槙文彦のページ
Fumihiko Maki Architecture

大御所になりつつある(なっている?)建築家、槙文彦。
彼の作品の中で僕が見てきたものを紹介するページです。

作品 データ
1960 名古屋大学豊田講堂
Nagoya University
Toyoda Memorial Hall

愛知県名古屋市 1962年日本建築学会賞
名古屋大学の中心に建てられた講堂である。
内部は1600人収容のオーディトリウムや会議室があります。
大スパン架構はまさにモダニズム建築の代表格にふさわしい風格でした。
ピロティの荒々しい空間や、前面につくられたオープンスペースも
学生の集う場所を計画していたはずなのですが、そこで憩っている学生は全くいませんでした。。 '02.5.27
1962 千葉大学記念講堂
千葉県千葉市
千葉大学内につくられた講堂で、大学創立85周年を記念して建てられました。
敷地は道路から大学構内の坂道を上っていった自然豊かな丘の上にあります。
槇さんがハーバード大学の助教授だった時に設計したためか実施設計は竹中工務店が行っています。
四隅に柱状の階段室を設けた台形ファサードを持つ建物で、四本足の生き物のようにも見えました。
どうやら正面に見えるガラスフレームの薄い緑色は後から塗られたもののようです。
1960〜70年代の槇建築は現在のスマートな設計とは違ってモダニズムの力強さを感じられて
ある種新鮮です。年月を経たRCの汚れもかっこよく見えてきます。 '05.5.6
1966 大阪臨海センタービル
Rinkai Center Building
大阪府堺市
海に程近い港湾エリアにつくられた複合ビルである。
近年の槇さんの作品は関西に少ないですが、初期の作品は意外とたくさんあります。
この建物もその一つです。
ランドマークのようにそびえる高層棟と、芝生を敷詰めた中庭を囲い込むように
配置された低層棟から構成されています。
芝生の中庭は年月の経過によりやや色あせたものの、彫刻が置かれていたりと
なかなか良い空間を演出しています。
高層棟はよく見ると1963年竣工の菊竹清訓設計「館林市市民センター」に似てるような気が。。
当時はこういうデザインが流行っていたのかなあ。 '02.12.5
(追記)2007年頃に売却され、取り壊されて現存していないそうです。
hinataさんから情報いただきました。 '10.10.31
1970 千里センタービル
Senri Civic Center Building
大阪府吹田市
日本有数のニュータウンである千里ニュータウン内につくられたコミュニティ施設である。
市役所の出張所や千里ニュータウンに関する展示空間などから成ります。
元々は結婚式場も入っていたらしいですが、どうだったのでしょうか。。
また、元々RCによる灰色の外壁だったようですが、現在は白く塗られています。
さらに、コアの上部である搭状の部分の上には時計なんか設置されてしまっていて
なんかかわいらしい外観に変わってしまっています。
一階部分のピロティ空間の作り方や内部の三層吹き抜け空間はすばらしいのですが、
外観の変貌に少し唖然としてしまいました。。 '04.6.9
(追記)今日知ったのですが、いつの間にか解体されてしまったそうです。。
跡地は超高層の住宅・商業複合施設になる計画だそうです。 '06.10.10
1971 金沢区総合庁舎
Kanazawa Ward Office
神奈川県横浜市
 
横浜市金沢区の区役所であり、600人収容の公民館を内包しています。
コの字に建物が配置されており、中央に設けられた広場を取り囲んでいます。
広場が開かれた北側には公園があり、二つの連続性を意識した配置となっていました。
建物の西側を交通量の多い道路が走っているため、外に向かっては閉じており、
内にある広場に向かって大きく開かれています。 '09.6.1
1974 トヨタ鞍ケ池記念館
Toyota Kuragaike Memorial Hall
愛知県豊田市池田町
鞍ケ池の公園の中につくられたトヨタ自動車の博物館である。
トヨタの初期の自動車などが展示されてあり、自動車好きはぜひ行くべき場所でしょう。
緩やかな傾斜の中に埋没するかのようにつくられた三角形のゲストハウスと展示室が特徴的である。
