黒川紀章のページ
Kisho Kurokawa Architecture

メタボリックの代表的な建築家黒川紀章。
彼の作品の中で僕が見てきた作品を紹介するページです。

作品 データ
1967 寒河江市庁舎
Sagae City Hall
山形県寒河江市
黒川氏の最初期の建築である。
スロープを上った二階からアプローチし、内部に入ると四層吹抜けの空間になっており
大変開放的である。天井から吊下がっているオブジェが特徴的でした。
外観は今にも首が折れそうな頭でっかちの建物に見えますが、
4本のコアシャフトと梁によって吊り下げられており安全です(笑)
僕が見学に行ったときは前の広場でお祭りが行われており、人で賑わっていました。
'02.10.22
(追記)ホールの天井から吊り下がっているオブジェは岡本太郎の「生誕」という作品
だということを知りました。何で気付かなかったんだろ。。 '06.7.8
1972 中銀カプセルタワービル
Nakagin Capsule Tower
東京都中央区銀座
メタボリズム建築の代表作である。
すべての家具や設備をユニット化し、2.3m×3.8m×2.1mの住居カプセルに納め
2本の鉄筋鉄骨コンクリシャフトにボルト接続させている。
建物の横にユニットのカプセルが見本として置いてあるが、狭すぎると思った。
あんなところに閉じ込められたら気が狂うんじゃないか。。っていいすぎやな。
でも画期的なアイデアであることは確かではないだろうか。
(追記)現在、中銀マンション(株)や管理組合で建て替えか改修かの検討が
なされているそうです。是非ともカプセルの交換による改修に決定して欲しいです。
メタボリズムの実践が是非とも見てみたいです。 '05.12.21
(追記2)ついに解体が始まってしまいました。いくつかのカプセルは取り外して
美術館への寄贈や泊まれるカプセルとして再生するプロジェクトが進んでいるそうです。
いつか違う場所でもいいので再建築してほしいです。 '22.4.29
1974 ビッグボックス
Big Box
東京都新宿区
高田馬場駅の目の前に建つ巨大な商業ビルである。
その名のとおり箱形の建物ですが、角を面取りして柔らかい印象を持たせています。
側面を見ると当時黒川さんが提唱していたメタボリズム的なユニットが飛び出しているのが分かります。
内部は1・2階が店舗で、その上はボーリング場やゲームセンター、レストラン等が入っていますが、
僕が見学に行った時は、ちょっと古いという印象でした。
ただ、数年前に改装を行っており、現在は基調となるカラーが赤から青に変わり、
正面の「走る人」の絵もなくなっているそうです。
改装時に側面のユニットは交換したんかなあ。。 '10.7.31
コイトビル
Koito Building

東京都新宿区
西新宿の大通りに面して建てられたオフィスビルである。
写真を見ていただくと分かりますが、周囲の高層ビル群と比べて
インパクトが薄く、存在感がほとんどないです。
実際に僕は一度見つけられなくて、取り壊されたのではないかと心配したことがあります。
ただ、プランとしては外周に個々の設備ユニットを取り付けて交換等を可能とした、
いわゆるメタボリズム思想に基づいたオフィスビルとなっています。
この時期の黒川さんは「中銀カプセルタワービル」(1972年)や
「ソニータワー大阪」(1976年)など、メタボ全盛期でした。
実際、上述の2作品は黒川さんの代表作となっていますが、
このビルは思想はすごいのに代表作にはなり得なかった残念作品なんですね。。 '11.4.21
1975 札幌大同生命ビル
Daido Life Insurance
Sapporo Office Building

北海道札幌市中央区
札幌にある大同生命ビルも黒川さんの設計だと知って見てきました。
遠くから見たとき、外壁が黒っぽかったので「お!利休ねずみのビルか」と思いましたが
近づいてみると、改装工事中で黒の囲いがされていただけでした。
囲いから見えている1階の壁は白いタイル張りだったのでビル自体も白いのかな?
ビル自体は閉まってなかったので、中には入れてすばらしい螺旋階段を見学させていただきました。
'02.1.18
(追記)社内旅行で札幌に行ってきたので改装後の姿をようやく見てきました。 '06.5.14
(追記2)2017年に解体され、現在は大同生命札幌ビルが建っています。 '20.9.23
ホテルニューオータニ鳥取/鳥取大丸
鳥取県鳥取市
鳥取市の中心部につくられたニューオータニと大丸である。
ホテルと大規模店舗という違う用途の建物を、
外壁を同じ茶色のレンガで統一することによって一体感を持たせています。
同じ設計者によってつくられた佐賀のオータニはかなり和な雰囲気を持たせた建物に
なっていましたが、鳥取はそうでもなかったです。
僕が見学に行った日は大雪で、写真からも分かると思いますが、行くのも帰るのも大変でした。
建築見学をこれまでしてきてこれほど雪が降ったのは初めてでした。 '04.2.24
和木町庁舎
山口県和木町
山口県東端にある和木町につくられた庁舎である。
赤レンガ張りの外壁が特徴的であり、真中に植えられた大きな木のある中庭を
囲い込むように建物が配置されています。
執務棟と議会棟に分かれている建物が上階の渡り廊下で繋がれていて
二つの建物が手を繋いでいる姿にも見え、町民の手の輪の中に行政があるという
ことを象徴する設計になっているそうです。
後に設計された日田市中央公民館はこの建物の発展系といったデザインになっています。
よく考えたら赤レンガの黒川建築ってこれしかないんじゃないでしょうか。 '03.4.2
福岡銀行本店
Head Office of the Fukuoka Bank
福岡県福岡市
福岡市の中心部、天神につくられた銀行の本店である。
四角い箱を一部切り取ることによってつくられた大ピロティは、彫刻やベンチ、植栽などの
公共空間を生み出しています。
このピロティを、都市と建築をつなぐ空間として黒川氏は「中間体」と呼んでいたそうです。
現在では、公開空地をつくることによる大規模建築物の建造などがあるため、
それほど珍しいものではなくなったものの、当時は画期的な試みだったのではないでしょうか。
'02.1.22
1976 青山ベルコモンズ
Aoyama Bell Commons
東京都港区
青山のランドマークである複合商業施設である。略して「ベルコモ」である。
出来た当初はすごいおしゃれなビルだったのですが、最近影がうすくなってきてました。
しかし、リニューアルオープンして復活の兆しがあります。
個人的にはあの植栽と外壁の色がすごくマッチしていて好きなんで、
これからもがんばってほしいです。 '02.1.2
(追記)2014年に閉館していたのですが、ついに解体されてしまいました。
一世を風靡した青山のランドマークもなくなってしまったんですね。。 '16.3.12
ソニータワー大阪
Sony Tower
大阪府大阪市中央区
ソニー製品のショールームであり、心斎橋のランドマークである。
配管、エスカレーター、エレベーターを外部に露出している。
トイレはすべてメタボリズム思想が表れており、交換が可能である。
来観者がまずエレベーターで9階にあがって、そこから露出したエスカレーターに乗り
降りてくるシステムはなかなか良いと思う。 '99.9.1
(追記)現在解体中です。心斎橋のランドマークがなくなってしまうことが悲しいです。。
'06.5.20
ホテルニューオータニ佐賀
Hotel New Otani Saga
佐賀県佐賀市
佐賀市にあるニューオータニである。佐賀城跡のお濠沿いに立っています。
細長い建物で、ねずみ色の外壁に切妻屋根という和風に仕上げられており
お濠越しに見る建物は落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
内部は外観の和とは違って現代的な内装に仕上がっていました。
低層部が一部増築されているようでしたが、あれは紀章氏ではないのかな。 '03.3.8
1977 国立民族学博物館
National Museum of Ethnology

