石井和紘のページ
Kazuhiro Ishii Architecture

不思議な建物を設計する建築家の一人、石井和紘のページ。
彼の作品の中で僕が見てきたものを紹介するページです。

作品 データ
1970 直島小学校
Naoshima Elementary school
香川県直島町
石井さんの建築を語るには外せない直島建築群。
その中で一番初めにつくられたのがこの小学校である。また、石井さんの処女作としても有名です。
直島の文教地区にあり、大きなグラウンドに面して一連の施設が配置されています。
背後の山の稜線を意識した低層の建物は、一段下がったグラウンドから見るとまるで要塞のようです。
中央に玄関を設け、十字型の廊下を軸としてグラウンド側に特別教室群、山側にクラスルームを配置し、
中央に体育館と遊び場がつくられています。
小さな直島にこれらの文教施設群が建設できたのは、三菱マテリアルの銅の製錬所に支えられていた
ようで、かなりの税収があったため直島はかなり栄えていたみたいです。
残念ながら現在は三菱が経営不振に陥ってしまったため町の台所も苦しいようです。。 '05.5.23
1975 54の窓
54 Windows
神奈川県平塚市
平塚市の海に近い場所につくられた医院である。1階が診療所で2、3階が住居である。
日本に多く存在するコンクリートフレームによる均等ラーメン構造体に
鉄骨による54の窓を個別に設計して均等に並べていくという手法がとられています。
(内部も含めると合計171の窓が存在するそうです)
この作品が石井氏による「54シリーズ」の原点になっています。
建築後約30年の年月が経ってやや色あせた雰囲気もありますが、
いまだにデザインの斬新さは失われていませんでした。
残念なのは上塗りされて竣工当時ほど多種の色が見られなくなっていることでした。 '03.5.24
1979 54の屋根
岡山県建部町
建部町の田んぼに囲まれたのどかな場所につくられた幼稚園である。
「54シリーズ」の一つであり、54の屋根フレームが建物になり、また、塀の役割も果たしています。
実際屋根として機能しているフレームは少ないと思われますが、デザイン的には
なかなか面白い設計になっています。
周りが田でのんびりした風景なのに幼稚園が結構閉鎖的なのにはびっくりしました。
そして、あせたフレームはちょっと弱々しく見えて、ちょっと哀愁を感じさせる外観でした。。
'03.6.17
1980 ゲイブルビル
Gable Building
東京都港区
芝大門の大通りに面して建つテナントビルである。
一時期このビルに石井さんの事務所が入っていたこともあるそうです。
建物名称にある「ゲイブル」とは妻壁の装飾のことで、オランダに多くみられる
ダッチ・ゲイブルをこの建物に引用しています。
箱形のビルが立ち並ぶ日本の街並みに対する石井さんの反抗のようなものを感じます。
観光名所でないテナントビルに解説が書かれたサインがあるのが面白いです。 '09.1.15
1983 拾庵
Shu-An
東京都港区
赤坂につくられた石井和紘さんの自邸である。
徒歩圏内に同じく石井さんのアトリエである「スタジオ赤坂楼」があるので職住近接です。
10坪の土地に地下一階、地上3階の建物が立っており、建物名称である「拾」は
「10」坪から来てます。
外壁はRC打ち放しですが、内部は羽毛に包まれた柔らかな空間だそうです。
3階には茶室があるんですが、高いところにある茶室ってなんかいいです。
藤森照信さんの「高過庵」や「茶室 徹」を思い出しました。 '07.12.22
1984 田辺エージェンシー本社ビル
Tanabe Agency Building
東京都目黒区
多くの芸能人を抱えるプロダクションの本社ビルである。
全体のイメージは見たままの鉄骨トラスによる橋梁である。
内部にはガラスブロックで覆われた階段室があるらしいのですが、
残念ながら僕は芸能人じゃないので中には入れませんでした(笑)
つくられた当初は東側の隣地が空地であったため、側面がよく見えたのですが、
現在はビルがつくられてしまい、窮屈そうになってしまいました。
あれではせっかくの側面開口部からの採光が全くとれずに暗いんじゃないでしょうか。。 '02.1.24
直島町役場
Naoshima Town Hall
香川県直島町
瀬戸内海に浮かぶ小島、直島の町役場である。
この島の文教地区に多くの建築を彼が設計している。
400年も経つ古い町並みに調和したデザインを意図して、和風、数寄屋、飛雲閣のイメージらしい。
