栃木の建築
Tochigi Architecture


作品 データ
1929 旧イタリア大使館夏季別荘
アントニン・レーモンド 栃木県日光市
日光の中禅寺湖畔にたてられたイタリア大使館の別荘である。
イタリア側から売却の話が持ち出され、住民から県が買い取るべきだとの意見を受けて
栃木県が売却し、改修を行って、現在は一般に公開されています。
名建築を県が買い取り保存するという姿勢に公のあり方を見たような気がします。
竣工から70年ほど経っていたためかなり傷んでいたらしい
(かなり建物自体が湖のほうに傾いていた)のですが、今は見違えるようなすばらしさです。
外装及び内装に使われていた杉皮張りも張り替えられてとても美しいです。
ただ予算の関係で二階の内装は杉皮にはできなかったそうです。
環境を守るために車で近づくことはできないですが、中禅寺湖を眺めながら散策して
ここまで歩いていくのはとても快適なのでお薦めです。 '02.10.23
1969 栃木県議会棟庁舎
大高正人/大高建築設計事務所 栃木県宇都宮市
メタボリズム・グループのひとりである大高さんの代表作のひとつである。
建物は、1階部分がピロティになっていて、2〜3階部分は吹き抜けの玄関ホールを囲むように
中央の議場と事務室が独立して配置されています。
構造がそのまま表れた外観となっていて、十字型柱と大梁による現場打ちの構造体と
プレキャストによる大梁の上下に取り付くサブの構造体から構成されています。
十字柱により持ち上げられた建物が力強くて魅力のあるかっこいい建物です。
聞いた話によると雨漏りがひどくて使い勝手という点では大変だということらしいです。
ところで、栃木県は現在、庁舎等の建て替えを行っており、保存運動により佐藤功一設計の県庁舎の一部が
移築保存されることとなりましたが、この議会棟は解体されることになっています。
(もしかしたら既に解体済みかもしれません。。ご存じの方情報お願いします。) '04.10.31
(追記)解体されてしまったことを確認しました。跡地は公園(広場?)になるみたいです。。 '07.10.2
1972 栃木県立美術館
川崎清+環境・建築研究所 栃木県宇都宮市
宇都宮市につくられた日本における公立の近現代美術館の先駆けとなった施設です。
1972年に竣工後、1981年に常設展示場が増築されています。
ガラスのカーテンウォールによる高層の事務棟と低層の展示棟から構成されていて
建物周りには屋外展示空間も設けられていて、ゆったりとした快適な場所です。
建物は敷地内にあった大きなすずかけの木を効果的に演出するよう計画されており、
高層棟はガラスにすずかけが映ることを意識して設計されているそうです。
川崎さんの代表作ともいえる美術館建築といえば、ここと「国立国際美術館」だったのですが、
国際美術館は取り壊されてしまっており、もうここしか見ることは出来ないので貴重な建物です。
ちなみに映画「デスノート」でロケ地に使われてました。外観と外部空間だけですけど。。
'06.10.27
1979 栃木県自治研修所
菊竹清訓建築設計事務所 栃木県宇都宮市
栃木県の県庁近くにある研修所である。
斜面地をそのまま利用して建てられた施設であり、基本は四角い箱型の建物ですが、
エントランス部分の傾斜した屋根がちょっとインパクトをつけています。
このエントランスの内部は吹き抜けの空間になっていて、同年竣工の「田部美術館」の
ホールにも通じるものを感じました。
色彩も基本は白で統一されていますが、サッシュが緑色でアクセントになっていました。
大きな樋(とい)のような屋上にあるデザインがちょっとした工夫を感じました。
すごくアクセスしにくい奥まったところにあるのですが、
大切に使われているという印象を受ける建物でした。 '02.7.4
1984 TOKYO AUTO
Team ZOO アトリエ・モビル 栃木県上三川町
栃木県の干瓢畑を横切るバイパス道に面してつくられた中古車展示場である。
道路に面して東西に長い形をしていて、波打つような銀の屋根形状は特徴的です。
この屋根は道路側に張り出していて、建物前面に長いコロネードをつくりだしています。
また、大屋根を支える柱は柱頭部で枝束になっていて樹木のような形態を見せていました。
詳細のデザインも面白く、コロネード柱頭がワシになっていたり
遊び心が多く盛り込まれていました。 '05.9.28
1986 二期倶楽部
渡辺明設計事務所 栃木県那須町
那須高原につくられた客室数の少ない高級ホテルである。
緩やかな勾配を持つ瓦葺の大屋根と大谷石で覆われた外壁が特徴的です。
そして水面を多用することによって落ち着きのある空間を作り出しています。
その他にも広い敷地内を散策して、自然を楽しむこともできるようになっています。
