菊竹清訓のページ
Kiyonori Kikutake Architecture


丹下健三と同じくらい大御所である菊竹清訓。
彼の作品の中で僕が見てきたものを紹介するページです。

作品 データ
1958 スカイハウス
Sky House
東京都文京区
言わずと知れた菊竹氏の自邸である。戦後の日本を代表する住宅作品とも評されています。
1辺が約10mの正方形のワンルームが4本のRC柱で空中に持ち上げられています。
そしてワンルームの周りに取替え可能なキッチン・バス・収納を取り付けています。
これらのいわゆる新陳代謝(メタボリズム)の理念がこの時期に既に作品に現れている
ことは驚きです。
その後、一時期だけ子供部屋がピロティ下部に吊り下げられたりしましたが、
現在はピロティ部分に増築がされているため当時の姿を見ることは出来ません。
'03.1.8
梅林寺ティーハウス
Bairinji Temple Tea House

福岡県久留米市
久留米駅の北西、筑後川に近い場所にある由緒正しきお寺につくられたカフェである。
その名のとおり梅の見所として有名な観光地にもなっています。
お寺にカフェがあるのはなかなか珍しい気がしましたが、観光地だからだと思われます。
敷地の端に平屋の小さな建物がひっそりと建っており、木々に覆われているため、
あまり外観を見ることができません。
道路側も後の増築と思われる部分が見えるだけです。。 '13.5.9
1963 出雲大社庁の舎
Administrative Building of
Izumo Shrine

島根県大社町
昭和38年日本建築学会賞
菊竹をメジャーにした作品であり代表作である。
出雲大社の敷地内にある社務所のようなもので、応接室などがある。
1953年の火災による舎の復興で建てられたものらしいです。
外から見ると中は暗いのではと思ったが、中に入ると明るさにびっくりした。
同じ敷地内に彼の作品である神枯殿がある。
(追記)最近知ったのですが、この建物内部にある照明は
イサム・ノグチの特注の「あかり」だそうです。
学生時代に撮った写真(左上)にも写っているんですが、
その当時は菊竹さんの建物に感動しまくっていて全然気づいてませんでした。不覚。。
'04.8.18

(追記)学生による保存運動や日本建築学会等の保存要望などもありましたが、
慢性的な雨漏り等に悩まされていた出雲大社が改築を決定し、解体されてしまいました。。
'16.11.29
館林市市民センター
Tatebayashi Civic Center

群馬県館林市
旧館林市庁舎である。現在は相談所などの市民センターとして利用されています。
モダニズム建築の真髄といえるのではないかと思うほどの迫力です。
角の立つ白いコア部分と3階以上の飛び出した部屋のガラスが特徴的です。
この頃の菊竹氏の建物は上階になるほど床面積が増えるような設計が多く、
構造技術の進歩をまざまざと見せ付けるのが目的だったような気もします。
現在の市庁舎(設計は桂建築設計事務所)を建てるときに、取り壊さないでくれて
本当にありがとうと館林市に感謝を言いたくなる建物でした。 '02.6.5
1964 東光園
Toukouen
鳥取県米子市皆生温泉
皆生温泉内のホテルである。膨大な日本庭園を持っている。
主柱にはそれぞれ三本の添柱と、それらをつなぐ貫が設けられ日本的な表現になっている。
ロビーでこの主柱を見た時、こんなん必要ないやんけ、と思ったが深い意味があったんですな。。
入り口の自動ドアが面白く引き戸ではなく一方向にのみ開くドアなので
わざわざ入る用と出る用の二つある。
横にあった建物は増築したのだろうか? 
菊竹が設計したとは思えないが。。(無理矢理似せている感じ)
(追記)こないだ久々に訪れたところ、入口が普通の自動ドアに変わってました。
前のやつのほうがレトロでよかったのに。。 '06.2.14
1965 岩手教育会館
Iwate Education Center
岩手県盛岡市
盛岡市の岩手公園の目の前にある教育会館である。
この建物が建てられた当時、岩手山を見る眺望を阻害されるとして景観問題になったらしい。
しかし、今見るとそれほどの高さはないが当時は周りになにもなかったのだろう。。
建物は上部のほうがボリュームの大きな建物で平らに見えるが、裏側にはホールが設置されている。
エントランス入ったところのホールの天上の滑らかな曲線がすばらしかった。 '01.1.23
(追記)きむさんから情報をいただきまして、建替えのため現在解体中だそうです。
同じ盛岡にある図書館は「もりおか歴史文化館」として存続しているのに残念です。。 '15.8.27
徳雲寺納骨堂
Toku'un-ji Temple Ossuary
福岡県久留米市
久留米市のお寺につくられた小さな納骨堂である。
2枚の壁柱によって床スラブと屋根が支えられ、外壁は屋根から吊られています。
建物周りは水盤が設けられており、地面より1.2m持ち上げられた床スラブへは
水盤の中に置かれた石から階段を介してアプローチします。
壁と床スラブの間には30cmほどの隙間を設けることで、建物が宙に浮かんでいるような
視覚的効果をもたらし、内部には水盤で反射した光が差し込むようになっています。
見学に行った時は残念ながら水盤に水は張られていませんでした。
小さな建物ですが菊竹建築の傑作の一つに入ると思います。 '13.3.16
1966 都城市民会館
Miyakonojo Civic Center
宮崎県都城市
都城市にある多目的ホールである。
下部のコンクリートとそこから放射線状に延びる黒い鉄骨、そして鉄板から成る。
彼のメタボリズムの思想を具現化した作品でもあり、変わる部分(鉄板や木)と
変わらない部分(コンクリ)に素材を分けて計画されています。
60年代の菊竹作品の力強さをこの作品からも十分に感じ取ることができます。
元々は屋上に舞台と客席があったらしいですが、増築により現在は撤去されている
そうです。 '02.9.25
(追記)新たに建設された総合文化ホールが2006年10月に開館することや
老朽化を理由に解体の話が出ています。。
これほどダイナミックなすばらしい建築はほとんど無いと思うので
是非とも別の用途への変更などで存続させてほしいです。 '05.12.21
(追記2)保存の芽が出てきました! 南九州学園が大学施設としての貸与を申し入れたそうで、
市長も前向きに検討しているみたいです。 すばらしい、南九州学園!! '07.10.31
(追記3)保存が確定しました!市が南九州学園に20年間無償貸与するそうです。 '08.1.5
1967 岩手県立図書館
Iwate Prefectural Library
岩手県盛岡市
公園内につくられた東北の山並みをイメージしたような低層の図書館である。
屋根の形を利用した内部空間はハイサイドライトを使った光溢れる閲覧室をつくり出しています。
ほぼ同時期につくられた「島根県立図書館」とともに菊竹氏の名図書館だと思います。
この建物の二年前に同じ盛岡で設計した「岩手教育会館」が景観論争を巻き起こしたため
この建物は低層の自然に溶け込む設計になったのでしょう。 '02.12.14
佐渡グランドホテル
Sado Grand Hotel