自然景観に配慮した設計をこの時代から考えているとはさすが槙!と思った。
やたらと周辺の芝生がきれいに整備されていると思ったら近くにゴルフ場があった。
小さな部屋に絵画の展示スペースがあって、ついでにみていったらモネとかが
おいてあってびっくりした。
豊田市美術館に行った時も思ったが、さすが世界のトヨタ!! '99.10.25
1975 海洋博覧会記念公園水族館
沖縄県本部町
1975年に開催された沖縄海洋博覧会後に整備された記念公園内の施設である。
博覧会時にはどのような施設だったのかは分からないですが、その後水族館になりました。
連続したアーチによるアーケードが特徴的な施設で、内部空間にもこのアーチが使われています。
老朽化と小規模であるということで2002年に新水族館がつくられたため現在は閉鎖されています。
新たな利用が望まれますが、このままでは解体されてしまうのではないでしょうか。。
菊竹さん設計の「アクアポリス」のような悲しい結末だけは迎えないでほしいです。 '03.1.22
1978 横浜市立並木第一小学校
Namiki Elementary School
神奈川県横浜市
ニュータウン内につくられた小学校である。
建物を南北に走るシリンダー型のガレリアを軸として教室が配置されています。
全体的に校舎はGLから1m持ち上げられて設計されているそうです。
外壁が純粋にRC打放しの建物は、最近の槇さんには少ないので結構新鮮でした。
特にこの建物はコンクリの固まりという印象を強く受けたからかもしれないです。
'04.1.14
岩崎美術館・岩崎工芸館
Iwasaki Art Museum
・Iwasaki Craft Museum
鹿児島県指宿市
鹿児島県の観光地、指宿に建設した私設美術館である。
1978年に美術館が建設され、1987年に工芸館が増築されました。
鹿児島の富豪、岩崎氏が整備した指宿観光ホテルの敷地内に建設した美術館で、
自ら蒐集した美術品を展示しています。
少し離れた位置に軸線をずらして二つの建物が配置されていますが、
地下通路で接続されています。
同じ設計者なのでデザインの統一がみられますが、
二棟の建物の建設時期に約10年の差があるので変化も見られます。
美術館はRCの箱と十字の鉄骨、ガラスの箱によるトップライト等の特徴が見られますが、
工芸館はヴォールト屋根などの曲線が使われるようになっています。
九州のほぼ南端でアクセスしにくいですが、見る価値有りです! '24.2.2
1979 在日デンマーク大使館
The Royal Danish Embassy
東京都渋谷区
代官山の旧山手通り沿いに建てられた大使館である。
すぐ東側には槇さんの代表作である「ヒルサイドテラス」があり、
この建物もヒルサイドテラスの軸線に合わせた配置を行うことで
一体的な街並みづくりが意図されています。
建物は中庭を挟んで2棟配置されており、道路に面した建物を事務棟、奥の建物を
大使公邸としています。
外壁の仕上げを淡いピンク系のタイルとしてあることで優しい外観となっていました。
'10.1.12
1981 虎ノ門NNビル
Toranomon NN Building
東京都港区虎ノ門
三角形の形をしたシンプルなオフィスビルである。
一階はパソコンかなにかのショウルームになっていた。
「N」の形をした赤いオブジェ兼案内サインがアクセントをつけている。
幅員40mの都市計画道路の影響で敷地条件がかなり悪いらしいが、
そんな困難をうまく克服した設計がおこなわれていた。 '99.10.25
磯野不動産広尾ビル
東京都港区
広尾の交差点につくられた東京三菱銀行の広尾支店である。
正方形を基本とした平面に円を貫入させることによって
角地であるという敷地条件をフルに生かすことに成功しています。
タイルや打放しといった多種の素材を表面に使用することによって様々な表情を持たせています。
広尾は代官山と同じく槇さんによる街づくりが行われている場所ですが、
成功度合いから言うと広尾は少し劣る感じがします。。 '03.4.30
1982 前沢ガーデンハウス
富山県黒部市
黒部市につくられた外国人研修生の寄宿舎、社員研修施設等である。
よく手入れされた広い庭のある敷地にゆったりと建っています。