大阪府吹田市
千里の万博公園内にある博物館である。
パティオを持つ40m×40mの展示ブロックが単位となり、造園や増築計画が
おこなわれたメタボリックな空間構成である。
中に入ってびっくりしたが、めちゃくちゃ広い!!
しかし世界の民族に関するかなりのものが展示されておりみどころが多い!
とても満喫することが出来ます。ぜひ行くことをお勧めします。
外から地下の休憩所(?)に降りれるのですが、何の為にあるのかわからない。
熊本市立熊本博物館
熊本県熊本市
熊本城の近くにある博物館である。
三種類の大きさの方形屋根を1/4にカットした屋根が数多くかけられ
ユニット毎に2方向からの自然採光が可能になっている。
中は天井に銀色のアルミパイプのようなものを巡らした近未来的設計である。
最も近未来的だったのはエレベーターが青く光っているところだった。
飛行機や機関車といった技術的な博物館であるとともに歴史的な展示もあって
なかなか楽しませてもらった。 '00.2.28
石川厚生年金会館
石川県金沢市
扇状のコンサートホールの外周に宿泊施設、会議室などを配置した会館である。
金沢の景観に配慮した設計になっており、外壁は瓦をイメージさせるグレーのタイル張り、
全体の色彩も彼の大好きな利休ねずみとなっている。
いい意味でレトロな感じになっていてうれしい。
配置もホールと宿泊等の施設のあいだに光庭をとってるのもいいです。 '99.10.15
(追記)2008年12月25日に売却のための入札が行われることが分かりました。
売却先によっては解体されてしまうかもしれません。。
北陸電力が存続のために入札に参加することを表明しているので、北陸電力が
落札することを願います。 '08.10.18
(追記2)北陸電力が落札しました!存続が確定して嬉しいです。ありがとう北陸電力。 '09.1.28
嬉野温泉和多屋別荘
タワー館
佐賀県嬉野町
佐賀県で最も有名な温泉である嬉野温泉、その温泉街にある和多屋別荘という旅館のタワー館である。
高層の建物は周りに全くないためタワー館(12階建て)は嬉野のランドマークとなっているようです。
和多屋別荘という旅館は結構有名なところのようで、僕が見学に行ったときも
次から次へとお客さんが到着していました。
面白かったのは足湯喫茶と呼ばれるもので、足を温泉に入れながらコーヒーなどが
飲めるという場所が設けられていました。
タワー館の外観はちょっとした駅前のビジネスホテルといった感じなのですが、
部屋はどうやら温泉街にふさわしく和室になっているようでした。
ただ、てっぺんにつけられた「和多屋別荘」という看板と
「ブライダル披露宴予約受付中」の垂れ幕はちょっとやめてほしかった。。 '03.6.27
日田市中央公民館
大分県日田市
日田市につくられた公民館である。
一本の木が象徴的に真ん中に植わった前庭を囲むように建物がぐるりとまわっています。
奥が公民館の中心部になっていて、半円筒の屋根が特徴的です。
外観も内観もほとんどが白のみの建物でした。
よく考えると黒川氏の建物はかなりの割合で黒と白、いわゆるモノトーンな配色が多いなあ。。
'02.5.16
蒲郡市戦没者慰霊平和塔
愛知県蒲郡市
蒲郡市における戦没者の追悼と街づくりのシンボルとしてつくられた塔である。
円形の噴水池と正三角形平面の平和塔から構成されていて、塔は三角形の2辺が
徐々に立ち上がっていき頂点で20mになるというデザインになっています。
また、塔の間に開けられたスリットは、毎年行われる式典の日(11月27日)に
太陽が沈む方向に向けられているそうです。
塔の周囲には堀が設けられていて、竣工当時は水が張ってあったと思われますが、
見学したとき水はありませんでした。。 '05.12.4
日本赤十字社本社
Headquarters of the Japanese
Red Cross Society

東京都港区
芝大門に建てられた日本赤十字社の本社ビルである。
1912年に建てられた妻木頼黄設計の赤レンガの建物の建て替えということで
部材の一部が再利用されているそうです。どこか分かりませんが(笑)
今だったら外観の継承とか一部保存とかになるのですが、当時はそうはならなかったみたいです。
建物は赤十字本社部分と貸しビル部分が左右に並ぶツインタワー形式となっており、
その間の空間を黒川さんが「福岡銀行本店」でも用いた「中間体」としています。
'09.11.25
1978 東京大同生命ビル
Daido Life Insurance Tokyo Office Building
東京都中央区
東京の中心部である日本橋につくられた生命保険会社のビルである。
建物1階部分は前面の永代通りと裏通りを通り抜けられるコリドールがつくられていて
黒川氏が「福岡銀行本店」でも使用していた半公共空間をここでもつくりだしています。
建物は西側コア棟と東側オフィス棟に分離されており、両棟の間にはスリットが開けられています。
両棟間を結ぶブリッジには地震時にも対応できるように
蛇腹式のエキスパンションジョイントが設置されているそうです。
ちなみにスリット底部には人口河川が配置され、竣工当時はポンプで常に循環されていた
みたいですが、僕が見学に行ったときには涸れ川になっていてオブジェが展示されていました。
'04.3.30
(追記)2010年頃に解体されていたんですね。全然知りませんでした。
現在は大規模再開発により東京日本橋タワーが建っています。 '20.9.23
1980 松涛倶楽部
東京都渋谷区松涛
渋谷の「Bunkamura」のすぐ裏にある個人住宅である。
美術館なのか?と勘違いしてしまいそうな外観であるが住宅だそうだ。
階段がついている微妙なエントランスを除いてすべてが囲まれている。
白で統一された外壁はとても閑静な住宅地にふさわしく落ち着いている。
狭い道をはさんだすぐのところに交番があり、警官が立ち番をしていて
僕が建物の写真を撮っていたら「こいつ何してんねん」といった顔でみられた。。 '99.10.17
長崎新聞本社ビル
長崎県長崎市
明治22年に創刊した長崎県唯一の県紙「長崎新聞」の本社ビルである。
浦上駅の駅前に立っており、線路と浦上川に挟まれています。
本社機能以外に大小のホールや展示室、喫茶室などが併設されています。
この建物もそうですが、この時期(80年代前半)の黒川建築は角を面取りした
柔らかく包み込むような建物が結構ありますね。
ちなみに内部空間はどうも昭和な空気が流れているインテリアでした(笑) '07.10.22
1981 とかち帯広空港
Tokachi-Obihiro Airport
北海道帯広市
帯広市の中心部から南に25kmほど行った場所にある空港である。
北海道のメインの空港は新千歳なので、関西の僕には馴染みがないのですが、
十勝地方の玄関口として、国内線が就航しています。
レンガタイルに大きな勾配屋根が乗った建物は空港ビルっぽくない印象を受けましたが、
これは十勝の田園風景にマッチした色調と飛行機の翼をイメージしたデザインだそうです。
行ってみて驚いたのは駐車場が無料ということです。
車とバスしかアクセス方法がないのですが、車を無料で置いたまま旅行できるというのは羨ましいです。
'14.12.11
1982 杉並区立中央図書館
東京都杉並区
荻窪駅の南東やや遠い場所にある区立図書館である。
角がアール状になったシルバーの建物は、周囲の環境を配慮した低層としています。
建物を引っ込めたエントランス部分にも中央にシンボルツリーを設け、自然との調和を
考えた設計となっていて、建物全体が主張しない外観となっています。
建物北側が階段状の平面なのは、都市計画道路を避けるためにこの形態となったそうです。
ちなみにエントランスの庇の形状はこの建物の平面を意識したものでしょうか? '07.10.23
1983 埼玉県立近代美術館
Saitama Prefectural Museum of Modern Art
埼玉県浦和市
埼玉にある近代美術を専門とした美術館である。
名古屋市美術館に似た曲線のガラスが使われている。
天窓から光を取り入れ、下まで吹き抜けている空間がありとても気持ち良かった。
いろんな椅子が多くおいてあり、実際に座れるのが楽しい。
常設展示がただで見られるのもうれしい。。'99.8.22
(追記)このあいだ久々に行ってきたら、常設展示もお金を取るようになってました。
せっかく無料で良いと紹介してたのに。。 '02.11.26
名古屋中小企業振興会館
愛知県名古屋市
黒川氏の出身である名古屋市につくられた見本市などを行うホールをもつ会館である。
道路側に見えている高層の建物の後ろにホールが長く伸びています。
まるで長い尻尾の怪獣のようです(笑)
高層建築部はエントランスを入ると光庭をつくっていたり、螺旋階段があったりと良いデザインでした。
ホールとのつなぎ目の部分がピロティのようになっているのですが、天気が悪かったせいなのか、
それとも元々なのかすごく暗く寂しい感じでした。
水を張ってあるはずの部分にも水はほとんどなく、ちょっと廃れた感じを受けました。 '02.1.25
かながわビル
神奈川県横浜市
横浜の中心部に建つビルである。
壁面が微妙にカーブを描いていて、しかも角は面取りがなされているため、
全体的にボテッとした外観となっています。
上部も寄棟のように上部にいくにしたがって細くなっていくのですが、
頂部にはこれまたボテッとした曲面を持つ直方体が載っかっています。
エントランス部はガラスのシリンダーが縦に貫いていて見上げると面白いデザインになっていました。
'07.10.18
虎の門病院新館
Toranomon Hospital
東京都港区
1958年に開院した国家公務員共済組合連合会の病院の増築である。
政治や行政の中心部に近い、東京の一等地である虎ノ門に建っています。
既存棟と意匠を合わせながらも、傾斜壁や横スリットなど黒川建築としての主張もしています。
とはいえ、インパクトのあるデザインではないので、黒川建築と知る人は少ないと思います。
ちなみに写真に写っている高層タワーが虎の門病院の一部のように見えますが、
裏の敷地の「住友不動産虎ノ門タワー」です。
隣接地を含めた市街地再開発事業が行われ、2019年に隣地に新病院が完成し移転したため、
解体されてしまいました。 '24.2.19
1984 国立文楽劇場
National Bunraku Theater