新潟県佐渡市
佐渡島につくられたホテルである。
加茂湖畔に立っており、柱で持ち上げられた長さ120mの建物が湖に張り出す姿は
ダイナミックで、客室からは湖を望むことができる絶好の立地です。
建物立面や内部柱が構造体をあらわしていて、それが力強さを際立たせていました。
各階1箇所ずつ飛び出した休憩場所があるのですが、ここがすごく心地よいです。
この建物は菊竹さんらが提唱していたメタボリズムが実践された例であり、
竣工3年後に中2階が増築されています。
ここまでは菊竹さんが関与していると思われますが、その後に隣に増築された建物は
ものすごく残念な建物になっています。。
関西に住んでいると佐渡島はかなり遠く、アクセスは大変でしたが、
この建物を見たくて行ったと言っても過言じゃないと思います。
そして見る価値はありました。モダニズム建築好きは必見です!
ただ、宿泊すると風呂が狭すぎて団体客がいると大変です。。風呂大きくしてよ〜。 '11.11.10
駿河ビル
(スルガ銀行東京支店)
Suruga Bank Tokyo Branch

東京都中央区
東京日本橋の一等地、三越の前に建てられた銀行の支店である。
静岡県に本店を持つ地方銀行ですが、こんな一等地に建てられることが、
スルガ銀行の大きさを物語っていると思います。
黒光りする外壁と規則正しく並ぶ壁面から少し凹ませた開口部が
重厚感のあるファサードをつくり出しています。
屋上に「スルガ銀行」と書いたサインがあるのですが、地上からは見えないのが
いいと思います。すぐ近くの高速道路を走ってたら見えるのかな。 '13.4.3
1968 島根県立図書館
Shimane Prefectural Library
島根県松江市
松江城のお堀沿いにつくられた図書館である。
この付近には菊竹さん設計の公共建築が数多く存在しています。
RC打放しによる建物は、二つの軸線が交差するダイナミックなデザインになっていて
中央の吹抜けのホールには鉄骨の屋根が掛けられています。
お堀のすぐそばであるため、閲覧室は開口部から水を感じられるように配置されています。
この開口部は外から見るとかなりごてごてしていて、菊竹さんが設計した
「出雲大社神枯殿」の天井のぼこぼこを思い出させました。
ちょっと前に久々に見学に行ったら外壁塗られてました。
綺麗になったとは思いますが、RCが汚れてきて荒々しさを増す姿が好きな僕としては
ちょっと残念でした。。(写真は新旧両方混ぜて載せてます。) '04.11.14
1969 萩市民館
Hagi Civic Center
山口県萩市
ロビーを挟んで大小のホールが向かい合うという設計である。
立体トラスにワイヤーが張り巡らされてあり、裸電球が取り付けられている。
隣の萩市庁舎も菊竹の作品であり、両建築の調和が図られている。
小ホールの控え室を新たに増築してあるのがよく分かった。
しかし、壁をぶち抜いて設備室(?)に入っているのはいけてなかった。'99.8.21
ベルナール・ビュッフェ美術館
Bernard Buffet Museum
静岡県駿東郡長泉町
静岡県の気持ちのよい山の麓といったところにあるビュッフェの美術館である。
ビュッフェはフランスの画家で直線的な画風が特徴的であり、1999年に亡くなられた。
この美術館は彼専属の美術館としては世界ではじめてものである。
ドーナツ型の回廊展示スペースと、ドーナツの穴に三角柱がささった形をした中央のホールがある。
三角柱の部分の外壁にはビュッフェのサインが描かれている。
エントランス前の大きな木とビュッフェが好きだった昆虫の彫刻が特徴的でした。
もともとはこの建物と入り口前のショップとトイレだけだったのですが、その後新館を増設し、
さらに「ビュッフェ子供美術館」なるものもOPENしたため親子連れがすごくたくさんいました。
あれだけうるさい美術館も珍しくて面白かった。 '01.3.1
久留米市民会館
Kurume Civic Center
福岡県久留米市
同じく菊竹さんが設計した久留米市庁舎(1994)のすぐ北側に建つ市民会館である。
市庁舎が高層のノッポビルなのに対して、こちらは低層で地に根付いた感じがします。
竣工年が違うのもありますが、同じ菊竹建築でも市庁舎はツルッと曲線的ですが、
こちらはゴテゴテ直線的です。
驚きなのはホールの仕組みで、2枚の巨大な可変天井が設置されており、それが
回転すると間仕切り壁となり、ホールをさまざまな規模に変えられるというものです。
現在は動かなくなっているそうですが、当時は画期的なシステムだったと思います。 '13.1.31
(追記)新ホールである久留米シティプラザが出来たため、2017年に解体されてしまいました。
'18.9.15
1970 エキスポタワー
Expo Tower
大阪府吹田市
2002年8月から解体が決定したエキスポタワーである。
1970年に開かれた日本最大の博覧会、通称万博の会場につくられた高さ127mの塔です。
ランドマーク兼展望施設として設けられました。
塔の中腹にはキャビンと空中デッキ、パラボラアンテナ用デッキが設置されており、
それぞれが回廊や階段などで連結されています。
万博終了後もしばらくの間は展望施設として上ることができたそうですが、
老朽化が進んで来たため上れなくなったそうです。
補修を行い再び上れるようにしてほしかったのですが、吹田市は解体を発表してしまいました。
万博公園のランドマークが一つ消えてしまうことがとても悲しいです。 '02.7.28
(追記)2003年3月をもって解体が完了しました。。 '03.5.15
芹沢文学館
静岡県沼津市
沼津市の海に近い場所にひっそりと佇んでいる小さな文学館である。
沼津出身の文学者である芹沢光治良さんの作品を展示しています。
4本の六角柱を並べて、それぞれを展示室や階段室にし、
真中をホールにしたRCの建物である。
僕自身は荒々しいコンクリートの壁や天井の造形など、力強さを感じる建物として
静岡にある他の菊竹作品よりもかなり気に入っているのですが、
客の入りは明らかにビュッフェ美術館などと比べると少なかったです。
文学館なのに「るるぶ」とか「マップル」にも全く載ってないです。。
このすばらしい建物はもっと宣伝して多くの人に見てもらいたいものです。 '03.2.21
島根県立武道館
Shimane Prefectural Budokan
島根県松江市
松江城のすぐ近く、公共施設が集約しているエリアにつくられた武道館である。
同じく菊竹さんが設計した島根県立図書館もすぐ近くにあります。
1階は中央にトレーニング場を設け、その周りに会議室や事務スペースを配しており、
2階にメインの道場と観客席が設けられています。
正面ファサードは中央にガラス面があるものの、のっぺりした印象となっていますが、
側面は2階観客席部分を柱が支えるダイナミックな造形となっています。 '13.2.2
1971 京都信用金庫城陽支店
Kyoto Shinkin Bank Joyo Branch
京都府城陽市
幹線道路に面した大型店舗の敷地内に建つ銀行の支店である。
菊竹さんの一連の京都信用金庫シリーズの最初期の作品です。
「アンブレラ・ストラクチュア」と名付けられたHPシェル構造の屋根を1本の柱で支える
形態を一つのモデュールとしており、ここではそれを4つつなげています。
竣工してから40年以上経過していますが、改修も行われて綺麗に使われているのが
嬉しいです。 '13.1.20
京都信用金庫九条支店
Kyoto Shinkin Bank
Kujo Branch
京都府京都市
京都市内、九条通に面して建つ信用金庫の支店である。
最初期の信用金庫シリーズであり、アンブレラ・ストラクチュアを4つ並べた開放的な部分と、
その奥にあるRC壁の閉鎖的な部分で構成されています。
足元のスカート状のデザインはここと修学院支店ぐらいにしか見られないのですが、
個人的にはかなり好きです。京町屋などにみられる「犬矢来」のイメージですかね。
'13.2.25
京都信用金庫修学院支店
Kyoto Shinkin Bank
Shugakuin Branch