元々は宿泊棟とラウンジのみだったようですが、その後レストラン棟などの
増築が行われています。
トップライトのあるコリドーを通ると荘厳な雰囲気を味わうことができました。 '02.9.10
1995 石橋町立石橋中学校
黒川紀章建築都市設計事務所 栃木県石橋町
グリムの町として有名な石橋町につくられた中学校校舎である。
広々とした敷地にゆったりとそれぞれの校舎が配置されています。
最も特徴的なのが教室棟2棟を並列に並べ、その間に木造のトラス屋根をかけているデザインです。
屋根と空中通路のかかった中庭が美しかったです。
三角や四角といった形に開口部を切り抜く手法はこれまでの作品でもみられたのですが、
月型に切り抜いてあったのは初めてでした。なかなかかわいいです。 '02.5.20
システムソリューションセンターとちぎ
SSCT
アーキテクトファイブ 栃木県高根沢町
Architect 5 Partnership/Tochigi
次世代のテクノパークとして整備された「情報の森とちぎ」の核となる建物であり、
パソコンとその関連機器とのネットワークなどのテスティング事業を行う施設である。
地形を損なうことのないよう、高さを抑えた水平に長い建物である。
駐車場や機械室を半地下のピロティに収めることによって、建物に浮遊感を与えることに成功しています。
1階が無柱空間のオフィスになっていて、2階は波打つ屋根を持つレストランになっています。
屋根につくられた木のデッキへは、2階からだけでなくブリッジからもアプローチできるようになっていて、
このブリッジはデザイン的にも良いアクセントになっていました。
僕が見に行ったときは周りにはまだ何も建っていなくて、自然の中にぽつんとこの建物がありました。
今はどうかわからないですが、当時はここで働く人はちょっと寂しいだろうなあ、なんて思いながら
見学していました。 '04.3.2
1996 メルパルク日光霧降
ヴェンチューリ,スコット・ブラウン・アンド・アソシエイツ、
丸ノ内建築事務所、清和設備設計、千代田コンサルタント
栃木県日光市
日光の中心部から北に走る霧降高原道路沿いにつくられた郵便貯金(ゆうちょ)の施設です。
宿泊棟とスパ棟を少し離れた場所に配置しています。
建物自体はそれほどインパクトのあるものではないのですが、
そこに取り付けられた装飾がこれまで見たこともない建築をつくり出しています。
連続する垂木を外壁に付けてみたり、花や提灯、ポストなどのパネルを付けたり
電柱のパネルを通りに沿った柱に貼り付けて電線のようにヒモでつないだり、
庇に連子格子を付けてみたりと、「ジャポニズム」的要素を外国人建築家が
無理矢理持ち込んだような何とも言えない建築となっています。
ただ、これがロバート・ヴェンチューリによるものだと考えると、
深い意味を持った設計なのだろうとは推測されますが、理解は・・・です(笑)
でも思い切った面白い空間であることは確かだと思います。
外壁が元々は薄黄色をしてたと思うのですが、見学時にはくすんだ灰色になっていました。
その日は曇天の空だったので建物全体が灰色を増していて寂しげに見えました。。 '06.12.21
2000 作新学院大学
隈研吾建築都市設計事務所 栃木県宇都宮市
Kengo Kuma & Associates/Tochigi
宇都宮市郊外にある大学である。
元々あった大学に新たな学部をつくったためキャンパスを増やすことになり、
その設計を隈氏がおこなっています。
明らかに新校舎と旧校舎の違いが分かりすぎて旧校舎がかわいそうな感じです。
芝生や水の使い方がすごく良くて気持ちよかったです。
学生会館以外の校舎は、プランは普通の校舎だと思うのですが、
ガラスのデザインなどの工夫によってうまく見せることに成功していました。 '02.5.31
那須歴史探訪館
隈研吾建築都市設計事務所 栃木県那須町
Kengo Kuma & Associates/Tochigi
那須町の歴史を道をテーマに探訪することが出来る施設である。
すぐ近くには同じ設計者による「石の博物館」もあり、徒歩で行くことが出来ます。
周りの竹林などとの一体感を考え、ほぼ全面ガラス張りになっていて
藁(わら)からつくった半透明のスクリーンを窓の内側と天井に張り付けています。
エントランスにつくられた門は江戸時代の旗本・芦野氏の裏門の複製だそうです。
最近の隈さんの作品にみられる「わら」や「石」、「和紙」などの素材を活かした設計は
とてもすばらしくて魅力的です。 '03.8.26
馬頭町広重美術館
隈研吾建築都市設計事務所 栃木県馬頭町
第14回(2001年)村野藤吾賞
Kengo Kuma & Associates/Tochigi