大阪府大阪市中央区
日本橋の駅の近くにある文楽の劇場である。
広く文楽の良さを伝えるために来場者以外の人でも入れる空間を多く取っていて
常設展示で文楽の歴史や道具の説明などがある。
おとなしめなファサードであるが、ワンポイントとして真ん中上部に出っ張りがある
そしてその中には「文楽」と書いてある。あれはちょっと。。。
しかしワンポイントが無いと寂しいような気もする。
江寿画廊ビル
京都府京都市
京都の画廊などが多く集まっている寺町につくられたビルである。
間口は狭いが奥行きが広いため、側面のデザインも見所になってます。
正面は利休ねずみの外壁に黒い格子状のフレームを使ったデザインで、
側面はスリットを入れた外壁にワンポイントの紅色を使っています。
見事に和を取り入れた設計になっているため、これまでここをよく通っていたのに
黒川さんの設計だとは気づきませんでした。。 '02.10.15
ワコール麹町ビル
Wacoal Kojimachi Building
東京都千代田区麹町
皇居のすぐ近くにある衣料品メーカーのオフィスと倉庫併用ビルである。
未来的イメージと和のモチーフが絡み合った設計だそうだが、
未来的なシリンダー型の屋根といった外観は納得がいくが、和のモチーフとは一体どこに?
こういった未来型の設計はシルバーを使ったものが多いのですが(高松伸のように)この建物は
落ち着いた白を使っていてとても気に入りました。
見た目は鉛筆削りのようであり高松伸設計の「ARK」を大きくしたようでした。
下を歩いているときにショーウインドウが見れるようになっているのですが、その部分を斜めに削ぎ落とした
設計はなかなか平面の壁になりがちな部分をうまく設計しているなあ、と思った。 '00.9.29
六本木プリンスホテル
Roppongi Prince Hotel
東京都港区
六本木につくられた小規模都市型ホテルである。
ここ以外にも黒川さんは数多くのプリンスホテルを設計しています。
最近の六本木といえばヒルズやミッドタウンなんかを思い出してしまいますが、
このホテルはそれらの新スポットからは少し外れた六本木一丁目駅のすぐ近くに建っています。
建物は中庭に設けられたオールシーズン用のアウトドア温水プールを囲むように
客室や飲食店などが配置されていて、曲面を描くプールに合わせて廊下の壁面もカーブしています。
プールの側壁の一部が透明になっているため、プールサイドから泳いでいる人を
水槽のように眺めることができ、昔はエロいプールとして有名だったみたいです(笑)
ちなみにプリンスホテルはここを住友不動産に売却しており、2007年1月30日より
ヴィラフォンテーヌ六本木アネックスとして数年間限定で営業をしています。
数年間という限定期間が終了した後が心配です。。 '07.10.19
(追記)再開発により2012年の年末に解体されてしまいました。。 '13.1.20
安田火災福岡ビル
福岡県福岡市
博多駅から西へと続くメインストリート沿いに建つ安田火災の福岡ビルである。
現在は損保ジャパンのビルとなっています。
単調になりがちなオフィスビルの低層部を斜めにカットして白砂利の庭としており
デザイン性を高めると共に公共に対するパブリックアートとしても機能しています。
この空間を見た時に上手いと思うとともにどこかで見たような気がしたのですが、
よく考えてみたら同じ黒川さん設計で同年に竣工した「ワコール麹町ビル」と
よく似てたんでした。 '07.10.25 
1985 サルナート吉運堂
Yoshiundo Head Office
新潟県白根市
国道8号線沿いにある仏壇屋さんである。
利休ねずみに白で斜めにメッシュが入っており、更に白いフレームがくっついています。
所々に見られる赤の柱がワンポイントになっています。
屋根の上に設けられた三角錐の構造物には「吉運堂」という文字の入った看板になってます。
裏側にまわると国立文楽劇場でもみられたでっぱりの構造物(ハートマーク?)がある。
仏壇と文楽のつながりは和風ということでしょうか?
仏壇屋なのになぜかコーヒーレストラン(店名「カリスタ」)が一緒になっており、その看板文字がいけてない。。
黒川紀章はなんでも設計してるなあ。。とびっくりした建築でした。 '01.8.6
1986 高志会館
富山県富山市
富山市内の宿泊及び会議の施設である。
低層部は正方形、高層部は円形という二つの異なった形態を組み合わせた設計である。
急傾斜の三角屋根は多雪地帯である富山という立地からそうなったのであろうと思います。
そしてシルバーの外観と煙突(?)のような突起がランドマークとして役立っているようです。
内観は、ちょっと古くなったホテルの印象が強かったです。 '01.11.20
1987 名古屋市美術館
Nagoya City Art Museum
愛知県名古屋市
白川公園内にある美術館である。
基本形はV字型の平面からなっており、Vのなかにサンクンガーデンが
谷のようにつくられている。
そして吹き抜けのロビーはガラス張りになっていて波のようにうねっている。
設計の中に日本の伝統的要素を組み込んでいるらしいがう〜ん。。
(エントランス前のフレームは、鳥居をイメージしたらしい。。)
正面から見たときに赤いオブジェ(アレクザンダー・コールダー作)が真ん中にあり
それがしろっぽい建物を引き締める効果をだしていると思った。
ルーブル彫刻美術館
三重県白山町
パリのルーブル美術館と正式な姉妹美術館としてつくられた彫刻の美術館である。
ルーブルで型を取ってつくったレプリカがたくさん並んでいます。
これを見つけたときにはっきり言ってびっくりしました。
「黒川氏が本当に設計したのか?」と疑いたくなるような外観は、
ニケやミロのビーナスの巨大な像が大きくかまえています。。
中にはルーブルのはずなのになぜか巨大仏像が真ん中にあり、階段を上りきったところには
自由の女神まであります。「ほんまによくこれを姉妹美術館としてルーブルも認めたなあ。。」と
思ってしまう展示内容です。。
ただ、展示されたものを除いて建物だけを見ると、ルーブルを模したピラミッドと
コンクリのシンプルな形をしています。
パンフレットには「設計黒川紀章」と書いてあったのですが、未だちょっと納得できない部分が残りました。
他にもカエルが演奏会をしている像が置いてあったりと、なかなか笑えるので一度行ってみてください。
'02.7.24
朝霞荘
東京都新宿区
市ヶ谷の閑静な住宅街につくられた企業の保養施設である。
現代的な要素を随所に取り入れた数寄屋建築で、屋根が幾重にも重なった姿が
水平性を強調した外観となっています。
建物前面に設けられた駐車場スペースの床は障子の組子や花鳥風月を表現しており、
庭の一部としての機能も持たせているそうです。
外壁や塀に帯状に色づいたベンガラが非常に美しいです。建物名称の「朝霞」(雲に日光が当たって
赤く見える現象)もおそらくこのベンガラ色から付けられたものだと思います。 '07.9.30
岩間ビル
Iwama Building
東京都中央区
晴海通り沿いに建てられた老舗食器店のビルである。
1、2階部分は店舗になっているためガラスによる立面としており、
上階はRCの壁面に不思議なデザインの開口部が設けられています。
隅角部を削り取ったりと非常に彫塑的な建物だったのですが、
いつの間にか黄色く塗られていて、ちょっとポップな感じになっていました。
隣のビルが高層で肩身が狭そうに見えたのですが、
その隣のビルと一緒に解体されてしまったようです。。 '23.1.10
大垣フォーラムホテル
Ogaki Forum Hotel
岐阜県大垣市
岐阜県南西部の都市、大垣市につくられた観光ホテルである。
ホテル以外にレストラン、ボウリング場も併設された複合施設です。
この建物が建った約10年後に建った「ソフトピアジャパンセンター」も大垣市内であり
大垣市と黒川さんは相性がいいみたいです。
黒川さん的な設計デザインが随所に見られて素晴らしいのですが、
エントランスへと向かう低層部の天井が低くちょっと暗い感じだったのが残念でした。 '07.10.31
1988 広島市現代美術館
Hiroshima City Museum of Contemporary Art
広島県広島市 1990年日本建築学会賞
黒川紀章がようやく(?)日本建築学会賞を受賞した作品です。
比治山芸術公園という山の中につくられた現代美術を展示する美術館。
建物が周辺の樹木より高くならないように総床面積の60%を地下に埋めているそうです。
江戸期の土蔵の形態を引用したというアルミの切妻屋根が連続した建物で、
中央のエントランスは円形になっていて爆心地の方向に向かって切り込みが入っている。
柱脚には被爆石が用いられるなど広島という地域性を考えた設計となっている。
名古屋市美術館にも見られたが、黒川氏は日本の伝統的要素を組み込むことが好きなようである。 '01.9.5
ARKビル
愛知県名古屋市
名古屋市の中心部につくられたテナントビルである。
建物名称のとおり元々はアーク証券という会社が入ったビルだったみたいですが、
現在、この会社は別の場所に移っているので、ここは手放したということでしょうか。
1、2階部分を一部ピロティとしてオープンなスペースとしており、
それより上階のファサードにはルーバーのようなものを張り付けています。
最上部には黒川さん設計のビルには多用される円形のデザインが載っかっていますが、
これは何の意味があるのでしょうか。。 '07.4.8
1989 道後館
愛媛県松山市
道後温泉の近くにある旅館です。
カラオケ、ラウンジ、喫茶店、茶室となんでもあります。
泊まることは値段的に無理だったのでロビーに入ってみてきました。
ロビーに入るのすらつらい構えの旅館でした。
ロビーがすごく広い!そして川が流れている。。
唐破風、欄間、門、連子格子といった和風なものが多く取り入れられ
ていて道後に合った旅館だった。 しかし、高すぎる。。。
安田火災名古屋ビル
愛知県名古屋市
名古屋の中心部に立つ安田火災の名古屋ビルです。現在は損保ジャパンのビルになっています。
安田火災は福岡ビルを黒川氏が設計しているので、名古屋も設計したと思われます。
この建物の存在を全然知らなかったんですが、やまうちさんに教えていただきました。
超高層のビルですが、ビル部分ははっきり言ってインパクトがない普通のビルっぽいです。
ただ、エントランスや駐車場のゲート、公開空地などに黒川デザインを感じる部分がありました。
総合設計制度を活用するため、公開空地を設けているのは良いのですが、
地下駐車場への入口の奥に設けてあるスペースは場所が悪すぎて、あそこでくつろぐ人は
いないと思います。ベンチやテーブルも泥にまみれてました。。 '06.6.4
1990 小松市立本陣記念美術館
石川県小松市
切妻屋根をのせた円形の建物である。
小松市の本陣氏の収集したコレクションを展示している美術館である。
外観を見るといきなりよくわからないハートマークが飛び出している。
中に入って内側からそのハートを見るとピンク色に塗られてある。これはかなりやばい。。
建物内部のすべての手すりが緑色なのですが、これもかなり失敗だと思った。
そして入り口の扉にすきまがあるため風の音がずっと館内に鳴っている。。
沖縄県庁行政棟
Okinawa Prefectural
Government Headquarters