京都府京都市
修学院駅の近く、北山通と白川通が交わる場所に建てられた信用金庫の支店である。
京都信用金庫シリーズの中で僕が最も好きな作品です。
アンブレラ・ストラクチュア4つを風車のように並べた配置、黒を基調としたデザイン、
建物横に設けられたコミュニティスペースなど、シリーズの頂点にあると思います。
京都信用金庫シリーズを見学するならばここは絶対に見てほしいです。 '13.4.4
(追記)2021年頃に解体され、現在は新しい修学院支店が建っています。。 '24.2.11
1972 京都信用金庫西陣支店
Kyoto Shinkin Bank
Nishijin Branch
京都府京都市
菊竹さんが設計した京都信用金庫シリーズの1つである。
金融機関としての機能だけでなく、地域に開かれたコミュニティスペースを
屋上の空間とそこからアプローチできる3階部分に設けています。
見学に行った日は土曜日だったので屋上に行くことが出来ませんでしたが、
今度は平日に行ってみたいです。 '13.1.22
京都信用金庫円町支店
Kyoto Shinkin Bank
Enmachi Branch
京都府京都市
JR円町駅のすぐ近く、丸太町通りに面して建つ信用金庫の支店である。
京都信用金庫シリーズに多くみられる「アンブレラ・ストラクチュア」がここでも採用され、
一つの大傘による建物となっています。
また、建物周りには丸柱を並べ神殿風な雰囲気となっています。
当初からなのかは分かりませんが、窓周りを赤色に塗っているのが特徴的だと思います。
この支店も建物東側にオープンスペースを設けているのですが、そこの壁面を
屏風のように折れさせているのもよかったです。 '13.1.30
1973 井上靖文学館
Literary Museum for Yasushi Inoue
静岡県駿東郡長泉町
ビッフェ美術館と向かい合ってたつ井上靖の文学館である。
鉄筋2階建ての純和風のたたずまいをみせる小さな建物である。
目の前のビュッフェ美術館が近代的な設計であるのと対照的で面白いです。
田辺美術館でもみられますが、こういった和風の建築でも実力を発揮しているのが
よくわかりました。(個人的にはビュッフェ美術館のような力強い作品が好きですが。。)
'01.1.2
めかりパーキングエリア
Mekari Rest Area
福岡県北九州市
関門海峡を九州から下関に渡る直前にある高速のパーキングエリアである。
関門海峡を一望できる場所につくられているため景色は最高です。
建物はレストランおよび売店のある中央部の周りをスロープがめぐっていて
スロープをのぼっていくと屋上の展望台に辿り着くという設計になっています。
ただ、屋上にのぼっても高層な建物でないため下から見ている景色とたいして変わりません。。
ベンチなども全然置いてなくて閑散としていたのが少し悲しかったです。
ちなみに対岸にある「壇ノ浦パーキングエリア」も菊竹さんの設計です。 '03.8.20
火の山公園山頂展望施設
Hinoyama Park Observation Deck
山口県下関市
下関市の火の山の山頂につくられた展望施設である。
瀬戸内海や日本海を一望できる素晴らしいロケーションとなっています。
スロープによるダイナミックなアプローチで、まず四角平面の展望室にたどり着き、
そこから下に降りると、1時間で1回転する円形平面の回転展望レストランがあります。
「壇ノ浦パーキングエリア」「めかりパーキングエリア」とともにこのエリアに3つの
菊竹建築が同時期につくられましたが、一番アクセスしにくいここが一番楽しめました。
'13.1.21
(追記)2017年に耐震性がないことを理由に解体されてしまいました。。 '18.9.15
柴又帝釈天鳳翔会館
Shibamata Taishakuten
Hosho-kaikan
東京都葛飾区
寅さんで有名な柴又帝釈天の境内につくられた会館である。
帝釈堂の北側に位置しており、帝釈堂とはブリッジでつながっています。
三つの棟を連結した細長い建物は、敷地内から見ると傾斜屋根になっていて
帝釈堂に対して存在感を出さないようなデザインとなっていました。
それに対して道路側から見ると、RCの箱型が並び配管が走り回る姿は
裏側そのものなんですが、道路に思いっきり裏側晒してるって。。 '15.6.28
1974 萩市庁舎
Hagi City Hall

