毛綱毅曠のページ
Kikoo Mozuna Architecture

釧路出身の建築家であり、奇抜な建物を作り出す建築家の一人毛綱毅曠のページ。
彼の作品の中で僕が見てきたものを紹介するページです。

作品 データ
1972 反住器
Anti-Dwelling Box
北海道
毛綱さんの名を一躍建築界に知らしめた住宅であり、ポストモダンの先駆的な建築である。
一人暮らしの毛綱さんのお母さんのために建てられました。
建物は簡単に言うと、大きな箱の中に中くらいの箱があって、その中にまだ小さな箱がある
という仕掛けになっていて、大きな箱が外壁、中くらいの箱が居室、その間が通路、
小さな箱は家具という機能が持たされています。
三角のガラス面が正面、側面、そして屋根に設けられているため、内部は非常に明るく、
通路はサンルーム的な役割を果たしているそうです。
内部を体感できないのは残念ですが、いつかは入ってみたいです。 '07.12.4
1982 幣の間
弟子屈町屈斜路コタン
アイヌ民俗資料館

Teshikaga Town
Kussharo Kotan Ainu Folklore Museum

北海道弟子屈町
屈斜路湖のすぐ近くにつくられたアイヌの民具など民俗資料を展示する施設である。
RC打ち放しに亜鉛合金のドームが乗った独特な外観で、この後に毛綱氏が釧路につくる
建築群にも多用されている曲がり梁がここでも見られます。
アプローチにある7本の柱や展示室内にある楕円柱やオベリスク柱は全て「木」を表していて
毛綱さんの解説によると建物の名称にある「幣(ヌサ)」とは遙か昔にあった聖なる木のことだそうです。
それ以外にも「原子の世界と宇宙が・・」とか「オルフェウスの冥府が・・」とか難しい意味が
あるようですが、理解できません(笑)。
内部の展示空間はドームの部分だけで非常に狭いですが、熊とアイヌの人が戦っている
等身大(?)の展示があって、それがなかなかかっこよかった(面白かった?)です。
展示室内にある楕円柱や円柱、展示ケースなどは屈斜路湖から引き上げられた沈木材が
用いられているそうです。 '05.5.28
1984 釧路市立博物館
Kushiro City Museum
北海道釧路市 1984年日本建築学会賞
春採湖を望む公園内につくられた博物館である。
次第に半径の小さくなる半円をピラミッド状に重ねたシンメトリックな外観である。
釧路湿原展望資料館の湿原復元スペースは、この博物館の外観とネガポジの関係を意識して
設計されたそうです。
左翼に主な展示室があり、その中央部にある3層吹き抜けの二重螺旋階段が
インパクトあります。これは記憶の構造をイメージした螺旋である。
釧路に到着した日が日曜日の夕方で、月曜休館のため、ここに閉館10分前に飛び込んだ僕を
中に入れてくださって、しばらく見学させてくださった館員の方ありがとうございました。
'02.5.22
釧路市湿原展望資料館
Kushiro Marsh Observatory
北海道釧路市 1984年日本建築学会賞
釧路といえば湿原、その湿原の展望台兼資料館である。
外観はなんとなくお茶目な印象を受けますが中に入ってびっくり、
「これが資料館?」というような内観でした。
何か生物の内部に入ったか?もしくはUFOの中なのか?と思うような空間です。
(写真は宇宙船に入っていく人間ではありません(笑)見学しているお客さんです。)
何層にも重なったヒダのような造形は北海道にある幾つかの毛綱建築でも見ることができました。
ちなみに写真でもわかるように、僕が訪れた時はすごい霧で、全く湿原は見えませんでした。
というより、ちょっと離れると建物すらどこにあるか分からない状態でした。。 '02.1.7
(追記)久々にここを訪れたのですが、今回は霧ではなく豪雨でした。。
写真を鮮明なものに変えました。 '06.12.5
1985 まる中本社ビル
Marunaka Head Office Building
滋賀県長浜市
琵琶湖にほど近い場所に立地する会社の本社ビルである。
ぱっと見ると新興宗教の施設かと思ったのですが、これでも会社だそうです。
毛綱さんのデザインはもっとカラフルかメタリックなイメージだったのですが、
この建物は全体が白で統一されていて落ち着いています。
ただ、やはり意匠の細部は毛綱さんらしいものが見られます。 '02.9.2
(追記)2017年頃に解体され、現在は更地になっています。 '23.12.31
1987 釧路キャッスルホテル
Kushiro Castle Hotel
北海道釧路市