沖縄県那覇市
旧庁舎敷地の再開発による建替えによってつくられた県庁舎である。
警察棟と議会棟も同一敷地内に建設されたが、黒川氏設計は行政棟のみである。
沖縄の歴史・伝統及び自然と建築との共生がテーマとして設計されたそうです。
高層化を行うことによって周囲に緑地公園を作り出すというコンセプトであるが、
ボリュームが大きくてあまり緑地公園に近づく気にはなれないような気が。。
'03.1.15
1991 奈良市写真美術館
Nara City Museum of Photography
奈良県奈良市 日本芸術院賞
日本芸術院賞をとった黒川紀章の代表作である。
奈良・大和路の風物を撮り続けた奈良の写真家・入江泰吉が、
全作品を奈良市に寄贈したのを機に奈良市が開設した美術館である。
新薬師寺の隣という歴史的な環境との調和に留意していて、
展示室などの大部分を地下に埋めていて地上階はロビーと喫茶コーナー
にしてあるところや、水を張った庭の部分がとてもよかった。
きびプラザ
Kibi Plaza
岡山県賀陽町
岡山県の高原につくられたニュータウン、吉備高原都市の中心施設である。
ホテル、スーパーマーケット、レストラン、記念館などが入った複合施設である。
昔、ここに来たときは黒川氏の設計だと知らずに見ていたのですが、今よく見ると確かに
あの円形広場や切妻屋根の連続はかなり広島市現代美術館に似ている。
気付かなかったことにまだまだ勉強不足を感じた建物でした。。
そういえば和歌山県の「きび(吉備)」町役場も黒川氏の設計でした。きび好きなんですな(笑) '01.12.11
三起商行新社屋
Miki House New Office Building