山口県萩市
萩市の市役所の建物である。
市民サービスと行政に関わるスペースを一階と二階に明確に分けている。
外観はコルテン鋼というもので覆われており、一見しても菊竹の作品とは思わなかった。
平面は基本的に正方形のグリッドにおさまっており、所々に光庭が設けてある。
隣に同じ菊竹の市民館がある。
パサディナハイツ
Pasadena Heights
静岡県函南町
静岡県の山間部につくられた120戸の集合住宅である。
菊竹さんが提唱していた段状住居を具現化したものであり、
敷地の傾斜に沿って上の住居と下の住居をずらして積み重ねています。
下の住居の屋根が上の住居の庭となっています。
各住戸には南側のテラス通路から庭を通ってのメインアプローチ以外に、
裏側からのアプローチも設けられています。
リビング・ダイニングは庭に面した開放的な空間となっています。
竣工後かなりの年月による劣化は見られましたが、最上部から段々になった住戸群を
見下ろすと、とても美しかったです。
ただ、菊竹さんのもくろみであった各住戸の庭や壁面へのツタなどの緑化は
うまくいっておらず、RCの荒々しさが目立っていました。。 '13.2.7
京都信用金庫北山支店
Kyoto Shinkin Bank
Kitayama Branch
京都府京都市
有名建築家による建物が立ち並ぶ北山通りから少し北に入った場所につくられた
京都信用金庫の支店である。
「アンブレラ・ストラクチュア」による建物は、それが京都信用金庫であり、
菊竹さんの設計であることを遠くからでも認識させるインパクトがあります。
建物は前面道路から少しセットバックし、レンガタイルによる暖かみのある開放空間を
設けています。 '13.2.11
1975 黒石ほるぷ子ども館
Kuroishi HOLP Children's Library
青森県黒石市
こけしや温泉、歴史的街並みなどで有名な黒石市にある図書館である。
ほるぷ図書販売会社が黒石市に寄贈したためこの名称がついています。
建物の規模は約110uと日本の伝統的な民家のスケールを規範として設計されていますが
5000冊という蔵書があり、子供会などにも利用されているそうです。
軒先の腐食に対して垂木の先端だけを取り替えることが出来るというメタボリズム的な
システムも組み込まれています。
屋根の上の柱には彫刻家の伊藤隆道による「ほるぷレーダー」が取り付けられていて
開館しているときだけ動くようになっているそうです。
入口にある井戸端のような空間もすごく落ち着く雰囲気を醸し出していました。
それと、屋根の上にある「子ども図書館」と書かれたサインがかわいかったです。 '03.5.25
京都信用金庫田辺支店
Kyoto Shinkin Bank
Tanabe Branch

京都府京田辺市
京田辺市の近鉄新田辺駅駅前広場に面して建つ信用金庫の支店である。
大きさの異なる門型フレームを並べて構成された建物は、他の菊竹さん設計による
京都信用金庫シリーズには見られない面白い形態となっています。
駅前広場からの立面もいいですが、道路側から見る立面が素晴らしく、
個人的には「修学院支店」と並ぶベスト作品だと思います。 '13.2.21
(追記)ずいぶん前に移転しており、建物は解体されています。 '22.1.29
1976 松見公園
展望塔・レストハウス

Matsumi Park Observation Tower
and Visitor's Center

茨城県つくば市
つくばの松見公園内に都市のランドマークとしてつくられた展望塔、レストハウスである。
池の中に立ち上がる高さ44.4mの巨大な塔は展望部分が四角く広がっていて
外観はどう見ても栓抜きで、つくばの人々からは「栓抜き塔」と呼ばれているそうです。
塔のインパクトが強いため印象が薄いですが、塔と廊下で連結された
低層のレストハウスが池に向かって張り出しています。
塔が垂直なのに対し、レストハウスは水平性を強調したデザインとなっていました。
僕が見学に行ったときは100円で展望台に上れたのですが、
アスベストが使われていたことが判明したため、現在は閉鎖状態にあるそうです。。
'06.2.2
京都信用金庫六地蔵支店
Kyoto Shinkin Bank
Rokujizo Branch
京都府京都市
京都市南部につくられた信用金庫の支店である。
イズミヤや近鉄百貨店などの商業施設が集積するエリアに建っています。
菊竹さんの京都信用金庫シリーズの特徴であるアンブレラがここでは使われておらず、
珍しく(?)陸屋根の箱型建物となっています。
建物は道路からセットバックして建物前を駐車場としていますが、木を植えて
その周りに円形ベンチを設けたりと、ここでもコミュニティスペースとしています。
'13.2.3
西武大津
ショッピングセンター
Seibu Otsu Shopping Center
滋賀県大津市
琵琶湖からも近いエリアにつくられた百貨店である。
同じく菊竹さんが設計した「パサディナハイツ」は段状住居ですが、
こちらは段状商業施設となっています。
段状にテラスを配することで、外部からの直接アプローチや緑化を図ることを
可能としています。
それに伴って外部階段が必要となるのですが、あえてデザインとして目立たせて
いるのが面白いです。招き猫の手がいっぱい並んでいるようで好きです(笑) '13.2.9
(追記)2020年8月31日に閉店し、現在解体中です。。 '21.3.5
1977 京都信用金庫北野支店
Kyoto Shinkin Bank
Kitano Branch
京都府京都市
京福鉄道北野白梅町駅のすぐ近く、大通りが交わる交差点に面して立つ
信用金庫の支店である。
二層分の大きなピロティ状の空間をつくることで、交差点で信号待ちする人などに
開かれた場所を提供しています。
全体は陸屋根ですが、北側に京都信用金庫シリーズに多くみられる「アンブレラ・
ストラクチュア」が載せられています。 '13.2.1
京都信用金庫吉祥院支店
Kyoto Shinkin Bank
Kisshoin Branch