ファサードを見ると「なんかこの建物傾いてる?」と思うがそんなことはない(当たり前だが。。)
右側面と左側面のつくりも全然違っていて面白いがまとまりに欠ける気が。。
内部の空間は光を巧みに取り入れていて快適でよかった。  '00.4.23
1986 同世代の橋
神奈川県横浜市中区
横浜の中心部、商業地区の少し細い路地に立つ住宅である。
建物の名前の通り、同世代の建築家の設計特徴を少しずつファサードに組み込んだ
面白い建物になっています。
下から六角鬼丈、木島安史、渡辺豊和、毛綱毅曠、石井和紘、石山修武、葉祥栄、
伊東豊雄、長谷川逸子、象設計集団、安藤忠雄、高松伸、相田武文となっています。
それぞれの建築家の特徴が分かると見ていて楽しいです。
昔は道路を挟んだ向かいが駐車場だったので上までよく見えたのですが、
マンションが建ってしまい安藤さんや高松さんは下からは見えないです。。
あと一階部分は改装されていて、渡辺さんと木島さんはもうなくなってます。 '03.4.7
54の柱
埼玉県本庄市
石井さんの「54」シリーズの一つである。結婚式場の宴会場として設計されました。
彼は「54」という数字に深くこだわっていて「54」に関係する建物をいくつか設計しています。
これは名前の通り54本の柱をもつ建物として設計されています。
最近いくつかの石井建築を見てきたのですが、どうも彼の建物はできた当初は美しいのですが
時間が経つと汚く見えてしまうような気がします。。 '02.5.14
スタジオ赤坂楼
東京都港区
赤坂に建てられた設計者のオフィスである。
正面ファサードはほとんどがガラス面になっており、低層部のガレージの奥もガラス面です。
側面や屋根にはテント地が使用されており、内部の部材などの多くはサンプルを使って
つくられているそうです。
設計者自邸の「拾庵」とともに小さいながらもインパクトのある建物です。
しかし、残念ながら赤坂の再開発によって取り壊されてしまっているみたいです。
現在の石井さんの事務所は赤坂ですが違う場所に移転しています。 '08.5.9
1987 ジャイロ・ルーフ
埼玉県所沢市
駅前商店街の細い路地にある1、2階が商業施設、3階が住居の複合施設である。
瓦屋さんが施主だったために建物全体に多くの瓦が使用されており、複雑な形態になっています。
特に変わっているのが屋根で、独楽や傘のような形をいくつか重ねたようなデザインになっていて
よくこんな形に瓦を葺いたなあ、と感心してしまいました。
ファサードに用いられているなまこ壁を思わせるステンレス板も瓦と調和していて良かったです。
白黒の写真で見ていたときは、このステンレス板がカラフルな感じに見えていたのですが、
現物はなかなか落ち着いたものになっていたのは驚きでした。
中央部に階段があり、左右に建物が分かれているのですが、
この階段部が少し廃れている感じを受けたのが悲しかったです。
なんか写真で見るとメタリックでロボットみたいですが。。 '04.8.16
○□△ハウス
○□△House
東京都江東区
江東区の臨海部に建てられた集合住宅である。
角地に建っていて、道路のR状の隅切りに合わせた扇状の平面となっており、
扇の弧の部分に住戸のバルコニーが連続して並んでいます。
円弧部分の立面が緑、青とカラフルなんですが、それよりも上部に載るグレーの
円柱、円錐、四角柱が並んでいる姿の方がすごいインパクトです。
ただオブジェ的に載せているだけじゃなくて部屋としての機能があることが嬉しいです。
ここに住んでいたら、初めて来る人にも説明しやすそうですね(笑) '09.11.9
1988 吹屋国際交流ヴィラ
岡山県成羽町
「伝統的建造物保存地区」である吹屋につくられた外国人用の宿泊施設である。
銅とベンガラで栄えた町である吹屋は、ベンガラ格子と赤銅色の石州瓦というまちなみが保存されています。
その通りにあった鉄筋コンクリートの公民館が、まちなみにそぐわないということで
隠そうという計画ができ、この建物で表面を覆ってしまい、用途も宿泊施設に変えられました。
元々あった醤油屋の建物を再現することにより鉄筋コンクリートの建物を覆い隠しています。
隙間をよーくみるとRCが見えます。
しかし、すごくアクセスが大変な場所でした。外国人はここまで来てくれるんやろうか。。 '02.4.2
1993 ひさまつ産婦人科医院アネックス
広島県廿日市市
1階にブティック、2階がマタニティのエアロビ施設、3〜4階が看護婦等の住戸が入った
施設で、近くにある産婦人科医院の別館という扱いで建てられました。