大阪府八尾市
子供服で有名なミキハウスの社屋ビルである。空港から近いため低く押さえられているらしい。
逆円錐形にえぐられた全面ガラスの特徴的な形を持っている。
サイドに社員用の駐車場と入り口があるのですがそこに空中デッキがつくられているのですが
そこはこのビルにも入れない(壁があるだけ)し、隣のビルにも行けない(途中でデッキが終わる)
一体何のためにつくったのだろうか?設計段階では隣のビルとつなぐ計画があったのか?
エントランスを入るとえぐられたガラスから光を取り入れた快適なアトリウムとなっている。
エントランス付近と地下が店舗になっていてアトリウムの方は会社の入り口になっている。
地下の男子便所の小便器がアクセスする廊下から見えていてちょっと設計ミスか?と思った。
アトリウムの方に入って写真を撮っていると「そちらは会社なので入らないでください」と怒られた。。 '00.9.25
やまなみホール
京都府相楽郡南山城村
京都府唯一の村にある多目的ホールです。
小さいながらも中がとても気に入りました。天井はもこもこ(?)になっていて
その間からうっすらと光が漏れているのがとてもいいです。
夜になるとライトアップもされて、すぐ近くにある川に綺麗にうつるらしいです。
ちょうどイベント後の片づけをしていたので中まで入れたのが嬉しかった。
でもこの村ってすごい山の中やなあ。。
白瀬南極探検隊記念館
Memorial Hall for Shirase Expeditionary
Party of the South Pole

秋田県金浦町
日本で初めて南極探検を行った白瀬探検隊の記念館である。金浦町は白瀬さんの生誕地である。
黒川建築によくみられる円錐状の建物と、それを取り囲むようにリング状の建物から成る。
リングと円錐の間には水が張ってあるのですが、この部分の紫色がいけてないです。
円錐建物はオーロラドームになっていて10分間隔ぐらいで15分の映像を上映しています。
この映像はかなり時代遅れを感じずにはいられませんでした。。
エントランスを入ると円錐の建物を通って展示室に入るのですが、
ドーム上映中は展示室から出られないのは問題あるんじゃないでしょうか。
後で増築した部分もわかりすぎてちょっと。。 '02.11.6
足柄サービスエリア
Ashigara Service Area
静岡県
東名高速道路のサービスエリアで、入浴施設や宿泊施設も入った複合的な施設である。
勝手に神奈川県だと思っていたのですが、静岡県だったんですね(笑)
下りと上りで建物が全然違うんですが、黒川さんが設計したのは下りだと思われます。
建物は西館と東館に別れていて、それを空中回廊がつないだ線対称の平面となっています。
低層部を濃く、上部に行くほど薄くした壁面は黒川さんらしいと思います。
ちなみに近年大規模リニューアルをしてかなり様子は変わっているようです。。 '14.1.5
1992 さざなみホール
Sazanami Hall
滋賀県野州郡中主町
滋賀県にある中主町の町民ホールである。
外側をロビーやホワイエが取り囲んでおり、
あいだに中庭を挟んで真ん中に貝のような形をしたホールがある。
ロビーなどはガラスをよく使っていて開放感にあふれている。
すぐ横に老人介護施設のようなものもあり、その施設も同様に彼の作品であろう。 '99.10.13
JR奈良駅前コミュニティ住宅
奈良県奈良市
JR奈良駅前にある集合住宅であり、「コミュニティ住宅」と呼んでいますが正式名称は知りません。。
下層階は一般的なワンフロア住宅ですが、上層階はメゾネット住宅になっています。
そして建物自体はL字型の平面をしています。
近所に住む友達(建築とは関係の無い)が「あのマンションさぶいなあ。。」というだけあって
かなりいけてません。 廊下はかなりの広さをとっているのですがかなり寒々しいです。
冬場はちょっとつらいんじゃないでしょうか。
そして管理が行き届いていないため、かなり汚いというイメージを持った。 '99.10.24
1993 シロトピア記念公園休憩所 扇観亭
Shirotopia Memorial Park Rest House Senkantei
兵庫県姫路市本町
姫路城の北側にある公園の休憩所とトイレである。
円形の池の周りに八の字型にトイレと休憩所が配置されている。
休憩所は白を基調にした清潔感のある空間で机や椅子もしゃれている。
池に向って全面が硝子になっているためすごく快適な空間である。
しかもクーラーが入っていた。あまりに快適なためか高校生が勉強をしていた。 '00.6.28
1994 バイエル薬品中央研究所
Bayer Kyoto Pharmaceutical Research Center
京都府相楽郡木津町
関西学研都市のなかにある研究所である。
研究所なのでもちろん中には入れないが、実際に行ってみてみると
こんなに大きいとは思っていなかった。
研究所は小さいというかってなイメージを持っていたので驚いた。
さらによくわからない大きな屋根が器のようにのっかっていてとても印象に残った。
(追記)いつの間にかバイエル薬品は撤退し、現在はロート製薬が所有していて、
名称も「ロートリサーチビレッジ京都」に変わっていました。 '08.5.8
姫路市中央保健センター
兵庫県姫路市
分散していた保健所を集中化し、より細やかなサービスを提供するとともに、
リハビリやデイサービス等の機能を加えた健康・福祉の拠点施設である。
自然石を打ち込んだPC版の外壁が特徴的である。この手法は愛媛県総合科学博物館でもみられた。
そして円錐形のガラス空間が建物を貫いていることも大きな特徴です。
このガラス空間の下に行くと気持ちのいいソファが置いてあって気持ちよくくつろげます。 '01.11.19
吉備町役場・きびドーム
和歌山県吉備町
和歌山市より南に位置する吉備町につくられた庁舎である。
元あった場所ではなく新たな場所につくられたため町から少し外れたところにある。
そして役場と「きびドーム」というホールだけがある場所に続く道が新たにすごくきれいに整備されている。
人工(?)の池を囲むように、そして池に向かって開口部がつくられている。
そして隣にある円筒形の建物とはデッキによってつながれている。
夜はとても中の様子がわかるので、これぞ町民に開かれた役所!といった感じである。 '01.6.12
和歌山県立近代美術館・博物館
The Museum of Modern Art Wakayama/
Wakayama Prefectural Museum