「大きな家」が設計のコンセプトになっているそうです。
全体が正方形の平面構成になっていて研修室が少し軸線をずらしたものになっています。
外観は硬い感じを受けるものになっていますが、内部はコンセプトに沿った木やクロスを
使った伝統的な住宅風の設計になっています。
核になっている中央の吹抜けホールにある階段室は乳白ガラスになっていて
行灯のような穏やかな光を放つようにつくられています。 '03.6.5
1983 電通大阪支社
Dentsu Osaka Branch
大阪府大阪市
大阪のオフィス街に立つ事務所ビル。
狭小な道路に三方を囲まれた困難な敷地の条件を、前面に広場を設ける事でクリアしている。
壁面のアルミパネルと水平なガラス窓は槇らしさを感じさせた。
電通っててっきり大学(電気通信大学)のことだと思ってた俺ってばか? '00.1.29
(追記)現在解体工事中のようです。。 '18.11.3
1984 藤沢市秋葉台文化体育館
Fujisawa Municipal Gymnasium
神奈川県藤沢市 日本建築学会賞
メインアリーナとサブアリーナの二つをエントランス、レストラン等でつないだ体育館である。
サブアリーナは斜めに振った設計になっている。
メインホールは後に設計される東京体育館や幕張メッセのホールと同じ
ステンレスによる特徴的な屋根である。
メインアリーナの80mスパンのアーチも見所ではあるが個人的にはサブアリーナの光の使い方が
とても気に入った。まるで軽井沢にある石の教会(軽井沢高原教会)のようでした。 '00.10.26
セダー・ストーン・ヴィラ
Ceder Stone Villa
東京都渋谷区
旧山手通り沿いに建てられた店舗と住宅で構成された施設である。
この通りには槇さんが長年設計してきた「ヒルサイドテラス」があり、
この建物の斜め向かいには「ヒルサイドウエスト」もあります。
旧山手通りに面した店舗棟と裏側の住居棟が中庭を挟んで配置されています。
店舗棟のガラスブロックによるファサードと住居棟の切妻屋根によるファサードが
それぞれ全く違う表情を見せていて面白いです。 '11.2.19
1985 スパイラル
Spiral
東京都港区南青山
いうまでもなく槇の代表作である。
エントランスホールから一段下がったカフェを通して見える螺旋状に
昇っていくアトリウム(スパイラルホール)がとても良い。
ファサードからは想像できない奥行きに驚いた。
ファサードからも見えている大階段は回廊になっていて
椅子がおいてあり外に向かって座るようになっている。
見ていてなんか変な感じがした。。
1986 京都国立近代美術館
京都府京都市左京区
ちょうどここで「ムンク版画展」が開かれていたので建築も見てきました。
美術館や博物館が多く存在する岡崎公園内にあります。
入ってすぐの天井の高いロビーは圧巻です。
入る前に感じていたイメージよりはるかに内部が大きいことに驚きました。
しかし、壁によく分からない絵がかいてあるのはいやだった。
三階が企画展示、四階が常設展示がしてあります。
ロビーの椅子や四階の休憩スペースがいい感じだった。
常設でピカソやマティスやモンドリアンがあるのもうれしいことでした。
1988 津田ホール
Tsuda Hall
東京都渋谷区
千駄ヶ谷駅前に建つホールである。
すぐ横にある同設計者による「東京体育館」と一連の施設かと勘違いしそうですが、
こちらは「津田スクール・オブ・ビジネス」という学校の記念施設です。
タイル張りによる曲線を描く部分とアルミによるホール上部が飛び出した形態で
構成されていますが、正直なところ不格好な気がします。
地下には「ユーハイム」が入っていたんですね。全然気付きませんでした。
ホールの見学は出来なくてロビーしか見られなかったんですが、次回はカフェでくつろぎたいです。
'05.10.18
(追記)所有者の津田塾大学がキャンパス整備のために解体しました。。 '18.11.3
1989 幕張メッセ
Makuhari Messe
千葉県千葉市美浜区
国際展示場や展示場、イベントホールなどを収めています。
もはやでかすぎて感想のしようが無いくらいです。
しかし、長さ530mの展示場を覆う巨大屋根は圧巻です。
トップライトによる自然光をとり入れているところが良かった。