釧路に数多くある毛綱建築の一つである。
同じ設計者によるフィッシャーマンズワーフと旧釧路川を挟んで対岸にあります。
船をイメージしたという特徴的なデザインはいまどきのラブホのようです(笑)
内部は結構落ち着いた大人の雰囲気になっていたような気がします。
釧路市湿原展望資料館を見に行った同じ日に見学に行ったのですが、
霧がひどくて外観の意匠があまりよく見えなかったのが残念です(写真も最悪ですんません。。)
'03.6.9
(追記)久々に釧路に行って写真を撮ってきたので、ちょっと美しくなりました。 '06.12.5
CUTビル
岐阜県岐阜市
岐阜市の中心部につくられた商業ビルである。
間口の狭い建物で、地下2階、地上4階の毛綱氏が設計した建物の中では
かなり小さな部類に入ると思われます。
4階にあるギャラリーが管理人の店ということで、ギャラリーへの搬入のための
引っ掛ける金具(海外ではよく見かけますが、名前がわからない。。)が
ファサードの特徴となっています。
竣工当初は卵型オブジェがエントランスにあり、奥には伽藍が配置されていたようですが
現在はオブジェは撤去され、伽藍が物悲しく残されていました。。 '03.11.1
1988 若美町立鵜木小学校
秋田県若美町
男鹿半島の根元、八郎潟干拓地を望む場所につくられた小学校である。
1学年1学級という小規模な学校である。
楕円形の中庭を取り囲むように校舎が計画されており、アクセントとして3つの塔が
配置されています。
そして楕円形校舎から長い渡り廊下を通って体育館にアプローチするよう設計されています。
校舎と体育館の関係をスペースコロニーとスペースファクトリーに対比して設計されたそうですが
わざわざ長い渡り廊下を通って体育館に行かなくてもすぐ横につくってくれたら
生徒はうれしかったのではないでしょうか。。 '03.3.10
1989 釧路フィッシャーマンズワーフ
Kushiro Fisherman's Wharf
北海道釧路市
釧路市の市街地、旧釧路川の河畔整備事業によりつくられた施設である。
川に沿った細長い敷地に二つの建物が配置されています。
一つはガラスのカーテンウォールで覆われたドームで、内部は緑地になっていて、
もう一つのメイン施設は、バスターミナルや船の待合所、特産品売場、ショッピングモール、
飲食店などの複合施設になっています。
外観は相変わらずの毛綱節が炸裂していて、鶴をイメージしたという鉄骨のウイングや
飛び出したデッキなどが特徴的でした。
内部はRCによる空間になっていましたが、吹き抜けやトップライトなどを使っていたにも
関わらず暗い印象が強かったです。ショッピングモールも寂しげでした。。 '04.3.30
アンフォルメル中川村美術館
長野県中川村
長野県の山深い中川村につくられた美術館である。
美術館棟、彫刻館棟、便所棟、シンボルタワーという複数の建物から構成されています。
メインの美術館棟前にはシンボルタワーと便所棟があり、ガラス張りのエントランスホールの
向こうに列柱の並ぶテラスが設けられ、南アルプスを眺めることが出来るようになっています。
そして少し離れた場所に楕円形の展示室を持つ彫刻館が配置されています。
展示されている作品は第二次大戦後の西欧の前衛芸術運動であるアンフォルメルなので、
構造体がむき出しであったり、赤などの原色を使った毛綱氏による派手なデザインは
うってつけだったような気がしました。
ただ、美術館は非常に山奥にあり、アクセスには苦労しました。
もうちょっと行きやすい場所に建ててくれたらいいのに。。 '05.9.28
1991 石川県
能登島ガラス美術館
石川県鹿島郡能登島町
能登半島にある能登島のガラス美術館である。
敷地全体をひとつの枯山水の庭とみなし、
建築をオブジェ化して環境と調和させることを意図された。
と本に書いてあったが、どうみても枯山水とは思えない。
地球に不時着した宇宙船のようだった。
そして室内空間もそのイメージを裏付けるような感じだった。
しかしそこここに細かいこだわりが表れていて楽しい。
(例えば展示ケース一つ一つ違った思い入れが見られるなど)
くもりガラス張りの壁があり近づくとくもりがなくなり、海が見える。
という仕掛けはとてもよかった。 '99.9.9
下川町ふるさと交流館
Shimokawa Town Furusato Museum
北海道下川町
下川町のまちおこしとして整備された桜ヶ丘公園につくられたシンボルの塔と資料館である。
水面に架けられたブリッジを渡って展望台や展示空間を持つ塔にアプローチします。