京都府京都市
京都市南部、九条通に面して建つ信用金庫の支店である。
この建物から九条通を東に走ると九条支店もあります。
直方体の上にアンブレラ・ストラクチュアを載せた形態となっており、
そこをハイサイドライトとしたデザインは同時期に出来た北野支店にも見られます。
タワー状のサイン部や建物周りなどがアール状になっていて、
他の信用金庫支店には見られない柔らかさを感じる建物となっていました。 '13.3.2
京都信用金庫向日支店
Kyoto Shinkin Bank Muko Branch
京都府向日市
向日市につくられた京都信用金庫の支店である。
同時期に建てられた他の支店と同様、アンブレラ・ストラクチュアが
グランドレベルではなく高い位置に持ち上げられています。
南北に細長い建物であり、手前に信用金庫機能を持たせ、東側のスロープを
上っていくと駐車場があり、その奥にコミュニティホールが配置されています。
この建物の西側隣地は屋外駐車場となっているのですが、そこから見る立面が
あまり美しくないのが残念でした。。 '13.3.9
1978 京都信用金庫嵯峨支店
Kyoto Shinkin Bank Saga Branch
京都府京都市
京都市西部につくられた京都信用金庫の支店である。
すぐ東隣りに神社の鳥居があり、白を基調とした建物と赤の鳥居のコントラストが美しいです。
京都信用金庫シリーズのパターンであるアンブレラ・ストラクチュアと、
そこにつながった箱形という構成になっています。
1970年代から80年代につくられた信用金庫シリーズは、一見すると同じみたいですが、
サッシュ枠や柱間隔など、それぞれに違いがあって、見比べてみると面白いです。 '13.3.14
1979 田部美術館
Tanabe Museum
島根県松江市
松江に21代も続いた田部家伝来の茶道具を中心とした美術館である。
この建物の大屋根にもコルテン鋼が使われている。
和風な建物に仕上がっているのは施主の希望によるものらしいが、
とても落ち着いた雰囲気に仕上がっていてすごく気に入った。
栃木県自治研修所
栃木県宇都宮市
栃木県の県庁近くにある研修所である。
斜面地をそのまま利用して建てられた施設であり、基本は四角い箱型の建物ですが、
エントランス部分の傾斜した屋根がちょっとインパクトをつけています。
このエントランスの内部は吹き抜けの空間になっていて、同年竣工の「田部美術館」の
ホールにも通じるものを感じました。
色彩も基本は白で統一されていますが、サッシュが緑色でアクセントになっていました。
大きな樋(とい)のような屋上にあるデザインがちょっとした工夫を感じました。
すごくアクセスしにくい奥まったところにあるのですが、
大切に使われているという印象を受ける建物でした。 '02.7.4
京都信用金庫北山科支店
Kyoto Shinkin Bank
Kita Yamashina Branch
京都府京都市
京都市の東部、山科区につくられた信用金庫の支店である。
山科駅から少し離れた住宅が密集するエリアにつくられています。
南側の道路を除いて三方が建物に囲まれており、正面ファサードしか見えません。
建物は道路からセットバックして駐車場とし、奥にアンブレラ・ストラクチュア、
さらにその奥に箱形(と思われる)がつながっています。
アンブレラ・ストラクチュアは住宅地においても目立ち過ぎず、
うまく溶け込んでいると思います。 '13.4.2
1980 京都信用金庫西山科支店
Kyoto Shinkin Bank
Nishi Yamashina Branch
京都府京都市
京都市の東部、周囲に田んぼなどが残るのどかな場所につくられた信用金庫である。
建物は道路からセットバックして駐車場を設け、本体建物はアンブレラ・ストラクチュアが
ここでも採用されています。そして、本体建物の側面をスロープで抜けると、
裏側に箱形のコミュニティホールが設けられています。
地域の人々が利用できる集会所的な機能を持たせていることは、
信用金庫のあり方として素晴らしいと思います。 '13.3.5
京都信用金庫洛西支店
Kyoto Shinkin Bank
Rakusai Branch
京都府京都市
洛西ニュータウン内につくられた信用金庫の支店である。
スーパーや郵便局などが集積したエリアに建っており、計画的に整備されたことが分かります。
アンブレラ・ストラクチュアによるお馴染みの形態をしていますが、
道路側からはスパッと切り取られて断面が見えているような立面になっています。
土曜日に見学に行ったのですが、歩いている人がほとんどご老人で、
ニュータウンの高齢化を目の当たりにしたような気がしました。。 '13.4.30
1981 セゾン現代美術館
Sezon Museum of Modern Art
長野県北佐久郡軽井沢町
軽井沢に多く存在する美術館のうちの一つである。
東京、品川から移転された美術館である。
収蔵品もかなり良い作品があり、みどころは軽井沢で最もあるんじゃないだろうか。
周りの環境とよく調和した建物はとても良かったが、
現代美術だからなのかよくわからないが建物にアプローチする時の橋が
鉄板なのはいただけないと思った。'99.8.21
京都信用金庫岩倉支店
Kyoto Shinkin Bank
Iwakura Branch

京都府京都市
京都市北部の変形交差点に面した三角形敷地に建てられた信用金庫の支店である。
村野藤吾さん設計の京都宝ヶ池プリンスホテルや大谷幸夫さん設計の京都国際会館が
すぐ近くにあります。
アンブレラ・ストラクチュアに箱形がくっついたような形態は嵯峨支店と似ています。
1970年代から続く信用金庫シリーズのアンブレラ・ストラクチュアは、この作品以降
おそらく使われておらず、パネル仕上げでデザインはそれぞれ違うものへと移行していきました。
そういう意味では記念すべき作品かもしれません。 '13.3.20
1982 出雲大社神枯殿 島根県大社町
日本建築学会賞を受賞し、一躍彼をメジャーにした庁の社のある
出雲大社内につくられた宝物館である。
屋根にリボンをつけたような外観を見たときはイマイチ?と思いましたが、重厚な外壁、
うねるような曲線の内部空間やスロープがよかったです。
特に1階の天井がぼこぼことしていたのが注意を引きました。 '01.8.31
京都信用金庫物集女支店
Kyoto Shinkin Bank
Mozume Branch

京都府京都市
京都市の西部、国道9号に面して建つ信用金庫の支店である。
台形の敷地に建っており、鋭角な三角形と長方形の組み合わせによる平面構成と
なっており、2階部分に直方体が貫入しているのがデザインのアクセントとなっています。
国道から見ると壁面が長く続いているので、かなり大きな建物だと思って近づいてみると、
「京都信用金庫」と書かれた北側部分の一部は建物ではなくハリボテの看板でした。。
'13.2.16
熊本県伝統工芸館
Kumamoto Prefectural
Traditional Crafts Center
熊本県熊本市
熊本城のすぐ近くにつくられた熊本県の伝統工芸の展示や販売などを行う施設である。
城の近くだけあって緑の多い閑静な場所に佇んでいます。
菊竹さん設計の建物にしては珍しい打ち込みタイルの外壁となっていて、
アプローチなども含めて菊竹建築というよりは前川國男さん設計の建築のようです。
周囲の緑に合うデザインを考慮してタイルにしたのでしょうか。 '13.2.27
1983 京都信用金庫大津支店
Kyoto Shinkin Bank
Otsu Branch

