千葉学のページ
Manabu Chiba Architecture



千葉学さんの作品で僕が見てきたものを紹介するページです。

作品 データ
2001 黒の家
House in Black
東京都
東京都の高級住宅街につくられた専用住宅である。
坂を降り切って川を渡ったT字路に面して建っていて、アイストップのような存在感を
持っています。その名の通り真っ黒な外壁に箱形から足元のガレージ部と
3階のテラス部分を切り取った形態となっています。
内部は、1階が倉庫とピアノ室、2階がLDK、和室、3階が寝室、風呂となっていて
3階テラスに面した階段室や2階各室に設けられた吹き抜けを介して光が内部に
降り注ぐようになっています。
小さな建物にもかかわらず平面プランが非常に魅力的です。快適だろうなあ。 '10.12.21
2002 split 東京都世田谷区
古い家の建て替えによる賃貸の集合住宅とオーナーの専用住宅である。
敷地をあえて二分割し、4階建ての集合住宅と3階建ての専用住宅が、
中庭をはさんで並行に配置されています。
集合住宅はメゾネット型になっていて計8戸で、開口部も中庭に開いた形にしつつ、
プライバシーも考えた設計になっているそうです。
どうせだったら中庭を開放して通り抜けできるようにしてくれたらよかったのに
と思いながらも、防犯等の問題を考えると仕方がないと納得しながら見ていました。
'04.11.20
2005 等々力のガレージハウス
Garage House in Todoroki
東京都世田谷区
世田谷区につくられた住宅群である。
まるで普通の集合住宅のようですが、実は敷地が3つに分割されていて
3つの建物を敷地境界線に寄せることによって1つの建物のように見えています。
そうすることでそれぞれの住戸前に空地を確保することを可能としています。
全て地下1階、地上3階で、建物名称の通り1階にはエントランスとガラスで仕切られた
ガレージが設けられています。
1、2階がRC造で、3階はガルバリウムの外壁を持つ鉄骨造になっていますが、
面白いのが3階部分は隣地斜線の規制がかかるため相互の境界から離しており、
空地をテラスとしているところです。
どうしても1つの建物という目で見てしまうので、まさか3階の形態が
規制から決まったものだとは想像できませんでした。 '06.2.22
domino
東京都杉並区
駅前商店街から少し逸れた住宅地に建てられた集合住宅である。
建物の中央に廊下や階段を設け、田の字型に4つの住戸を並べた平面プランを
三層積み重ねた計12戸の集合住宅となっています。
各住戸はワンルームですが、部屋の中に浴室とトイレの入ったもう一つの部屋を
入れ子状に設けています。ワンルームに対するこのような操作は
「RIDGE」でもみられた千葉さん得意の手法だと思います。
ちなみに「domino」ってサイコロを二つつないだ形の牌のことですよね。
廊下を挟んだ二つの住戸が平面的にdominoに見えるということでしょうか。。 '11.3.15 
東京ハウス うなぎ001
Tokyo House UNAGI 001
東京都
東京における住宅のプロトタイプをつくるというプロジェクトによって実現した住宅である。
千葉学さんは三方を隣地に囲まれた、いわゆるうなぎの寝床タイプの敷地の住宅を
「うなぎ」という名前でプロトタイプを設計しており、これはその実作第1号です。
ちなみに「カド」(角地)を阿部仁史さん、「旗」(旗竿状敷地)をアトリエ・ワンが設計しています。
うなぎのプロトタイプの特徴は、寝室と水回りが入った二つの箱を対角線上に互い違いに
配置し、残りの空間をつながった一室空間となっているということです。
この第1作では箱からキッチンを出して入口付近の1階に配置したり、箱にスタジオが
入ったりとプロトタイプに操作が加えられていますが、これは敷地条件や施主から求められる
要望によって柔軟に対応できることを示しているのだと思います。 '11.5.29
altopiano
東京都渋谷区
都心の一等地に建てられた賃貸集合住宅である。
小規模な建物で、4層の建物に5戸で構成されています。
1・2階がメゾネット2戸、3階に2戸、4階に1戸です。
正面ファサードは開口部が少なく閉じられていて、側面に全住戸の入口が設けられています。
4階はセットバックしてテラスを設けるとともに屋上へ上がることができるようになっています。
賃料を見てびっくりしました。さすが大都会は違う! '24.2.25
2006 恵比寿のギャラリー
Gallery in Ebisu
東京都渋谷区
恵比寿から白金に向かう道路の交差点に立つギャラリーである。
道路と交差点の隅切りによって切り取られた五角形の敷地形状そのままに
建てられた五角形の建物である。