メインの資料館はこの塔の裏側にある半地下の建物にあります。
あまり見学に来る人がいないらしく建築を見学に来たというと受付の方がたくさん説明して
くださいました。この建物を見に行った日の数日前に毛綱さんが亡くなられたこともこの人に
教えてもらってすごくびっくりしたことを今でも覚えています。
ただ、毛綱さんの建物は非常にお金がかかってしまって予算をかなりオーバーしたことや
すべて特注なのでメンテや補修などにもお金がかかって大変だとかなり愚痴ってました。
この建物を見に来て知ったのですが、この公園はもう一つのまちおこしとして
15年かけて総延長2kmの「ミニ万里の長城」を建造したんだそうです。
建造中は誰でも石積みセットを買えば名前などを彫ってもらえたそうで、
いろんな名前や言葉がたくさん彫ってあるので見ていると結構面白いです。 '04.8.21
1992 にしわき経緯度地球科学館
兵庫県西脇市
西脇市岡之山美術館と同じく「日本のへそ公園」の敷地内にある科学館である。
科学館に向かうとまず、半球形の映像ホールが見えるのですが、
これが子供の書いた人の顔のようで
かなり笑えます。その裏側にエントランスがあり台座形をした展示室に入っていきます。
展示室の上には六角柱の塔があり、それが天文台になっています。
エントランス脇にあるモニュメントにも深い意味があるようです。
毛綱氏の建物にはよくこの手のモニュメントがよく見られるなあ。 '01.10.16
1993 オプスおぐに
新潟県小国町
新潟県の山の中にある小国町につくられたレジャー施設である。
山の緑に対して建物の黄色や青といった原色がすごく目だっていて、
ある意味景観破壊しているともいえる建物です。
相変わらず毛綱氏に言わせると深い意味があるのだと思いますが、
よくわからない外観です。円筒形に4つの立方体をくっつけた形をしてます。
円筒をよく見ていると顔に見えてきたのは僕だけでしょうjか。。
元々は町の小さな遊園地といった施設だったようですが、現在は「紙の美術博物館」に
変わっていました。 '02.9.29
武生ナイフビレッジ
福井県武生市
武生市といえばナイフなどの刃物が伝統工芸として有名であり、
この建物はそれらの工場と販売施設である。
見た目からドラム缶に三角屋根をつけただけのようなすごい建物である。
販売部分の内観はやたらと明るくカラフルな彩色であるがまるで簡易施設のようである。
裏には元からあったであろう普通の工場がくっついていて
販売部分の二階からスロープでつながっている。
工場部分に入ったときの埃っぽさと暑さのギャップにびっくりした。
ファサードに見られる大階段を上るとなにかがまつってあり、中には入れない。
でもこの施設るるぶとかにも載ってるぐらいの施設なんだよなあ。。 '00.11.15
1994 玉名市立歴史博物館 熊本県玉名市
港町として栄えていた玉名市の歴史について展示した博物館である。
二つの建物をブリッジでつないだ設計である。
片方が事務室・倉庫・エントランスホール等になっていてもう一方の円形の建物が展示室である。
真ん中にシンボル展示として幻の船というオブジェが置いてあって、
その周りの展示廊下をまわるという動線なのですが、
なぜかシンボル展示に降りる階段がつくってあるので「降りていいですか?」
と聞くとそんなこと聞いた人がこれまでいなかったらしく困っていました。
結局降りてはいけないそうです。
そしたらなぜつくったのか?おそらく管理用でしょう。
毛綱氏らしく外観も面白くて大階段により屋上にのぼると16本の列柱がたっていて、
それぞれに玉名市ゆかりのものが展示してある。 '01.6.6
1995 中三弘前店
青森県弘前市
弘前の中心部にある老舗デパートの増改築である。
屋上につくられた円盤状のデザインなど、毛綱氏らしさがよく見られますが
よく老舗のデパートが毛綱氏に頼んだなあ、と感心してしまいます。
細かく見ていくと既存の部分が見えてきますが、全体としてはまとまってるんじゃないでしょうか。
ただ、ミスドのデザインがファサードに混ざっているのはちょっとがっかりです。 '02.10.21
1996 北海道釧路湖陵高等学校
同窓会ギャラリー

Hokkaido Kushiro Koryo High School
"Alumni Association Gallery"
北海道釧路市
釧路市内にある毛綱氏の母校につくられた小さなギャラリーである。
道路に向かって下がっていく傾斜した場所に建てられており、
建物の壁面も傾斜していて、ブリッジを通ってアクセスするようになっています。