滋賀県大津市
滋賀県浜大津の細長い敷地につくられた信用金庫の支店である。
元々は滋賀支店という名称で滋賀エリアの拠点施設としてつくられたのですが、
現在は大津支店に変わっていて、滋賀支店はもう少し東に行った場所につくられています。
1980年代の京都信用金庫シリーズの特徴であるアルミパネルの外壁がここでも使われています。
北端に設けられた階段室と本体建物を最上階でつないで、その下をパブリックスペースに
するというダイナミックなデザインとなっています。
建物周りやアプローチなども丁寧に設計されている印象を受けました。 '13.4.14
(追記)2020年に営業を終了し解体されました。
そこそこ近い距離にあった「西武大津ショッピングセンター」の解体は
かなり話題になったのですが、こちらはひっそりと解体されてしまいました。 '22.1.15
1985 境港マリーナホテル
Sakaiminato Marina Hotel
鳥取県境港市
境港の海沿いにあるホテルである。円柱に船を上にのっけたようなすごい外観である。
最近改装したらしいのだが、壁がところどころ金色になっていて趣味が悪かった。
中は船の部分はどうやら展望レストランなどがあるようである。
そしてエントランスをぶらぶら歩いていると奥の方に檻があり、猿(太郎ちゃん)を飼っている。
ホテルという衛生に最も注意を払わなければならないところになぜ猿が。。。
しかしこのホテルって何しに来た人が泊まるのだろうか? 釣りかなあ。。 '00.1.12
1986 弘前市社会福祉センター
青森県弘前市
市の北部につくられたコミュニティセンターである。
2層吹き抜けのアトリウムがとても特徴的で、美しい内部空間を作り出しています。
外観の形態は岩木山をモデルにした滑らかな稜線を思わせるものになっていて
良いデザインだと思いました。80年代の菊竹作品ではこの作品が気に入ってます。
入口が表裏のどちらにもあるのですが、裏側はすごくシンプルでした。。 '02.10.9
京都信用金庫三条支店
Kyoto Shinkin Bank
Sanjo Branch
京都府京都市
京都市の中心部、三条通に面してつくられた信用金庫の支店である。
京都のまちなみに配慮してか「アンブレラ・ストラクチュア」は採用されておらず、
家型の形態となっており、住宅スケールの建物というイメージになっています。
京都信用金庫シリーズで多用されている柱状のサインも煙突のように見えます。
見学に行くとなぜかサインから「三条」も文字が消えていたのが気になりました。
'13.2.8
1987 銀座テアトルビル
Ginza Theatre Building
東京都中央区
首都高沿いの敷地に建つ劇場、映画館、ホテルなどが入った白亜の建物である。
エントランス部分に並ぶ2本の柱がインパクト強く、威厳を感じさせます。
ホテルの客室部分の造詣が非常に彫刻的で力強くかっこよいです。
僕はずいぶん昔からある建築という気がしていたのですが、実は1980年代後半の
建物だと知ってちょっとびっくりしました。
あと、「テアトル(Theatre)」ってシアターのフランス語だったんですね。
今までまったく気づきませんでした。 '04.6.22
(追記)2013年5月で営業を終了していたようですが、2014年に解体されてしまいました。。
'15.2.26
豊島区立千登世橋
教育文化センター
Cultural Center, Toshima
東京都豊島区
地下鉄雑司が谷駅と直結した区の複合施設である。
駅を出ると建物の中央にある中庭に出るという公共施設としてはものすごく便利な
アクセスとなっています。
箱形の建物が敷地いっぱいに建っていますが、角を面取りしているので、
柔らかい印象の外観となっています。
ちなみに屋根は膜屋根となっているそうですが、下からは全然見えませんでした。
内部は、地下と1階が「雑司が谷地域文化創造館」という名称の会議室やホールなどが
入った施設となっており、3・4階は中庭を挟んでプールと体育館が配置されています。
'13.1.24
1988 川崎市市民ミュージアム
Kawasaki City Museum
神奈川県川崎市
等々力緑地内につくられた美術館である。
緑地内にあるだけあって緑に囲まれた良好な環境のなかに建っています。
吹き抜けの大空間のホールを囲むように展示施設などが配置されており、
ホールはガラスのカーテンウォールによって明るい空間となっています。
外壁はアールを多用しており、仕上のタイルも落ち着いた色調となっているのに
どうもロボット建築のように見えてしまうのはなぜかと思って見学していると、
塔屋とチタン屋根のドームという建物本体に加えて、前庭に「トーマス転炉」という
近代産業遺産がモニュメントとして置かれているからだと気付きました。 '13.2.12
福岡市庁舎
Fukuoka City Hall
福岡県福岡市
福岡市の中心部、天神エリアにつくられた市役所庁舎である。
東側に天神中央公園やアクロス福岡、西側にイムズやパルコ、ビブレなどがあります。
敷地東側に建物を寄せ、西側は広場として開放し、イベントなどに使われています。
建物は行政棟(南側)と議会棟(北側)を一体にした高層建物となっており、
建設は議会棟を第一期、行政棟を第二期として段階的に整備しています。
単純な直方体に見えますが、南北の端部が少し広がった平面となっていて、
エントランスの庇もそれを模した(?)形態をしていました。 '13.3.4
1989 富山市立篁牛人記念美術館
Memorial Art Gallery of
Gyujin Takamura
富山県富山市
富山市民俗民芸村の中につくられた小さな美術館である。
篁牛人(たかむらぎゅうじん)とは、富山市出身の水墨画家のことです。
坂道の途中にあり、道路に寄り添うように細長い建物が建っています。
建物は、細長い本館とそれに廊下とデッキでつながる収蔵庫で構成されており、
本館は中央に螺旋階段を設け、1、2階に展示室を配置しています。
本館には大きな開口部が設けられており、中庭を望むことができるようになっています。
'13.4.16
1990 赤坂レジデンシャルオフィス
アンフィニ