安藤広重の肉筆画50点を含む作品を展示するための美術館である。
切妻屋根で細長い平屋の建物になっています。
驚きなのは屋根、壁といった外装が全て杉のルーバーから出来ており、
ルーバーは不燃及び防腐処理がなされています。
内部の烏山和紙や床に敷かれた芦屋石といった地元の素材も利用しています。
そして庭に植えられた竹がすごく建物にマッチいました。
全体的に「和」がうまく建物及び周辺空間に貫かれていてすばらしい場所でした。
僕の撮った写真ではすばらしさが全然伝わらないのが残念です。。
'03.1.30
2001 栃木県なかがわ水遊園
おもしろ魚館

古市徹雄都市建築研究所・佐藤総合計画 
栃木県湯津上村
栃木県ののどかな田園地帯につくられた水族館及び生涯学習施設である。
付近を流れる川から水を引き込み大きな池をつくって、その上に建物を配置しています。
十二面体のドームなど、建物全体にガラスが多用されており、
親水性を意識した設計になっていました。
最近いくつかの古市さんの建築を見ましたが、この建物はいつもと比べて
まとまったデザインに仕上がっていると思いました。
訪れたときは整理券も発行されるほどの大盛況でしたが、現在はどうなのでしょうか。
'02.10.2
GAMO OYAMA
鈴木エドワード建築設計事務所 栃木県小山市
Edward Suzuki Associates/Tochigi
小山市につくられた理美容関係のショップ及びオフィスである。
この会社の東京や宮城の建物も鈴木氏が設計しています。
1階が講習会や撮影などが可能なスタジオやオフィス、2階がショップになっています。
紺色のガルバリウムの外壁で覆われたシンプルな箱形の建物で、
建物周囲には緩衝帯としてポリカーボネイト折板と竹を巡らせています。
内部は中央に中庭を配し、中庭を囲むようにコの字に部屋を設けて開放的な空間としています。
エントランスの手すりが竹になっていたりと和を採り入れた設計になっていました。 '05.9.20
2002 フォレスト益子
内藤廣建築設計事務所 栃木県益子町
益子焼で有名な陶器の町にある自然公園「益子の森」の中につくられた施設である。
レストラン、情報センター、研修室、10室の宿泊施設から構成されています。
二つの平屋の建物が半月状に平行に並んだプランになっていて、
建物間は益子焼の陶板を敷き詰めた通路になっています。
ガラス屋根のアーケードが光を受けて、木の建物に落とす影がすごく美しく、
気持ちのよい空間になっていました。
レストランは有名なフランス料理だそうで、次回訪れた時は食べてみたいものです。
宿泊料金も安いのでお勧めです。 '03.12.9
2004 葛生傳承館
芦原太郎建築事務所 栃木県佐野市
佐野市(旧葛生町)につくられた伝統芸能を展示し伝承していくための施設です。
葛生の牧地区には江戸時代から伝わる「牧歌舞伎」という芸能があったのですが、
後継者不足などにより1971年から上演されていなかったそうです。
しかし、その後文化伝承の意欲が高まって、近年再び上演されるようになってきており、
この施設でそれら地域の文化を資料等により展示しています。
建物は平屋で切妻屋根のシンプルなもので、壁は漆喰で仕上げています。
建物西側の軒下にはベンチを設け、外部の憩いの空間もつくり出していました。
内部は一つの大きな空間にボックス状にスペースを設け、展示空間としています。
ここに来るまで牧歌舞伎というものは存在すら知らなかったので勉強になりました。
僕以外に来館者は全くいませんでしたが。。 '06.11.12
2006 ちょっ蔵広場
Chokkura Plaza
隈研吾建築都市設計事務所 栃木県高根沢町
Kengo Kuma & Associates/Tochigi
宇都宮から程近い町、高根沢の駅前につくられた施設(広場?)である。
広場を挟んでちょっ蔵ホールと名付けられた建物と、多目的展示場の
二つの建物を設計しており、ホールは元々あった古い米蔵を曳屋し改修しています。
どちらも外観が特徴的で、くの字型の大谷石を積み上げた壁(近づくと鉄板の上に
石を乗せているので鉄骨造だとわかりますが)になっていて
建物内部の天井も壁に呼応するようなデザインとしています。
この壁によってできる菱形のすきまから差しこむ光が内部につくり出す景色は
幻想的で美しいものでした。
ちなみに新たな駅舎が出来た際にはこの広場側に駅出入口が出来るようですが、
まだ旧駅舎なので駅からアプローチできず、広場周りは再開発の途中といった感じで
殺伐とした風景の中、寂しげにこの建物は立っていました。。 '06.9.30
2008 宇都宮のハウス
House in Utsunomiya
西沢大良建築設計事務所 栃木県宇都宮市