1997年に北ホールが新たにつくられました。
TEPIA
東京都港区
神宮球場のすぐ近くにある別名機械産業記念館である。
面や線による構成を追求したという設計はデ・ステイルを意識したものであるらしい。
建物の外まわりにある階段下の水の使い方や広場が気持ちよい空間を作り出している。
産業やテクノロジーに関する展示を行う施設とレストランなどが入っているのであるが
展示施設は日曜日が休みで、レストランも貸切で入れなかった。。 '01.6.12
富山市民プラザ 富山県富山市大手町
富山の都心部の文化ゾーンに建設された公共施設である。
前面も公共のスペースを広くとってあり、そこで催し物を行ったりできるようになっている。
彼の作品に共通していえる事だが必ず周辺のサインなども一緒に設計してあり
それらの出来がかなりよいです。
外壁の銀色と内部の白は清潔感あふれていて気持ちがいいです。
行った時、前面のスペースでバザーをやっていたのですが、
なんとなく建物のイメージとのギャップを感じた。(しかたのないことですが。。) '99.10.17
1990 東京体育館 東京都渋谷区
千駄ヶ谷の駅前につくられたメインとサブの二つのアリーナ、そしてプールを持つ
巨大スポーツ施設である。メインアリーナはUFOみたいな外観です。
アリーナを地下に埋めることで圧迫感を受けそうな建物を低層に見せています。
さらに、全体をペデストリアンデッキにすることで水平の広がりをつくり出していました。
「藤沢市秋葉台体育館」や「幕張メッセ」で培われたアリーナ建築の技術が
この建物で一つの到達点に達したのではないでしょうか。
すぐ近くにある「津田ホール」は設計者が同じなのでこの建物の附属施設のように
見えたのですが実は全然違うんですね。 '07.3.28
1992 慶應義塾大学
湘南藤沢キャンパス

Keio University
Shonan Fujisawa Campus

神奈川県藤沢市
慶応大学の湘南藤沢キャンパスの校舎群である。
敷地内をループ状に走る道路の内側にグリッド状に建物を配置し、
個々の建物の魅力と石畳の外部空間との関係性、そして緑や池といった自然環境によって
豊かな大学空間をつくり出していました。
ループ状道路の外側にも谷口吉生さん設計の中等部・高等部など見どころの多い
建築が集合しています。
学生にとっては敷地周囲にカラオケボックスや飲み屋などの遊び場がないのが
かわいそうかもしれませんが(笑) '10.6.12
1993 中津市立小幡記念図書館
Nakatsu Obata Memorial Library
大分県中津市
中津市につくられた図書館である。
低層な建物で二階もほとんどの部分が屋上になっています。
正面にある前面道路と平行に設置された大階段から屋上へと導かれるように設計されていて
屋上はポケットパーク的なものとなっています。
内部は槇氏らしい白を基調とした清潔感のあふれるものとなっています。
そして中庭も幾何学的な池や芝が綺麗でしたが、同市にある風の丘斎場を見た後に来たので
なんとなく物足りなさを感じてしまいました。 '01.12.22
ノバルティスファーマ
筑波研究所
(旧サンド薬品筑波総合研究所)

Novartis Pharma
Tsukuba Research Institute

茨城県つくば市
スイスのバーゼルに本拠を置くサンド薬品の総合研究所であり、
筑波学園都市の北部のテクノパークの一角につくられています。
ちなみに1996年に「チバガイギー」という会社と合併して現在は「ノバルティス」という会社に
名称が変わっています。
レストランや講堂の入った三角平面の建物と、L型の研究棟が中庭を取り囲むように
配置されており、ふたつの建物はガラスのブリッジによって連結されています。
中庭のランドスケープは非常に幾何学的に設計されていて
サツキとオカメザサによるストライプとグリッド状に配置したヤマモミジで構成されています。
ヤマモミジは下部がグレーチングになっていて夜はライトアップされるようです。
中庭を斜めに走っている池が駐車場まで延びているのがかっこよいです。
竣工当時は水が張ってあったのが、現在は涸れ川になっているのが残念ですが。。
建物の西側壁面が一部切り取られているのですが、