Akasaka Residential Office
INFINI
東京都港区
赤坂につくられた住居とオフィスが一体となった賃貸施設である。
いわゆるSOHO的な利用を考えた施設ですが、1990年の時点で既に実践した
建物が存在していることに驚きました。
ライムストン貼りのアール部分とコンクリートはつり仕上げの直方体部分が合わさった
建物となっており、隙間を光庭として地下部分にまで光が届くように設計されています。
'13.2.24
1991 奈良公園館
奈良県奈良市
1988年に開催された「ならシルクロード博覧会」を記念してつくられた施設である。
シルク博のパビリオンの一部を再現した展示コーナーや、シルク博当時の模様がわかる
パネル展示などから構成されています。
建物は奈良公園の景観に配慮したと思われる大屋根の建物で、
斜面をそのまま利用した設計になっています。
ガラス張りの展示空間になっているため外からでも展示内容が見えています。
'03.2.15
海老名サービスエリア
Ebina Service Area
神奈川県海老名市
東名高速道路のサービスエリアである。
白に黒でスリットを入れた直方体の箱をトンネルのようにドーム状にくりぬき、
そこをエントランスとして設計しています。
ダイナミックなデザインは初期の菊竹建築をややイメージさせますが、
荒々しさというよりは洗練されたデザインという印象が強かったです。
サービスエリアといえば、まずいレストランというイメージがありますが
ここは吉野家や焼きたてのパン屋など、魅力のある店がたくさんあり、いつも賑わってます。
ちなみに縦型の写真は夜に撮影したものです。 '02.10.23
高崎市営住宅・
東貝沢天水団地
Takasaki Terrace House
群馬県高崎市
高崎市東部につくられた市営住宅である。
11棟の低層住棟(総戸数110戸)と集会所で構成されており、住棟は1階がワンフロア、
2・3階がメゾネットのプランになっています。
外観を特徴付けているのが2階レベルに設けられた連続する共用のオープンデッキで、
そこから2階の住戸はアクセスするようになっています。
オープンデッキへと導く屋外階段の見せ方もよくて、思わず上ってみたくなる階段でした(笑)
'13.3.11
1992 東京都江戸東京博物館
Edo-Tokyo Museum
東京都墨田区
江戸・東京の伝統・文化の保存・継承を目指した博物館。
建物基壇部分は18,800uのだだっ広いオープンスペースとなっていて
エスカレーターによりアクセスする。
高さはかつての江戸城天守閣に合わせた約62mだそうだ。
あまりに広い建物のため一日かかっても見終わらないほどの展示があった。
しかし、冬にあのオープンスペースに行ったら寒いだろうなあ、と思った。'99.8.21
早稲田大学
戸山キャンパス図書棟

Waseda University
Toyama Library
東京都新宿区
早稲田大学戸山キャンパスにつくられた図書館である。
菊竹さんは早稲田大学出身なので、母校の建物を設計をしたということになります。
早稲田の学生さんのための図書館なので、内部には入ることが出来ませんが、
入口前にガラス屋根を掛けた広いオープンスペースを設けていて、
そこには行くことができます。しかもすごく快適な場所になっていました。
空中通路も設けてあってデザイン的にもかなり好きです。 '13.4.7
大分県
マリンカルチャーセンター
Oita Marine Culture Center
大分県佐伯市
大分県南東部の湾岸につくられた海洋博物館、プラネタリウム、海水プール、宿泊施設などが
入った県の複合施設である。
230mもの長さを持つ細長く巨大な平面で、そこに曲面の大屋根がかかっています。
1、2階に博物館やレストラン、体育館などが配置されており、3、4階が宿泊施設となっています。
本体建物は白を基調とした外観となっていますが、そのすぐ横に小さなピンク色の建物があり、
それが不思議な形態をしていてコミカルです。
見学に行ったときは外壁改修をしていて、一部がシートで囲われていたのが残念でした。。
'13.4.12
1993 京都信用金庫本店
Kyoto Shinkin Bank
Head Office

京都府京都市
京都市の中心部、河原町につくられた信用金庫の本店である。
菊竹さんが設計した支店群のスケール感からは想像できない大型建物です。
まあ本店だから当たり前かもしれませんが。。
外壁に御影石を使った重厚感のある外観となっています。
アーケードに面しているので見えにくいですが、少し離れて見ると、
曲面のガラスが並んでいるのが分かります。ただ、このデザインの意味がよく分かりません。。
'13.4.9
1994 ホテルCOSIMA
Hotel COSIMA
東京都台東区
公開空地を設けた総合設計制度を導入しているため、
容積率の緩和がされているホテルである。
しかし、上野につくったのはかなりいけていない!
不忍池から景色を眺めるとあれだけが高くそびえていて景観をかなり悪くしている。
ちょっと腹が立った。'99.8.20
(追加)ホテルCOSIMAはソフィテル東京へと変わって営業していましたが、
2006年12月19日で営業を終了したそうです。しかも近々解体されてしまうそうです。。
'06.12.30
(追加2)解体されて跡形もなくなってます。。 '08.6.19
ネットワークリゾートなんせい
センターハウス