丸い窓を開けた短冊状の柱を、ぐるりと周囲にめぐらせた均一なデザインになっています。
そして荒い吹付け仕上げの柱の立つ外階段から各階にアプローチするようになっています。
僕が見に行ったときはこの建物あまり使用されていないような雰囲気がただよっていました。
'02.3.28
国際村交流センター 福岡県北九州市
音楽ホール、公民館、国際交流館からなる複合施設である。
建物全体がミラーガラスで覆われているため、周りの風景に溶け込んでおり、
建物の規模を感じさせなくしています。溶け込みすぎて写真に撮りにくいのですが(笑)
また、傾斜した敷地をそのまま利用し、建物をうねらせています。
本体が存在感を薄くすることに成功しているにもかかわらず、
駐車場がRC打放しになっていて存在感丸出しでした。。
これは設計の段階からの狙いだったのでしょうか? '04.3.28
1994 牛窓ヨットハーバークラブハウス 岡山県牛窓町
日本のギリシアと呼ばれる牛窓にある瀬戸内海随一のスケールという
ヨットハーバーのクラブハウスです。
見たままであるがまさに「船」をモチーフにした施設である。
ガラス張りの2階部分はレストランや喫茶施設などがあり、会議室のようなところもありました。
外観から予想もつかないほど廊下や部屋の木の壁が清潔でとても気持ちのよい空間でした。
1階から2階へらせん階段で上るという設計も船をイメージしてのことなのでしょうか。 '01.10.16
小坂町立十和田小中学校
Towada Elementary &
Junior High School
秋田県小坂町
十和田湖の湖畔にある町、小坂町につくられた小中学校である。
秋田杉を多用した木造平屋の建物群を回廊や中庭を介して結合させています。
国内有数の多雪地帯であるため回廊や中庭には融雪設備が付けられています。
木の暖かさを感じられる内部空間は、雪の多い季節にもとても落ち着けそうでした。
小中学校にもかかわらず、教室内の机がすごく少ないのにはびっくりしました。
これは過疎化が進んでいるのでしょうか?それとも少子化ということでしょうか?
'02.12.4
くにたち郷土文化館
Kunitachi City Historical Museum

東京都国立市
国立市につくられた郷土の歴史などを学ぶこと出来る施設である。
北側の雑木林を見せることを意識しており、建物のほとんどが地下に埋められ、
地上部に見えるのはガラスのブリッジという建物の存在感を消す設計となっています。
中央に掘り下げた歴史庭園を設け、地下に埋められた建物は庭園に向かって開かれています。
石井さんといえば建物を見せる(魅せる?)設計が上手いと思っていたのですが、
これは建物を見せておらず、しかも洗練されていて驚きました。 '09.9.28
2001 CO2 常陸太田市総合福祉会館
茨城県常陸太田市
常陸太田市につくられた老人福祉施設である。
パビリオンを想像させる膜構造による外観が特徴的である。
もう一つびっくりするのが加工をしていない丸太を車寄せと内部回廊の柱に使用していることです。
理由はエントランス右側の設計者のコメントを見るとCO2の削減を目指し木を多用しているそうです。
内部回廊の丸太には地元のどこで取れた木なのかがパネルによって表示されています。
回廊はすごく美しいのですが、どうも写真ではそれが半分も伝えられていないような気がします。
ぜひ実際に訪れてみてほしい施設です。
平面計画は膜構造の回廊が中庭を囲むように巡っていて外側に諸室が配置されています。
石井さんが面白いことをしているのは、上空から見るとこの建物は「CO2」の文字に見える
ということです。 '03.3.6
2006 八丁堀中條不燃木ビル
東京都中央区
八丁堀の駅近くにつくられたノッポビルである。
間口4m、奥行25mという細長い敷地に高さ24mの建物が立っています。
建物外壁が全てスギの不燃木材で覆われているため思わず触ってみたくなります。
見上げると微妙に表面に起伏もあって暖かみを感じるデザインです。
木で覆うという方法は、地球温暖化や二酸化炭素排出量削減といった問題に
取り組んでいる石井氏ならではの発想だと思います。
まあ不燃木材の単価が下がっているということも採用された一因だと思いますが。
石井氏設計の建物が「CO2 常陸太田市総合福祉会館」以来、建築誌等に
ほとんど載ってなかったので心配でしたが、久々の新作登場で安心しました。 '06.11.17


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