それがどうも顔に見えてしまったのは僕だけでしょうか。。 '04.7.20
(追加)ノバルティスファーマがこの研究所を2008年末に閉鎖することを発表しました。
閉鎖後はどうなってしまうのでしょうか。。 '08.5.8
1994 霧島国際音楽ホール
Kirishima International Concert Hall
鹿児島県牧園町
通称「みやまコンセール」と呼ばれる音楽ホールである。
霧島の山に囲まれた自然の中にたたずむようにたっています。
少し不恰好に見える外観もなかなか味があるように感じました。
いつも思うのですが、槇氏の建物は周りのランドスケープがすごく良く、
この建物も自然をうまく生かしたアプローチなどが考えられていてよかったです。
夕方に行ったら、見学時間を過ぎていたにもかかわらず、
たまたま入口を閉めるのを係の人が忘れていたために中を見せてもらえました。
ラッキーでした。そして時間外に中を見させてもらってありがとうございました。 '02.9.25
1996 東京キリストの教会
Tokyo Church of Christ
東京都渋谷区
山手通り沿いにたつキリスト教の教会である。
正面はグラスファイバーをガラスで挟み込んだという「光の壁」からなっています。
この壁が、昼間は内部に柔らかな光をもたらし、夜は内部の光がぼやっと外に漏れるという
仕組みになっています。
富山国際会議場でもみられたのですが、いろんな光に対する工夫が槇氏の設計にはなされていて
とても洗練された設計だなあ、といつも思います。
外観はコンクリのやや冷たいものになっていますが、内部は白木によるやさしい空間にしてあります。
'02.1.9
1997 名取市文化会館
Natori Performing Arts Center
宮城県名取市
名取市につくられたかなりの数のホールを持つ文化会館である。
ガラス張りの二階吹き抜けのホワイエはホール部分のピンク色をしたカエデの葉のような
出っ張りがとても特徴的でおもしろいです。
裏側にまわると芝生の広場があり、そこにデザインの素敵な蛇口があるのですが
それをひねってもちゃんと下の受け皿に水が入らずにはねまくっていた。これはデザインミス?
裏側からは和室が見えるのですが、現代的な建物の中の一部に和が見えるアンバランスが
なんだかおもしろくていい感じです。 '01.6.18
1998 ヒルサイドウエスト
Hillside West
東京都渋谷区
代官山にある彼の代表作ヒルサイドテラスのすぐ近くにある複合施設である。
旧山手通りのファサードから中に入ると右手に喫茶店、更に奥に進むと中庭を挟んでおり
階段を降りると裏通りに抜けることが出来る。彼の事務所もここに移ってきている。
白いファサードと廊下、緑の芝生のある中庭、そして木でできた屋外の階段と
大変気持ちのよい空間でした。 すごくおすすめの建物です。 '00.6.14
1999 富山国際会議場
Toyama
International Conference Center
富山県富山市
富山市につくられた国際会議場である。すぐ近くに彼設計の市民プラザもある。
箱型の建物で全面ガラス張りの状態であるが、内部に入る光をカットさせるとともに
落ち着いた雰囲気をかもし出すように格子状にくまれた木製の壁がガラスと柱の間に配置してある。
一階部分はオープンなスペースになっていて、ガラス工芸が展示してあった。
いつも槇さんの建物で思うのですが小物がしゃれている。ここもホワイエにおいてあったベンチが
ピアノ(?)を想像させるようなものでおもしろかった。 '01.2.27
2000 福島県男女共生センター
Fukushima Gender Equality Center
福島県二本松市
城下町である二本松市につくられた男女共同参画をめざした施設である。
通称は「女と男の未来館」だそうです(なんかちょっと笑える名称ですが。。)。
ホール、図書室、レストラン、宿泊施設などで構成されています。
敷地は奥に丘が存在するために高低差が12mほどあり、そこにL字型に建物が配置されています。
建物は3層になっていて、1、2階部分がレンガによる堅固な表情、3階がガラスによる透明感、
4階以上が木とアルミのルーバーによる軽快さを感じさせます。