4階建ての建物は1〜2階がギャラリー、3〜4階がオフィスとなっています。
大きな開口部を階によって異なる位置に設けることで面白い表情となっています。
開口部の端部が上下で揃っていて美しかったです。
ただ、恵比寿のギャラリーといいながら恵比寿駅から結構遠いですよね。。
'07.1.6
switch
東京都世田谷区
世田谷区につくられた小規模な店舗付集合住宅である。
地階と1階が店舗、2〜3階が5戸の賃貸住宅で構成されています。
白の箱形で、共用廊下部分が入った部分の外壁はファインフロアで覆っています。
住戸は全てメゾネットになっていて、下階にキッチンや水回りを全て集約し、
上階を自由度の高い空間としています。
ファインフロアといえば安藤忠雄さんの「ロック・フィールド 神戸ヘッドオフィス」を
思い出しますが、結構利用されてるんですね。 '07.3.2
studio 御殿山
Studio Gotenyama
東京都品川区
品川区の大通りから少し入った細い道路に面した場所につくられた
1フロア1戸、計3戸の小規模賃貸集合住宅である。
平面プランは中央に階段室、外周部に収納や水まわり、設備配管などを設け、
そこに挟まれた空間を居室スペースとしています。
これにより窓の奥行きが深くなるのですが、外部との適度な距離となっているそうです。
この考え方は千葉さんが設計した「MESH」の発展型と言えるのではないでしょうか。
'08.1.22
日本盲導犬総合センター
Japan Guide Dog Center
静岡県富士宮市 2009年日本建築学会賞
富士山麓につくられた盲導犬の育成や引退犬が暮らすための施設である。
蛇行する回廊に様々なボリュームを持つ低層の建物が張り付き、
内外の空間を交錯させながら一つの建物をつくりあげています。
建物中央を貫くようにプロムナードと名付けられた外部通路が設けられています。
おそらく全ての部屋から大きな富士山が眺められるという素晴らしいロケーションなので、
建物写真を撮っていてもどうしても富士山も構図に入れたくなってしまいました。
ここは元々オウム真理教の総本部があった場所だそうですが、
その負のイメージを覆す人々の集う良い場所になると思います。 '07.6.30
六会の家
House in Mutsuai
神奈川県
神奈川県の比較的広い敷地に建てられた専用住宅である。
既に数棟の建物が建っている敷地に増築する計画であるため、
既存棟との視線の問題などを考慮して、建物形状が変形Tの字になっています。
平面プランとしては、各階がワンルームのシンプルなものとなっており、
2階は中央に中庭を設けることで空間に変化を持たせています。
外壁の仕上げが木なのは千葉さんの設計では珍しいなあと思いながら見ていました。
'22.6.5
2008 RIDGE
東京都品川区
駅前の商店街を抜けきった住宅街との間のような場所に建つ共同住宅である。
8つの住戸と店舗スペースから構成されています。
真っ白な壁面に開けられた様々な開口部と壁からそのまま屋根へと連続する
外観が特徴的です。建物名称がRIDGE(屋根)というのもうなずける外観です。
内部はワンルームの中に合板によるボックスを吊ることで、そこに小さな空間を
つくり出していて、ちょっとしたロフトや秘密基地のようで楽しそうです。 '09.2.2
WEEKEND HOUSE ALLEY
神奈川県鎌倉市
七里ヶ浜の海に面して建つ商業施設と集合住宅の複合施設である。
1階を駐車場とし、その上に放射状に通路を設け、それによって切り取られた7つのボリュームへ
アプローチする空間としています。
建物名称にも「ALLEY」(路地)が付いているように、この通路が建物の重要な要素となっています。
海への眺望がよく、駅にも近く幹線道路沿いという素晴らしい立地条件なので
おそらくすごい人気物件なんだと思います。サーファーの人は住みたいでしょうね。 '10.4.18
レストラン長屋門
Restaurant Nagayamon
静岡県富士宮市
B級グルメ「富士宮焼きそば」が有名な富士宮市の中心部につくられたレストランである。
江戸時代に建てられた長屋門を有効活用するため「古民家・路地裏再生事業」により
長屋門を改修するとともに、奥にレストラン棟を増築しています。
増築部の白いガルバリウムの外観を見ていると、古建築と現代建築の対比といった感じですが、
屋根の曲面や庭の壁面を長屋門に合わせて設計しています。
見学に行ったときは休日だったためか予約をしていないと食べられない状況でした。
後で知ったのですが、長屋門の中も別館として食事ができるみたいです。 '09.10.19
2009 こどもの城
Children's Site
長崎県諫早市
諫早市の郊外、白木峰高原につくられたこどものための施設である。