和歌山県和歌山市
和歌山城の隣にある近代美術館と博物館です。
「国立民族学博物館」のような外部空間に彫刻を展示して、
内部から鑑賞するという方法が所々に見られた。
「やまなみホール」と同じ塔が立っているが、大きさが全然違っていてこちらの方がかなり大きい。
そのため写真で想像してたレベルよりかなり大きかった。
階段についている波打った手すりは紀ノ川をイメージしたものらしい。。
和歌山城の天守閣から見下ろすと、平べったくていまいちであった。
1995 愛媛県総合科学博物館
Ehime Prefectural Science Museum
愛媛県新居浜市
愛媛県新居浜市の裾野につくられた科学博物館、図書館などの複合施設である。
円錐形、半円形、正方形など幾何学的な形態をそれぞれの棟ごとに採用しており、
それとともに軸線をずらすという日本の美意識を導入した設計としている。
抽象性を継承しつつ場所性や歴史性などを重視するという
黒川氏の「アブストラクト・シンボリズム」理論がこの作品で展開されているそうである。
これまで二度、近くまで来ていたのに行けなかった(閉館日や時間の問題で。。)のですが
ついに三度目の正直で行くことが出来ました。
庭に張られた水面がすごく掃除が行き届いていてとても美しく、そこに浮かぶプラネタリウムの
球面、そして漂うロボ(?)が光できらきらと輝いていました。 '02.3.19
ホテル京セラ
鹿児島県隼人町
鹿児島空港に近い隼人町につくられたホテルである。
付近に京セラ関係の施設(工場や事務所等)がたくさんあります。
楕円形のシンプルな外観ですが、円弧部分をカットしてガラスのカーテンウォールで覆っています。
カーテンウォールの内部は高さ60mの大アトリウムになっており、
中央に三角錘形の教会が配置されています。
2001年には隣にアネックスが増築され、デッキによって行き来が出来るようになっています。
そのデッキ部分は現代建築に不釣合いとも思える縄文遺跡ミュージアムになっていました。
いつも思うのですが、これほど大きなホテルをつくってお客さんは来るのでしょうか? '02.12.11
石橋町立石橋中学校
栃木県石橋町
グリムの町として有名な石橋町につくられた中学校校舎である。
広々とした敷地にゆったりとそれぞれの校舎が配置されています。
最も特徴的なのが教室棟2棟を並列に並べ、その間に木造のトラス屋根をかけているデザインです。
屋根と空中通路のかかった中庭が美しかったです。
三角や四角といった形に開口部を切り抜く手法はこれまでの作品でもみられたのですが、
月型に切り抜いてあったのは初めてでした。なかなかかわいいです。 '02.5.20
1996 ソフトピアジャパンセンター
岐阜県大垣市
大垣市にある映像・通信の施設を集めたマルチメディア産業の拠点としてつくられた
ソフトピアジャパンというエリアの中心施設である。
マルチメディア技術をゲーム感覚で体験できるメディアプラザ、インターネット等を無料で体験できる
情報ライブラリーがある。
大垣市に行くといやでも目に入るほどの巨大で高層な建物であり、しかもロボットのような外観は
いい意味でも悪い意味でもインパクトがあるのではないでしょうか。
エントランスを入った吹き抜けホールの真ん中に織田信長像がおいてあるのは
さすが岐阜!と思いながらも、現代建築の真ん中に武士というのは笑えるものがある。
高層の建物には必ずある展望ロビーがあり、無料のためか学生がたくさんいた。 '01.3.8
1997 福井市美術館
福井県福井市
通称「アートラボ福井」という福井の美術館である。
ガラスのコップをひっくり返したような外観が特徴的である。
そのガラスのコップをまわりながらスロープを進み階上へ上がる設計である。
内装はすごく清潔感のある白がよく使われておりとても気持ちが良い。
展示は福井市にゆかりの彫刻家高田博厚の作品が常設してある。
ブロンズのつくりかたが丁寧に説明してあってとても分かりやすかった。 '99.9.12
山ノ内町立志賀高原ロマン美術館
長野県山ノ内町
志賀高原のゲレンデのふもとにつくられた美術館である。
ローマ時代のガラスを中心とした常設展示が行われています。
展示棟とレストラン棟の二つの建物を通路で結んだ設計になっています。
展示棟は、楕円形をずらして一部を開いた形になっていて、
その開いた部分がエントランスになっています。
外壁はコンクリートにチタンチップを埋め込むという「姫路市中央保健センター」や
「愛媛県総合科学博物館」で用いられた手法がとられています。
展示室は暗くなっていて円錐形のガラスのケースの中にローマングラスが入れてあり
幻想的な空間作りがなされていました。
展示棟に対してレストラン棟はガラスによる円錐形のシンボリックな外観になっています。
抽象的形態にゆがみを与え環境と共生する場を創り出すという「アブストラクトシンボリズム」
の考えがこの建物には反映されているそうです。
ただ、展示棟は内部空間はすばらしいものの外観は不恰好でちょっとイマイチです。
エントランスへのアプローチも押しつぶされそうであんまりでした。
アプローチに張った水も汚かったです。。 '03.5.11
道の駅なかせん
秋田県大仙市
田沢湖へと向かう国道105号線沿いにつくられた道の駅である。
黒川建築だという情報は得ていたのですが、一目見ただけでは普通の道の駅でした。
しかし、細かく見ていくと黒川建築の要素があったので確信しました。
まず、写真にもありますが、黒川建築の特徴である塔が並んでいます。
そして建物の妻の部分にも黒川建築によく見られるハート型のデザインがあります。
ホール部分の湾曲する天井なんかもタダモノではない設計であることを感じさせます。
建物外部のボテッとした柱は、この町の特産である「あきたこまち」の米俵をイメージしているんだと
思ったんですがどうでしょうか? '07.7.17
特別養護老人ホーム ぬく森
Special Elderly Nursing Home Nukumori
愛知県犬山市
犬山市の郊外につくられた福祉施設である。
中庭を取り囲むように諸室が配置されたロの字型の平面プランとなっており、
中庭には黒川建築であることを示す(?)ガラスの円錐が立っています。
2004年には新館が増築されており、こちらも黒川建築だという情報を
暇多余さんからいただいたのですが、それらしき要素は見当たりませんでした。
全然旧館とは異なるデザインだし。。 '13.1.4
1998 犬山ローレライ麦酒館
愛知県犬山市
愛知県の犬山市につくられた麦酒のレストランと販売所です。
なぜローレライかというと、犬山市とドイツの都市が姉妹都市を結んでいて、
そのドイツの町にはローレライ伝説で有名だからだそうです。
黒を基調としたシンプルな外観である。
販売所の中は、地ビールの販売スペース以外に地ビールのタンクが
ガラス越しに置いてあり見ることができます。
僕が行ったとき、レストランは残念ながら貸切のため内部は見れませんでした。
ただ、レストラン入り口のドアハンドルが黒川氏の「フラクタルシリーズ」であることは
見逃しませんでした。(珍しく緑色のドアハンドルでした。) '02.8.27
ヴァン・ゴッホ美術館新館