北側に設けられた丘と建物に囲まれた庭は、街の喧噪を全く感じさせない自然を満喫できる
空間になっていて、ウッドデッキによるサンクンテラスも非常に快適でした。
内部は中央にカスケードと名付けられた吹抜けの空間がつくられていて、
そこにつくられた建物を縦に貫く銅板のエレベーターシャフトの赤色が建物全体にアクセントを
与えていて好感が持てました。そういえば槇さんの建物って赤色をアクセントに使うこと多いですね。
僕が行ったときは女性問題に関するシンポジウムみたいなものをやっていて
建物内にいる人がほとんど女性だったのでなぜかドキドキしながら見学してました。 '05.1.15
2002 福井県立図書館・文書館
Fukui Prefectural Library
and Archives
福井県福井市
市街地にあった図書館を市の郊外に移転した大規模な図書館である。
開架図書30万冊というすごい数の図書をワンフロアの大空間の中に収めています。
外観は低層の建物で、閉架書庫の赤いテラコッタタイルがインパクトになっています。
内部は天井高7m、3方向がガラスという開放的な空間で、十字型の柱が特徴的でした。
中庭や読書テラスなどもつくられていて、館内だけでなく戸外でも読書できるようになっていました。
人工池に面してつくられた喫茶室も非常に快適な空間で、
「僕の家の近所にもこんな図書館が欲しい!」と思わせる魅力的な場所でした。 '04.4.3
2003 横浜アイランドタワー
Yokohama I-land Tower
神奈川県横浜市
三角形の敷地に建てられたオフィスビルである。
低層部分は近くにあった「旧横浜銀行本店」の一部を移築復元していて、
その上に高層の建物が載せられています。
高層部の東側ファサードは、低層部のバルコニーの柱を意識した煙突が2本すっと伸びていて
垂直性が強調されたデザインになっていました。
西側は広い空地になっていますが、増築の計画もあるようです。
横浜の歴史的な建物の保存の方法は様々だと思いますが、日本興亜損保横浜ビル
(旧川崎銀行横浜支店)の頃の方法から考えるとかなりの進歩だと思います。 '04.10.23
朱鷺メッセ
新潟コンベンションセンター

Toki Messe /
Niigata Convention Center

新潟県新潟市
信濃川河口の万代島再開発によってつくられたコンベンション施設である。
展示場、会議場を全長350mのエスプラナードでつないだ非常に横に長い建物です。
ちなみに「エスプラナード」とは「(海辺の)散歩道」という意味みたいです。
たしかにガラスを軽やかに使った開放的な空間になっていました。
高層棟とこの建物はうまくつながっているため一つの建物にしか見えませんが、
高層棟は「KAJIMA DESIGN」の設計による民間の施設で、
オフィス、ホテル、美術館、展望室などが入っています。
槇さんが考えた建物のコンセプトは信濃川に浮かぶ船だそうです。
ところで、この建物をもっとも有名にした連絡デッキの落下事故ですが、
現在、県が設計者や構造設計事務所、施工者など6者を訴えています。
記事を読んでいるとかなりの泥試合になってきた感じですが、
出来たばかりの建物のイメージが強烈にダウンしてしまったのは非常に残念です。。 '04.12.14
テレビ朝日
TV Asahi Headquarters
東京都港区
大規模再開発六本木ヒルズ内につくられたテレビ局の社屋である。
北側の庭園に面した部分を高さ約30mのアトリウムとし、一般に開放していて、
ガラスのカーテンウォールが開放的な空間を創り出していました。
それ以外の部分は外周にオフィスを設け、その内側にスタジオを配置しています。
東西面は縦ルーバー、南面は水平ルーバーとしていて、日射をコントロールする役割を
果たすと共に様々な表情を見せることに成功していました。
たしか僕の記憶ではオープン直後にアトリウムの天井板が水漏れで落下するという
事故があったと思います。施工者に問題があったそうですが、同じ年に竣工した
「朱鷺メッセ」も連絡デッキが落下するという事故があり、槇さんは災難続きでした。
'05.8.20
2004 東京大学法学系教育棟
Tokyo University Law School
Learning Center