Taira Nishizawa Architects/Tochigi
東京ガスが宇都宮市内の社有地に建てたSUMIKAプロジェクトのうちの一つです。
すぐ隣には同じプロジェクトによる藤本壮介さんの「House before House」が建っています。
黒い壁の上に浮かぶ白い大屋根というシンプルな外観で、隣とは対照的です。
内部はワンルームで、床面がコンクリート、ウッドデッキ、芝生と分かれています。
黒い壁はほとんど全てが開閉可能な建具となっており、開放すると内外の空間がつながり、
閉めているときとは全く違った表情を見せます。
特徴的なのが半透明の断熱材と屋根材から出来ている大屋根で、ベッドやキッチンの上などに
トップライトが設けられているのですが、この敷地の日照時間や角度を精密に計算して、
朝にベッド、昼にキッチンに光が落ちるようにつくられています。
シンプルだけど計算された空間は非常に快適だと思います。想定は夫婦二人の家って感じかな。
'09.3.17
コールハウス
Coal House
藤森照信+速水清孝 栃木県宇都宮市
Terunobu Fujimori+Kiyotaka Hayami/Tochigi
SUMIKAプロジェクトによる4棟の建物のうちの一つで、
住宅地の中につくられた丘の上にぽんと置かれたように建っています。
外壁には藤森さんが最近の設計に採り入れている焼き杉が使われており、
2階の張り出した茶室に入る外部はしごも外観を特徴付けています。
内部は、中央に3間×3間の大きな居間空間を設け、
それを取り囲むように水周りや階段などが配置されています。
居間には二股に分かれたアカマツの柱、卵形の暖炉が設けられ、
南側のみ大きく開口部をつくることで、洞窟的空間をつくり出しています。
2階は階段を上ると寝室と茶室、はしごを上ると子供部屋となっていて、
はしごは大人が上りにくい間隔としているそうです。
ちなみに建物名称はコールハースのダジャレですよね。 '09.3.22
House before House
藤本壮介建築設計事務所 栃木県宇都宮市
Sou Fujimoto Architects/Tochigi
SUMIKAプロジェクトで建設された4つの建物のうちの一つです。
すぐ横の敷地に西沢大良さんの「宇都宮のハウス」が建っています。
4つの建物で最も挑戦的な住宅で、小さな白い10個の箱を積み上げて出来上がっています。
箱から箱の移動は外部階段であったり、内部のはしごであったりしていて
内外が複雑に入り組んだ動線構造となっています。
箱の上には落葉樹が植えてあり、適度な日射の遮りや季節を感じられる
空間づくりが行われていました。
4つの建物で最も見学が大変だったのがここで、雨が降っていたため
外部階段で滑って落ちそうになるし、内部のはしごから上部の箱に抜ける
開口が小さいため、体を押し込んで上らないといけないし苦労しました(笑)
ただ、面白さも一番あったと思います。住むのは少し大変かもしれないですけど。。 '09.3.23
SUMIKAパビリオン
SUMIKA Pavilion

伊東豊雄建築設計事務所 栃木県宇都宮市
Toyo Ito & Associates, Architects/Tochigi
SUMIKAプロジェクトの中で唯一住宅でないのがこの建物で、
プロジェクトの紹介を行う情報施設及び料理体験施設となっています。
9m×9m、高さ3.3mの箱で、内部に4本の柱が立っており、
そこから樹木が枝を広げるように架構が伸びていって全体を覆うという形態になっています。
構造は六角形の幾何学模様の中で最も合理的なパターンをコンピュータ解析して
つくり出されたものだそうです。
外観を見てすぐに同じく伊東さんが設計したロンドンの
「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン」を思い出しました。 '09.3.23
宝積寺駅
Hoshakuji Station

隈研吾建築都市設計事務所 栃木県高根沢市
Kengo Kuma & Associates/Tochigi
宇都宮から2駅先にあるJRの駅舎である。
先に整備された同じく隈さん設計の「ちょっ蔵広場」が
ここの駅前広場にあり、引き続いて駅舎が完成しました。
駅舎といっても建物の多くは線路を跨いで東西をつなぐ自由通路で、
そこがデザインのミソとなっています。
自由通路の天井は合板を菱形にしたもので覆われており、
その間に蛍光灯を配置することで独特なインパクトのある空間としています。
広場から階段の上り口を見ると大きく口を開けたサメに見えます(笑) '09.9.10


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