建物の形態や壁面に斜めに伸びる柱が船をイメージさせ、毛綱氏はノアの方舟を
テーマに設計したのだと思われます。
下見板貼りの外壁を紅白に色分けしたのも何か意味があるのだと思いますが、
ちょっと知識がなさすぎて分かりません。。 '07.1.1
1997 ほくほく線くびき駅
新潟県頚城村
新潟県の六日町から大潟町を結ぶ鉄道「ほくほく線」の駅である。
電車を降りるといきなり目玉おやじのような半卵形のドームが見えます。
銀色に塗られたコンクリの真中にガラスの開口部が一つというすごいデザインです。
逆に外からこの駅舎に入ろうとすると入口は赤く塗られた杉の外壁になっています。
内部はホーム側は黒、入口側は白で黒から白へのグラデーションになっています。
天井には雲のようなオブジェが吊り下げられていました。
ここに置かれていたベンチにおじいさんが座っていましたが落ち着ける雰囲気では
なさそうでした。
内部には毛綱氏によるデザインコンセプトが貼ってありましたが、
「丸いガラス窓は太陽系を表しています」とか「宇宙的な広がりを表現しています」など
相変わらず理解しがたいものでした。。 '03.5.24
黄金崎クリスタルパーク
静岡県西伊豆町
伊豆の西側、西伊豆町につくられたガラスミュージアムである。
建物名称にも付けられている黄金崎は西伊豆の観光名所で、
黄金色に染まる夕日が美しく、三島由紀夫の小説にも登場しています。
敷地は徐々に山に向かって上っていくような緩やかな傾斜を持っていて、
建物は中央に円筒形のガラスの塔を設け、その手前にレストランや工房が
入った低層棟を緩やかなカーブを持たせて配置しています。
展示空間であるガラス塔の天井は開閉が出来るようになっていて、
暗闇の空間と自然光の入る空間の切り替えが可能になっています。
ちなみに僕が見学したときは天井は閉まってたのですが、
ガラス展示をするミュージアムで自然光の展示をすることってあるのかなあ。
あと、毛綱さんの設計としては珍しく(?)普通なデザインのような気がしたんですが。。
'06.12.4
北見市芸術文化ホール
Kitami Art and Culture Hall
北海道北見市
北海道東部の都市、北見市の北見駅前につくられたホールである。
外観を特徴付ける全面ガラス張りのホワイエ空間を正面に設け、
その後ろに大小二つのホールを並列させています。
ホワイエ内部は緑色をアクセントで入れた列柱が並ぶ大空間になっています。
ただ、毛綱さんが設計した建物にしてはパワー不足のような気がします。
設計が毛綱さんだけでなくてJVだから毛綱色が薄まってしまったのでしょうか。。
'08.11.16
1998 スパティオ小淵沢 山梨県小淵沢町
山梨県の小淵沢町につくられたスパリゾートである。
広々とした芝生広場、温泉施設、みやげもの屋、レストラン、宿泊施設というよくあるパターンである。
宿泊施設の外観は彼らしさが少しは見える(窓とか)ものの内観はおとなしめである。
光庭をとっている廊下は天気のよい日はとても気持ちがよいです。
広場にあるガラス張りの建物はちょっとした食べ物やアイスクリームが売っていた。 '00.6.11
青森中央学院大学本部棟
青森県青森市
平成10年に開校した青森中央学院大学の施設である。
大学の本部棟であり、大学に入るとすぐ中央にそびえるように建ってます。
毛綱氏らしいデザインで、一目でこれだとわかります。
あいかわらず意味はよくわかりませんが。。
内部は白を基調にした意外に落ち着いたデザインでした。
そして裏側に回って見ると普通の建物に変わってしまいます。。
同じ大学内に学術交流会館というのがあり、これも派手で、遠くから見たときは
ラブホテルかと思いました。まさかあれも毛綱さんじゃないですよね。。 '02.11.28
1999 丸亀市立城乾小学校
Marugame Joken Elementary school
香川県丸亀市
丸亀駅の近くにつくられた小学校である。
毛綱氏設計の建物は学校建築向けとは思えないのですが、意外(?)にたくさんの
学校建築を設計されています。
道路に面した正面のデザインが特徴的で小学校には到底見えません。
円形の部分には音楽室が入っているそうです。
南北に長い建物なのですが、正面に対して側面や裏側に回ると残念ながら普通のデザインでした。
そして見学させてもらおうと中に入ると先生に丁重に断られ、勝手に入ったことに対して
怒られてしまいました。しくしく。。 '03.4.15


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