東京都文京区
東大正門を入ってすぐの場所に建てられた法科大学院の研究施設である。
4層のガラスの箱で、縦長の半透明ガラスが並ぶファサードは、
所々に透明ガラスを入れることによりリズミカルな表情を見せていました。
内部は用途が後々変わる可能性を考慮したコンバージョンしやすいシンプルな空間に
なっていて、普通やなあ、というコメントしか思いつきませんでした(笑)
あと、東大にある他の建築群の多くがゴシック建築であるため、この建物はかなり浮いている
感が否めませんでした。まあ古い建築と新しい建築の対比と考えるとこれも有りかなあ。
'05.2.9
国立国語研究所
The National Institute for
Japanese Language
東京都立川市
立川市の国や市の施設などが多く移転しているエリアに建てられた国の施設である。
そもそも国語研究所とは何なのかよく分からなかったのですが、国語や外国人への
日本語教育に関する研究や資料の作成と公表を目的としてつくられた施設だそうです。
ほとんどがガラスの立面となっており、中庭を持つロの字型の平面プランとなっています。
ガラス面ばかりだと内部環境は大変なんじゃないかと思いきやセラミックプリントや
Low-eのペアガラスによって熱負荷は抑えられているそうです。
白い縦長の換気パネルを所々で赤に変えているのが外観のアクセントとなっていました。
'12.3.21
2006 島根県立古代出雲歴史博物館
Shimane Museum of Ancient Izumo
島根県出雲市
出雲大社の南東に位置するこの地域で出土したものを展示する博物館である。
長いアプローチからガラスボックスのエントランスへと進み、そこからコールテン鋼で
覆われた本館へと導かれて中央ロビーから各展示空間へと入っていきます。
中央ロビーには2000年に出雲大社境内で発見されたという「宇豆柱」が展示されていて
展示室にはこの発見から推測されているインパクトのある巨大本殿の模型もあります。
3層のガラスボックスは展望スペースや喫茶コーナーなどが設けられ、
出雲の自然を様々な位置から臨むことができるようになっています。
ガラスボックスに設けられた黒い×字の柱は出雲大社の千木をモチーフにしたものだと
思われます。芝生の庭園にある体験工房にも同様の柱が設けられています。
裏の庭園には体験水田というものがあって学校の授業で使うそうですが、
わざわざここに設ける必要があったのかやや疑問でした。。 '08.2.9
2007 三原市芸術文化センター
Mihara Performing Arts Center
広島県三原市
三原市の南側に山陽新幹線が走る宮浦公園内にあった文化会館の老朽化により
建て替えてつくられた芸術文化センターである。
愛称は「ポポロ」(イタリア語で民衆、大衆、人々などの意味)だそうです。
西の道路側は巨大な壁が立ち、公園に向かう東側は開放的なガラスのホワイエになっていて、
その間に不思議な曲面を描くホールのシルバー屋根が鎮座しています。
建築雑誌で槇さんが「鏡餅」と書いてましたが、確かに鏡餅っぽい。
ホワイエに並ぶ鮮やかなマリメッコの椅子がなんか槇さんの建築と結びつきません。。
フィンランドと三原市に深い関係があるとは思えないのでこのチョイスは意外でした。 '08.6.24
2009 ロレックス中津ビル
Rolex Nakatsu Building
大阪府大阪市
大阪市の中心部である梅田から少し北に建てられたオフィスビルである。
同設計者による「ロレックス東陽町ビル」が東の拠点、この建物が西の拠点と
いうことだと思われます。
建物低層部はガラスのボックス型で、丸穴を所々に開けたセラミックプリントを
帯状に回したシンプルな形態ですが、上部はカーブを描く屋根を持つガラスの空間が
載っており、低層部は作業室や事務室といったオフィス空間、
上部はカフェやラウンジといったリラックス空間としています。
すぐ東側を新御堂筋が走っているため、高架に遮られてこの建物の見せ場である上部が
よく見えないのが残念です。
今度新御堂を走ったときに通り過ぎる一瞬に頑張って見学しようかな(笑) '09.10.1
2010 国際仏教学大学院大学
International College for
