
1975 親和銀行コンピューター棟
長崎県佐世保市
1960年代に白井氏が設計した本店の横につくられたコンピューター棟である。
本店が低層建築であるのに対してこれは高層の塔になっており、
諫早石による外壁はモニュメンタルな印象を強く受けました。
開口部にアクセントとして付けられた朱色の枠が外観を引き締めていました。
正面から見ると整ったデザインだなあ、と思いましたが、側面を見てびっくりしました。
側面はバラックな感じになっていて正面とのギャップがすごかったです。
'03.5.7
1980 渋谷区立松濤美術館 東京都渋谷区
渋谷区の高級住宅地、松濤につくられた区の美術館である。
住宅街であることから低層の建物とするために地下2階、地上2階になっています。
白井さんらしい曲面をもった花崗岩による外壁に銅板の屋根がのせられていて、
この不思議な形態は住宅街の中でかなりの異彩を放っていました。
内部は、中央に建物を貫く外部吹き抜けを持ち、
吹き抜けを巡るようにギャラリーが配置されています。
また、1階では吹き抜けを渡るブリッジが架けられています。
外観のインパクトに対して内部はそれほどでもなかったのが少し残念でした。 '05.1.8
1981 石水館 静岡県静岡市
静岡市の登呂遺跡のある公園内につくられた美術館である。
名称は芹沢_介美術館です。芹沢氏は染色工芸家であり彼のコレクションを展示している。
韓国産の赤御影石を積んだ外観が特徴的である。
中央の噴水のある池を取り囲むように展示室が配置されている。
内部空間も落ち着いた雰囲気をかもし出しているが、
柱頭のつくりがゴテゴテしていてちょっと笑える。
休憩室はレトロな感じであるが中庭を見る気持ちの良い空間を作り出している '01.2.18
1984 びわこ湖北寮 滋賀県
琵琶湖の最北端の湖に面して建てられた会社社員の保養施設である。
敷地は傾斜地で琵琶湖を望む最高のロケーションに立っていて、
建物は三方へと伸びていく平面プランになっています。
壁面が丸みを帯びており、屋根にも丸みを持たせているため優しい外観となっていました。
驚いたのは外壁なんですが、下部の荒い石積みはともかく、上部のタイル貼りが
鮮やかな水色になっています。今まで見た白井建築にはない色遣いだったので
正直「白井建築なの?」と思ってしまいました。
よく考えたら白井さんが亡くなったのが1983年で、この建物の竣工はその翌年なので
どこまで白井さんが関わっていたのか微妙というところでしょうか。。 '06.12.10
雲伴居 京都府京都市
京都市につくられた住宅である。「うんばんきょ」と読むそうです。
白井さんの遺作で、この現場で白井さんは倒れて亡くなられたそうです。
故郷である京都に建築し自ら住む予定だったのですが、現在は別の人の手に渡っています。
路線状敷地に立っていることや高い塀に囲まれている(塀は竣工当初は低かったが、
後で継ぎ足して高くしているのがブロックの違いでよく分かります)ことから、
門と屋根が少し見えるだけでほとんど全貌は分かりません。。
ただ、ゆったりとしたむくりを持たせた大屋根はよく見えました。
かなりわかりにくいところにあるのですが、やまうちさんに連れてきてもらって
見ることが出来ました。ありがとうございました。 '06.12.10


Homeへ

Architectureのページへ