オランダ アムステルダム
世界最大のゴッホコレクションを誇るアムステルダムのゴッホ美術館の新館である。
本館のすぐ隣に別棟で建てられており、地下で連結されています。
リートフェルト設計の本館が直線的な構成なのに対し、新館は楕円形平面としています。
楕円の半分を地上2階、地下1階の建物とし、残り半分は水を張ったサンクンガーデンを
囲むように回廊を巡らせています。
そして、サンクンガーデン上に箱形のボリュームが飛び出していて、そこを特別展示室としています。
また、屋根は楕円回転体の一部を切り取った形としており、壁面との間に隙間を設け、
そこから展示室に光が差しこむよう設計されています。
本館側から見るとデザイン的に面白いですが、一番人から見られる公園側(南側)から見ると、
カーブを描く壁が連続するだけという立面はどうなんでしょうか。。 '06.1.1
京セラ本社ビル
京都府京都市
京都市伏見区に立つ京セラの本社ビルである。
黒川氏は鹿児島に「ホテル京セラ」(1995)も設計しており、京セラのお気に入りみたいです。
地上20階、地下3階という巨大なビルですが、直方体でのっぺりした正面ファサードは
車寄せに黒川さんらしさが見られるもののインパクトの弱い外観です。
しかし、南面は壁を覆い尽くすほどのソーラーパネルが取り付けられており、
屋上のパネルと合わせて世界最大規模の太陽光発電システムになっているそうです。
その他にもガスコージェネレーションを導入するなど環境に配慮した建築になっています。
本社ビルで会社のクリーンイメージを構築するというねらいもあったと思われるので、
デザインは二の次になったのでしょう(笑) '06.12.10
1999 豊田大橋
愛知県豊田市
豊田市につくられた橋です。
デザインは曲線を多用した生き物のような表現です。まるでアールヌーボー時代です。
(これは言いすぎか?)
触覚のような街灯がいいです。歩道の途中にベンチなどのくつろぎのスペースがつくられていましたが
僕が行った日は風が強く誰もいませんでした。あんまり人が憩うような立地でもないしなあ。。
すぐ隣につくられているスタジアムも黒川氏の設計です。 '01.9.17
嘉島町役場
熊本県嘉島町
熊本市から程近い場所にある嘉島町につくられた庁舎である。
建物の平面計画などは町の文化財である井寺古墳をイメージした設計になっていて
正方形の内接円を正方形の対角線で分割したものだそうです。
外壁もベンガラ色をしていて土器を思わせる外観となっていました。
建物周りには浅い池が張り巡らされていて、水中には町の地図が沈められていました。
ただ、この地図が建物デザインとマッチしていなくてちょっとがっかりです。
内部は中庭を取り囲むようにつくられ、白を基調とした清潔感のある空間となっていました。
'03.10.31
天野製薬・岐阜研究所 岐阜県各務原市
愛知県に本社を持つ製薬会社の研究施設である。
隣接して建てられているリチャード・ロジャース設計の「テクノプラザ」と一体的な設計が考えられ
地形を利用し景観に配慮した配置がなされています。
外観の赤色トラスが特徴的ですが、このトラスが大屋根による内部空間の無柱化を可能にしています。
うねるような平面に見られる曲線も魅力的でした。
ただ、赤色のトラスが目立つため、隣接のテクノプラザほど自然に溶け込めていないのが
残念でした。 '02.12.12
フラワーヒルミュージアム
和歌山県那賀町
医学者である華岡青洲のふるさとである那賀町につくられた「青洲の里」内につくられた施設である。
建物は、青洲がマンダラゲを主成分として麻酔薬を発明したことにちなんで、
マンダラゲの花がモチーフになっています。
コンクリートの城壁のような重厚な外観で、「C」の字のような平面になっていて、
真ん中には水を張るという設計のようでした。(僕が行ったときは水はなかった。。)
内部は、博物館、レストラン等になっています。
テラスの屋根の上に黒いゴミ袋のようなものがつけられていたのは、鳥よけでしょうか?
風にたなびいていました。。 '02.4.10
門司港レトロハイマート
福岡県北九州市門司区
門司港レトロ地区の中につくられたランドマーク的な複合施設である。
最上階には展望室があり、喫茶やレストランも入っています。
その他の階はこの建物のメインの用途である住宅になっています。
黒の外観と数多くの小さなガラス面とバルコニーが特徴的で、
レトロ地区にある他の歴史的建造物群とは全く異なった近代的な建物になっています。
しかし、常に観光客の絶えないレトロ地区の真ん中で住むという感覚はどういうものなのでしょうか。
'01.11.30
青森県立保健大学
青森県青森市
高齢化社会による介護や福祉の重要性を考え、保健士や介護士を養成するための学校として
青森市につくられた大学である。
黒川氏設計による学校は、それぞれ独立した建物を並べ、
これまで別の建物で使われた手法(デザイン)の集大成といった感じがします。
この大学も、講堂や教室棟は「ソフトピアジャパン」、体育館は「石橋中学校」、
交流センターは「福井市美術館」といったところでしょうか。
僕の大学はすごくボロボロな校舎だったのでこんなに綺麗な大学はうらやましいです。
'03.2.14
アンバーホール 久慈市文化会館
Amber Hall (Kuji City Cultural Hall)
岩手県久慈市
岩手県の太平洋に面する久慈市につくられたホールである。
久慈駅から東へと海に向かって進んだ道路の突き当たりに位置しており、
二つの川が合流する三角の敷地に建っています。
外観を一目見て黒川建築だと分かる高さ43mのガラスコーンが立っていて、
その後ろに海のうねりをイメージした波打つ本体施設があります。
ガラスコーンはエントランスホール、喫茶室などがあり、最上部は展望台となっています。
本体は大小二つのホールと展示室、会議室などから構成されています。
黒川建築に多く使われるデザインや素材の組み合わせなので新鮮さはありませんでしたが、
最近は段々親しみを覚えるようになってきました(笑)
安藤建築にはRC打放し、黒川建築にはガラスコーンっていう感じですかね。
ちなみに名称の「アンバー」とは英語で「琥珀」を意味していて、久慈市が日本最大の
琥珀の産地として有名であることから付いた名称だそうです。
笑ったのが、ここのガラスコーンは中学の数学の教科書で円錐形の面積を求める数式を
説明する部分で写真が掲載されているそうです。 '05.5.12
鏡町文化センター
熊本県鏡町
鏡町役場の前にある約600席のホールを中心とした複合文化施設である。
ホール以外にも図書館や公民館などから構成されています。
流線型の屋根、ガラス張りの正面ファサード、列柱の並ぶ外観が特徴的です。
裏側にまわるとRCの外壁を背にした屋外劇場も設置されていて、
芝生に座って劇を観覧することができるようになっていました。
波打つ屋根は同時期につくられた「アンバーホール」と似ていますが、
ガラスコーンが無いので結構おとなしめに見えて好感が持てました。 '05.7.14
津軽伝承工芸館
青森県黒石市
こけしで有名な黒石市につくられた伝承工芸館である。
アプローチの階段を上るとまっすぐに伸びる通りがあり、それを挟むようにアートギャラリーが続き、
奥にA〜D棟の4つの建物が配置されています。
それぞれの建物はレストランや多目的ホール、展示室といった機能以外に、
津軽の伝統工芸の製作工房が7ヶ所設けられており、職人と入館者とのふれあいの場
にもなる施設となっています。
黒石市の歴史的街並みなどを意識した建物となっているため、黒川さん設計であることが
分かりにくいですが、よく見ると黒川さんらしい現代建築要素がそこここにありました。
僕が訪れた時が夕方だったからなのか僕以外誰もいなかったのが悲しすぎました。。
'07.10.28
2000 福井県立恐竜博物館
Fukui Prefectural Dinosaur Museum
福井県勝山市
福井恐竜博のメイン施設であり、勝山市で恐竜の化石が多く見つかったことによりつくられた博物館である。
エントランス部の建物とそこからつながる球状のドームからなる。
明るい白を基調としたエントランス部は吹き抜けの中をエスカレーターで地下へ下っていき
ドームにアプローチするようになっている。
そしてドームは周りのスロープを巡りながら中の展示を見てまわるようになっている。
ドームの中は写真を撮れる場所が指定されていて、そこ以外で撮影すると注意された。。 '01.1.29
大阪国際会議場
Osaka International Convention Center
大阪府大阪市
中之島の堂島川沿いに建設された大阪最大級のコンベンションセンターである。
通称「グランキューブ大阪」といいます。
隣接するリーガロイヤルホテルと1階部分で連結されています。
6本のコア柱によりコンベンションホールなどの無柱空間を支えています。
1階部分の多くはピロティとなっています。冬に見学に行ったことと風が強かったこと
が原因だと思いますが、クリスマスツリーが飾ってあるにもかかわらず人は殆どいませんでした。
隣のホテルには驚くほど人がいたのと対照的で少し悲しく感じました。。 '02.12.19
2001 済生会吹田病院東館
大阪府吹田市
吹田市にある済生会病院の増築である。
病院職員の生涯学習等の機能を考えてつくられ、図書館などが入っています。
病院と道路を挟んだところにつくられたたため、ガラスで覆われたのブリッジによって接続されています。
建物は直方体と楕円形をつないだもので、楕円形の部分は「ヴァンゴッホ美術館新館」に似てました。
内部は白を基調にした空間で、エントランスを入るといきなり巨大な柱にびっくりするとともに
「この建物は黒川紀章設計です」といわんばかりに「江戸シリーズのハイバックチェアー」が
2つ置かれていました。 '02.3.25
大分スポーツ公園総合競技場
ビッグアイ