Postgraduate Buddhist Studies
東京都文京区
仏教学を学ぶための大学院であり、総定員20名という日本一小さい大学です。
傾斜のある敷地に5つの低層建物を分棟配置しており、それぞれの建物は
渡り廊下で結ばれています。
建物間の空間は庭や元々あった木々があることで、自然に囲まれたキャンパスとなっていました。
赤みがかった外壁タイルや要所にアールを使った形態が、建物全体を柔らかな
雰囲気に仕上げていました。 '14.11.29
2012 静岡市清水文化会館
Shimizu Performing Arts Center
静岡県静岡市
JR清水駅のすぐ目の前につくられた文化会館である。
愛称は一般募集により決定した「マリナート」で、マリン(海)+アート(芸術)だそうです。
駅からペデストリアンデッキでそのまま2階エントランスにアクセスできるため、
雨の日でも濡れずにたどり着くことが出来ます。
ただ、ペデストリアンデッキと建物のデザインが明らかに違うのが少し残念でした。
全面ガラス張りの正面ファサード内部は大ホールの吹き抜けホワイエとなっていて
すぐ近くの海を眺めることも出来る開放的な空間となっています。
デザイン的にアクセントとなっている建物側面に飛び出したガラスボックスの展望ホワイエは、
より海への展望が開けた空間となっています。 '13.8.18
町田市新庁舎
New Machida City Hall
東京都町田市
JR横浜線のすぐ横の工場跡地に建設された市庁舎である。
旧庁舎は手狭で耐震性もなかったため、規模も大きくして移転新築されました。
槇建築によく見られる褐色のタイルが美しい高層部とその周りに低層部が配置された
計画となっており、道路に近い部分を低層にすることで圧迫感のない建物としています。
建物周りの広場に樹木を配し、屋上緑化も行うことで、緑の多い庁舎となっていました。
屋上緑化を眺める2階にレストランが設けられていて、快適な空間となっていましたが、
メニューを見る限り、味は普通な感じでした(笑) '17.7.19
2016 長野市第一庁舎・長野市芸術館
Nagano City Hall
+Nagano Performing Arts Center
長野県長野市
長野市役所と長野市芸術館の合築プロジェクトである。
長野市芸術館は、佐藤武夫さん設計の長野市民会館の後継施設となります。
中庭を挟んで東西に市庁舎と芸術館を配置しており、1階は共用利用する施設が
設けられています。
市庁舎の最上階は議場が置かれ、特徴的な屋根形態をつくり出すことで
建物外観のアクセントとなっていました。
耐震偽装による免震装置の取り換えや外壁のひびなど色々と話題になりましたが
見学時は、美しい姿で建っていました。 '21.1.10
2020 The Tokyo Toilet
恵比寿東公園トイレ

The Tokyo Toilet
Ebisu East Park
東京都渋谷区
タコの滑り台が有名な児童公園の西端につくられた公衆トイレである。
渋谷区に16名のデザイナーにより17カ所のトイレを整備するプロジェクトの一つです。
中央の庭を囲むように男子トイレ、女子トイレ、多機能トイレを分棟配置し、
折り曲げられた薄い屋根で全体を覆っています。
屋根と壁の間にすりガラスのハイサイドライトを設け、柔らかな光を
取り込むようになっています。
壁も屋根も全て白で統一された清潔感のあるトイレなので、
この状態を保てるよう丁寧に使用されることを望みます。 '22.2.10
横浜市役所
Yokohama City Hall
神奈川県横浜市
横浜市の中心部につくられた市庁舎である。
関内駅前にある村野藤吾さん設計の横浜市庁舎の移転新築です。
すぐ横には同じく槇さん設計の横浜アイランドタワーが建っていて、
統一感のある高層建築群が形成されています。
低層部はまちに開かれた吹抜けのアトリウムや店舗などが配置されており、
中層部に議会、高層部は行政ゾーンとしています。
また、すぐ横の大岡川沿いにはプロムナードや広場が設けられていて、
見学に行った時もとても賑わっていました。 '22.9.10


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