Network Resort Nansei
三重県南勢町
伊勢志摩国立公園内につくられた会員制の帆船クラブのセンターハウスである。
五ヶ所湾という良港の中につくられ、海と山に囲まれたすばらしいところにあり、
センターハウスも海際に建っています。
センターハウス内はジャグジーやレストランなどから構成されています。
建物は膜構造によって作られていて、海に面した壁面は全てガラスになっており、
海を臨むことが出来るようになっていました。 '03.4.9
久留米市庁舎
Kurume City Hall
福岡県久留米市
久留米市の中心部につくられた市役所庁舎である。
久留米市は菊竹さんの出身地であり、数多くの菊竹建築があります。
高さ91m、地下2階、地上20階の高層建築であり、最上階には展望室もあります。
これほど高層な建物は久留米市内どころかはるか遠くまでないため、
ものすごく目立ってます。ランドマークとしてはベストですが。。
低層部の波打つ屋根などは凝ったデザインになっていました。
だだっ広い何もないロビー空間は菊竹さんらしいですね〜。
「東京都江戸東京博物館」を思い出しました。 '06.2.14
1997 北谷稲荷神社・第7共同ビル
Kitaya Inari Shrine
東京都渋谷区
国立代々木競技場の近くに建てられた神社と事務所ビルの複合施設である。
南北両側から階段で道路面より高いレベルの広場にアプローチするようになっており、
広場を挟んで低層の神社と高層の事務所ビルが向かい合う配置となっています。
RC打放しの外壁や入口のデザインなど、神社とは思えない現代建築となっており、
神社好きの人々にも変わった神社として有名な場所のようです。 '13.3.8
ピッコロチェドーロ
Piccolo Cedro
東京都世田谷区
代田橋の駅を出てすぐの好立地に建てられた共同住宅である。
横ストライプが水平性を強調したデザインとなっています。
デザイナーズマンションを菊竹さんが設計するというイメージがなかったので意外でした。
しかもこの時期の菊竹建築は大型なものが多かったので、小さな建物なのも意外でした。
ピッコロチェドーロってどういう意味なのか調べてみたんですが、
イタリア語で「小さなスギ」のようです。なぜこの名称になったのでしょうか。 '13.5.8
1998 北九州メディアドーム
Kitakyushu Media Dome
福岡県北九州市
小倉駅から少し離れた場所にある全天候型ドームである。
小倉競輪場を建て替えたため、通常のスタジアム機能に加え、
競輪場の機能も持った面白い施設になっています。
エントランスのある南側の屋根はくちばしのように尖っていて、
その大屋根を支える柱は曲線を描いています。
屋根のデザインは競輪のヘルメットをモチーフにしているそうですが、
グーグルマップなどの航空写真で見ると、まさにヘルメット!というデザインなのが
よくわかります。
なぜ「メディアドーム」なんだろうと思ったのですが、当初はマルチメディアが
体験できる科学館が併設されていたそうです。 '13.3.28
1999 島根県立美術館
Shimane Art Museum
島根県松江市
宍道湖のほとりにたつ出来たばかりの県立美術館である。
うすっぺらい建物の形状は、景観を意識したものであろうか。
とても親水性のある美術館である。
ガラス張りのエントランスホールから宍道湖のすばらしい景色が臨める。
水をテーマにした絵画を収蔵している。
建物の屋根が丸くあいている部分がテラスになっていてそこからも湖が見られる。
そこにはゴリラとカバの銅像があり子どもがのって遊んだり出来るようになっている。
(もちろん僕ものって遊んだ) '99.9.1
昭和館
National Showa Memorial Museum
東京都千代田区
牛ヶ淵に面した九段会館の駐車場だった場所に建てられた戦中・戦後の歴史的資料などを
保存、展示するための施設である。
資料を保存し外部からの影響を排除するため、壁面には開口部がほとんどなく、
耐久性の高いチタン材によって覆われています。
開口部のない巨大な建物は遠くから見ると建物であることが分かりにくい気がしますが、
曲面を使っているため柔らかさを感じさせます。
ここも東京都江戸東京博物館と同様に2階をオープンな広場としているのですが、
江戸東京博物館よりも建物が持ちあげられていることが分かりにくいので
ダイナミックさには欠けます。 '09.11.14
2000 吉野ヶ里歴史公園センター
Yoshinogari Historical Park Center
佐賀県吉野ヶ里町
吉野ヶ里遺跡の保存や発掘物の展示などを目的とした国営公園の東口エントランスに
つくられた施設である。
駐車場からエントランスへと向かうと、分かりやすいゲート状の大屋根があり、
大屋根の左右にレストランや展示室などが設けられています。
来園者は2階部分にアクセスするようになっており、1階部分は管理部門となっています。
周囲の山の稜線などを意識した流線型の大屋根が優しく包みこむ形態は
公園の施設としてふさわしいものと思われました。 '13.2.18
2003 九州国立博物館
Kyushu National Museum

福岡県太宰府市
太宰府市につくられた日本で4番目の国立博物館である。
山の稜線を思わせる曲線を描く巨大なガラスの外観は圧巻です。
内部は入れ子状になった展示空間をエスカレーターに乗って上へと昇っていきながら
見学するという構成になっています。
入口周りに連続して並ぶ斜めの柱の色が青色なんですが、どうも安っぽくて嫌でした。
もうちょっと深みのある色にしてほしかった。。 '11.2.11
2005 愛・地球博
グローバル・ループ

愛知県長久手町
万博会場内を移動するための空中歩廊であり、グローバルコモンや企業パビリオンなどを
結びつけている1周2.6kmのループである。
会場は起伏のある土地なので、造成を行うことなく平坦な通路を歩くことができるように
空中歩廊が考えられています。
構造体である柱は脚部を花束のようにいくつかの柱をまとめた形で支持しています。
通路を持ち上げて平坦にするというアイデアは見た目も軽やかですごく良かったと思うんですが、
夏場にここを歩いていると日を遮るものがほとんどなくて暑くてたまらなかったです。
端部にはちょっとしたベンチと日除けがあったんですが、日除けが小さすぎて
あまり役には立ってませんでした。 '05.8.6
愛・地球博 カナダ館 愛知県長久手町
グローバルコモン2にあり、グローバルループからよく見えるパビリオンです。
建物正面に設置された巨大な赤いメイプルリーフのオブジェがインパクトあります。
館内は中央に円形の大空間を設け、メッシュ状のスクリーンを配置しています。
メッシュにすることでスクリーン向こうの展示室などが透けて見えるようになっています。
ただ、僕が訪れた時はすごく並んでいて待ち時間が長かったので、残念ながら
入るのを断念しました。。 '05.8.17
(追記)万博期間終了後解体されました。 '05.10.25
愛・地球博 アイルランド館
愛知県長久手町
グローバルコモン4にある外国パビリオンである。
ファサードの設計は、アイルランドの国家シンボルであるハープをモチーフとしており、
ルーバー状になった壁面に描かれた雲は見る角度によって表情を変えるように設計されています。
内部は大きなドーム状になっていて、アイルランド各地に点在するハイクロスのレプリカが
6体展示されています。また、天井のドームはアイルランドの空を映像で表現していて、
晴れや曇り、雨、日の出や夜など変化するようになっています。
ハイクロスがレプリカだと知ってたいしたものじゃないと思って見ていたんですが、
100年前に制作されたものでこれまで国外で展示されたことがないと聞いて、
ちょっとすごいものなんかなあ、と思いました。。
それと、建築と関係ないですが、入口に三つ葉のクローバーをモチーフにしたマスコット
「シャムロックちゃん」が置いてあります。かわいいけどフィリピン館の「コーコー」のゆるさには
かなわなかったです(笑)。 '05.8.17
(追記)万博期間終了後解体されました。 '05.10.25


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