傾斜地に建てられており、地下階が外部に露出する東面は地下部がRC打放し、
地上階がガルバリウム鋼板、西面は再生木、と、表情に変化を持たせています。
また、屋根の高さや勾配に変化を持たせて分棟のように見せています。
建物内部へのアプローチやメインの遊びスペースがある1階部分は、外観同様に
天井高さなどに変化を持たせ、ワンルームスペースであっても緩やかに分節された
空間づくりがなされていました。
この空間はこどもにとってとても楽しいらしく、僕が訪れた時も大盛況でした。
'09.10.4
2012 Treform(E棟) 東京都文京区
新大塚駅から徒歩すぐの場所に建てられたデザイナーズマンションである。
三人の建築家がそれぞれ設計した三種類の建物がつながって一つの建物となっています。
N棟を小川晋一さん、E棟を千葉学さん、W棟を西沢立衛さんという一線の建築家が
コラボしているというものすごい建物です。
エントランスや管理部門などを内包したW棟は凹凸を持つ建物で、
積木を積み上げたかのような複雑な形態をしています。
それに対してE棟は平坦な立面となっていますが、ガラス面による明るい縁側的な空間と
そこから一段上がったプライベート空間を持つ住戸となっています。
N棟は外観がほとんど見えませんが、白い壁面のシンプルな建物となっており、
水まわりを集めたボックスで緩やかに分節された内部空間、そして内外が一体となる
バルコニーが特徴的です。
それぞれが面白いプランですが、一番挑戦的と思えるW棟が埋まりにくそうかなあ。。 '13.12.29
屋根裏の家
Loft
神奈川県
郊外の駅からほど近い場所につくられた専用住宅である。
箱形の平屋の建物となっており、チョコレート色の外壁がいい感じです。
正面ファサードは白い扉が付いたシンプルなものですが、
厚みのある庇が付いているので、コンビニに見えてしまいました。。
平面プランは南北方向に短冊状に各部屋を並べており、
上部には直交する壁梁がかかっています。
各部屋が屋根裏(ロフト)でつながった空間ということで、
この建物名称が付いたんですね。 '15.12.26
2014 敦賀駅交流施設 オルパーク
Tsuruga Multipurpose Center
Orupark
福井県敦賀市
敦賀駅に併設してつくられた待合所、売店、多目的室等の入った複合施設である。
建物名称の「オルパーク」は公募で決まったそうですが、関西弁の「おる(居る)」
+パークだそうです。
メッキにリン酸処理した壁面とガラスによる箱形の建物になっていて、
内部は木で覆われた二つのボリュームを内包しています。
この二つのボリュームは、2代目駅舎のデザインを承継したものとなっているそうです。
2階通路から吹き抜けの待合スペースを見ることが出来るのですが、
ガラスがあると気づかず頭をおもいっきりぶつけてしまいました。
衝突防止シール貼っといてください。。 '14.11.27
Sugar
東京都世田谷区
三軒茶屋駅の喧噪から少し離れた路地に面して建てられた集合住宅である。
3つの白い箱形で構成されており、角砂糖が並んでいるように見えることから
Sugarという名称が付けられたそうです。
敷地に立っていた桜の木を残し、杉本博司さんによる箒垣と石積みによるアートな
共用空間としています。 '15.8.11
JA東京みどり仲原支店
JA Tokyo Midori Nakahara Branch
東京都東大和市
東京都西部に位置する東大和市につくられた農協の支店である。
家型を二つ並べてつないだ形態になっており、大きい方の家型は執務空間、
小さい方の家型は半屋外の農産物直売所スペースとしています。
農産物直売所は屋根を部分的に開口とすることで光が差し込む空間となっており
執務空間も同じようにトップライトを設けることで明るい空間をつくり出していました。
'16.6.28
東北大学 人間環境系教育研究棟
Tohoku University Human-Environmental
Education Research Building

宮城県仙台市
東日本大震災で大破してしまった東北大学青葉山キャンパス内の
建築系研究室が入った建物の改築である。
外観を特徴づけるV字型の柱が建物周りのとりついており、
構造体を外に出すことで、内部をフレキシブルな空間としています。
平面プランとしては、2階以上をS字にすることで2つのテラスを設け、
片廊下とすることで周辺の景色の取り込みや自然換気等を可能としています。
震災復興の建物にふさわしく構造的な強さを外観が表していると思います。
'22.8.20


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