Oita Stadium
大分県大分市
大分スポーツ公園の核となる総合競技場である。
2002年サッカーワールドカップ大分会場のために建設されました。
屋根は2層構造で、下層は固定屋根、上層が可動式の膜屋根になっていて
可動屋根の動きがまぶたが開いたように見えることから「ビッグアイ」と名付けられました。
施設の維持費の確保が問題となったことから、ネーミングライツを売ってしまい、
現在は「九州石油ドーム」となってしまってます。
地方につくられたこの手の施設はどこも維持費を確保するのに困ってるんだろうなあ。。
'07.10.21
2004 日本看護協会ビル
Japanese Nursing Association Headquarters
東京都渋谷区
表参道に次々と建築されている有名建築家による建物群の一つである。
久々の黒川紀章氏による目玉プロジェクトではないかと思います。
1、2階部分が店舗になっていて、3階以上が協会の事務スペースとなっています。
建物をすこしセットバックさせることと、中央の大階段から2階のオープンスペースを設けたことにより
公共空間を多くもった建物になっています。
2階のオープンスペースは向こうが見えているので、てっきり裏道に抜けられるのかと思ったら
そうではなかったのが残念です。でも抜けられるようにしたら騒々しくて仕方ないか。。
建物で1番目を引く円錐型のコーンは、協会と地下のオーディトリウムへのエントランスを兼ねている
のですが、相変わらず円錐形を使うところがちょっとマンネリを感じますが面白かったです。 '04.12.24
旭川地方合同庁舎
北海道旭川市
旭川駅南東において整備が行われている「北彩都あさひかわ」地区内につくられた国の合同庁舎である。
老朽化した各官庁施設を集約することや中心市街地の活性化を目指してつくられました。
黒川さんお得意の円錐コーンがあると思いきや、今回はコーンが尖ってなくて先っぽが切られてます(笑)
赤い外壁とガラスのコーンが鮮やかでシンボリックな建物となっていました。
ちなみに写真の状況は第一期だそうで、第二期が完成するとコーンを建物が挟み込む形になります。
デザイン的には現状で完成にしてもいいと個人的には思うんですが。。 '07.7.23
東建コーポレーション本社ビル
愛知県名古屋市
黒川紀章が技術顧問をしている建築会社の本社ビルである。
低層部にショールームや多目的ホールを備えた15階建ての建物です。
最上部が尖ったロケット型の建物で、周囲のビルよりもかなり高いため、
このエリアのランドマークとなっていました。
ただ、僕が見学した後にすぐ近くにアルペン本社ビルが建ってしまっているみたいなので、
ややランドマーク度合いは下がってしまってるかもしれません。。 '07.10.12
2005 愛・地球博 天水皿n
愛知県瀬戸市
瀬戸会場の入り口につくられた巨大な皿です。
直径が30mもあり、30000枚もの皿を集めてつくったそうで、黒川さんは総合プロデュース、
デザインは日比野克彦さんが考えたみたいです。
名称は黒川さんが考えたそうですが、天の水を受ける皿=地球を表していて、
「n乗」は多くの皿から構成されていることを示しています。
愛知県といえば出身でもある黒川さんがパビリオンの設計もさせてもらえず、
メイン会場でない瀬戸会場の入口付近に寂しげに佇む皿のプロデュースしかしていないのは
すごい屈辱じゃないかなあ、とか思いながら見ていました。 '05.8.8
スパッツィオ・ブレラ銀座
Spazio Brera Ginza
東京都中央区
銀座1丁目、高速道路のすぐ横に建てられた複合ビルである。
高級チョコレートショップ、ジュエリーショップ、カフェ、そしてギャラリーという
変わった取り合わせの店舗が各階に入った10階建てのビルです。
29本の柱が頂上の1点に集まる有機的曲面を持つガラスのタワーは美しく、
最近の黒川建築の中で一番のヒットです。夜は美しく光るだろうなあ。
ところで「スパッツィオ」とはイタリア語で「空間」という意味だそうですが、
「ブレラ」ってどういう意味でしょう? '07.10.27
パルティせと
Parti Seto
愛知県瀬戸市
尾張瀬戸駅前に建てられた市民交流センターである。
情報ライブラリー、会議室やアリーナが入った公共施設で、1、2階は店舗になっています。
楕円形平面を持つガラス張りの巨大な建物は周辺のランドマークになっていると思われます。
ガラス面にプリントされた丸印がブツブツに見えて気になるんですが、何か意味があるのでしょうか。
ちなみにこの建物が竣工した2005年は愛知万博が開催された年で、
黒川さんは万博会場内には皿をつくっただけなのが意外だったのですが、
会場から少し離れたここにでっかいのを建ててたんですね。 '08.8.1
木阪製作所本社
Kisaka Marine Co.Ltd Bldg

大阪府堺市
堺市の海にほど近い幹線道路が鋭角に交わる交差点に立つ企業の本社である。
木阪製作所はマリンビジネス、いわゆる船舶の販売等を行っていて
この建物は船舶のショールームの機能も備えた本社となっています。
ただ、現在は木阪製作所のグループ会社の建物としているようです。
幹線道路に沿うように全面ガラスの立面としており、ガラスには○がドットのように
等間隔に描かれています。たしか同時期に竣工した「パルティせと」のガラス面にも同じような
ドットがあったと思うんですが、こっちの方が大きめです。
二階部分が大空間となっており、そこに高額と思われるクルーザーなどが
展示されているんですが、クルーザーを買えるはずもない僕はびびって入れませんでした。。 '09.1.7
吉運堂新発田店
Yoshiundo Shibata Branch
新潟県新発田市
新発田市の幹線道路沿いに建てられた墓石、仏壇等を販売する店舗である。
新潟市(旧白根市)にある本店も黒川さんが設計しており、それ以外にもいくつか設計しています。
鋭角な四角錘と直方体が並ぶインパクトのある外観となっています。
仏像が置いてあるのは分かるのですが、モアイ像も外部に置いてあるので
知らない人が見たら怪しげなB級スポットに見えてしまうかもしれません。
そのように考えながら見ていると、四角錘もピラミッドパワー的な建物のような
気がしてきました(笑) '11.2.10
2006 国立新美術館
National Art Center, Tokyo
東京都港区
東京大学生産技術研究所跡地につくられた国立の美術館である。
曲線を描くガラスのルーバーで覆われた正面ファサードが特徴的です。
やはりというか当然のように黒川建築の特徴であるガラスのコーンがファサードに
張り付いていて、そこが正面エントランスになっています。
内部に入ってすぐの巨大なアトリウム空間にはふたつの逆円錐形がルーバーの波と
呼応するように並んでいて、その上部にはカフェやレストランが設けられています。
この美術館は収蔵品を持たず巨大な展示空間が設けられているので、
今後、この巨大空間を上手く活用した展覧会が見られることが楽しみです。 '07.6.3
2008 大口町立大口中学校
Oguchi Junior High School
愛知県大口町
愛知県北西部の町、大口町につくられた中学校である。
少子化に伴う二つの中学校の統合によってつくられました。
愛知県は黒川さんの出身地であるため、多くの建物を設計されましたが、
この建物が愛知県最後の設計だと思われます。
二つの校舎を並べ、その間の中庭をガラスのドームで覆っており、
これが外観的にもインパクトを与えています。
同設計者による石橋町立石橋中学校でも使っていた手法ですが、
石橋中学校ではRC打放し仕上げだったのが、今回は木のルーバーで覆っています。
なんとなく木のルーバーって黒川さんぽくないなあ。 '11.11.14


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